ジチタイワークス

三重県松阪市

防災安全合わせガラスで、避難所となる学校体育館の機能を強化。

耐貫通性のある防災向けの窓ガラス

災害時に避難所となる公立小・中学校の体育館。窓ガラスの多くは耐貫通性が低く、破損すると避難者がけがをしたり、雨風が侵入したり、避難所として機能しなくなる懸念がある。松阪市は、飛来物に強いガラスの寄贈を受け、小学校に設置した。

※下記はジチタイワークスINFO.(2024年7月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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学校の長寿命化計画を策定する過程で、災害に強いガラスの設置を検討した。

学校施設の多くが昭和40~50年代に建てられており、老朽化対策が急務となっている。台風や豪雨、地震などの自然災害が多発する昨今、防災面の機能強化も含めて対策を進める自治体が多いのではないだろうか。

同市では数年に一度、避難所となる施設の窓ガラスが台風や地震の影響で破損していたという。同市教育委員会では、令和2年度に“学校施設等長寿命化計画”を策定し、防災機能の強化も盛り込んだ。「窓ガラスの丈夫さは避難所機能の維持に関わります。これまでは幸い、ひびが入る程度で済んでいたのですが、破片が飛び散ると二次災害のおそれが高まります。対策として、ガラス表面に飛散防止のフィルムを貼る場合もありますが、学校によって対応は様々でした」と、教育総務課の鈴木さん。

策定中にジチタイワークスの記事で、耐貫通性があり、破片が飛散しにくい「防災安全合わせガラス」を知り、同ガラスの普及に取り組む「機能ガラス普及推進協議会」の寄贈事業に応募。令和3年度に選定され、機殿小学校に設置が決まった。改修時期に合致したことと、周囲に建物がなく、防火ガラスを使わなくていいことが理由という。

ガラス寄贈の流れ

▶ 令和2~3年
 ・防災の視点を入れた、学校施設等長寿命化計画を策定
 ・松阪市教育委員会が機能ガラス普及推進協議会の寄贈事業に応募

▶ 令和5年
 ・機殿小学校に設置

 

一般的なガラスとの強度の違いを、教員も児童も実際に見て学んだ。

同ガラスは、2枚のガラスで厚さ1.5㎜以上の合成樹脂製の中間膜を挟んでいる。自動車のフロントガラスと同じ構造になっており、中間膜が耐貫通性に優れているため、暴風で飛来物が衝突しても貫通しにくい。割れても破片が飛散しにくいことに加え、防犯や防音の面でも心強いという。

同小学校では令和5年、同ガラス約300枚を体育館上部の窓に設置した。工事が完了すると、教員と児童を対象に、寄贈した同協議会が出張授業を開催。通常のガラスと防災安全合わせガラスをハンマーでたたいて強度を比べるなど、実験を通して窓ガラスの重要性を学んだという。「実際に見て、防災安全合わせガラスは割れても破片が飛び散らないことに驚きました。中学年の男の子が何度もたたいてようやくひびが入る程度。細かくなった破片が中間膜に付着している状態を見て、けがの危険性が低いことが分かりました」と、教頭の松井さんは振り返る。

ガラスの設置工事は、夏休みを使って16日ほどで完了したという。「2枚分の厚さで重量もあるため、既存のサッシでは対応できない場合があります。幸い機殿小では既存のまま設置できましたが、サッシの交換が必要になると予算も工期も変わります。事前の確認が大切だと気づきました」と、鈴木さん。

安心感のもてる日々の学校生活と、スムーズな避難所運営を目指す。

災害のほかにも、学校生活では授業や部活動、休憩時間に子どもがボールをぶつけるなど、ガラスが割れる可能性は高い。同市内でも年に数回報告があるという。同ガラスを使えば日常から、けがのリスクを抑え、子どもの安全を守ることにつながりそうだ。「災害への備えだけでなく、普段の学校生活や、雷雨などの悪天候の際も頼もしいです。子どもたちもガラスの違いを学んだので、安心できるのではないでしょうか」と、松井さん。

鈴木さんは避難所開設がスムーズになることに期待を寄せる。「屋内にガラスが飛散すると、復旧に時間がかかります。割れにくく飛散しにくいガラスを使うことで、心配が軽減され、避難所開設ができるだけスピーディかつ効率的になれば、市民の皆さんにも喜ばれるはず。子どもたちだけでなく、多くの人にこのガラスについて周知していきます」。

多くの建物が改修時期を迎える今、更新だけでなく、防災機能の強化やバリアフリー化、脱炭素化などが求められている。防災機能の強化の一つとして、同ガラスの導入を検討してみてはどうだろうか。

左から
三重県松阪市 教育委員会事務局
教育総務課 学校施設マネジメント係
担当主幹 鈴木 吉紀さん
機殿小学校 教頭 松井 研吾さん


省エネ性能を併せもった防災仕様の「エコガラス」も

防災の観点に加えて、断熱性と遮熱性を備えたエコガラスもある。体育館や避難所の快適性を担保し、空調の効率も上がるため、脱炭素の取り組みの一部にもなる。

過去の記事はこちら

ジチタイワークスWEBでは、同協議会のインタビューを掲載している。

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