事務局運営の丸ごと委託サービス
児童手当法の改正に伴う手続き申請や、戸籍氏名の振り仮名確認など、国の施策に伴う自治体の事務負担増が予想される。人手不足が叫ばれる中、業務を効率化しつつ、住民の多様なニーズや変化する状況に対応するためのポイントを聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.31(2024年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社マックスコム
想像以上に事務負担が発生して、通常の人員では対応できない事態に。
自治体では住民に提供する行政サービスや国の施策に関するものなど、様々な事務作業が発生する。特に給付金支給などの対象者が多い事業に関しては、多くの住民が一斉に手続きに訪れるため、事務局を立ち上げて対応している自治体も多いのではないだろうか。ただ、住民への制度周知や説明方法の検討、窓口や電話での対応など、事務局運営の業務負担は大きく、通常時の人員では対応し切れなくなっているという。
窓口対応を派遣スタッフで補う方法もあるが、指揮命令や業務指導などが必要で、かえって手間が増えることも。そうした背景から、近年、多くの自治体で導入されているのが“業務委託”だ。事務局の設置からその後の運営まで丸ごと任せられるため、自治体の負担を大きく減らすことができる。しかし、多くの自治体で事務局の設置に携わってきた「マックスコム」の田中さんによると、その際に注意すべき点があるという。
「業務委託は便利な仕組みですが、どのように委託業者を選定するかが重要です。類似業務の経験値や事務局運営の体制、スケジュール管理、個人情報保護体制など、多くのことに気を配らなければなりません。単に費用だけを見て選定すると、結果的にトラブルを招き、さらなる負担が生じることになりかねません」。
状況に応じ柔軟に対応できるノウハウがあるかが重要。
特に、運営のノウハウが重要だと田中さんは続ける。「事務局運営では、コールセンターで住民からの電話を受けるインバウンド業務、こちらから電話で発信をするアウトバウンド業務、対応する際の接客サービス、アンケート、マーケティングなど、様々な業務が発生します。それぞれのノウハウをもち、自治体の事情を理解した上での事務局運営ができるかがポイントです」。例えば同社では、ある自治体の給付金事業において、庁舎内に事務局を設置し、同社スタッフ8人が事務局員として従事。支社・本社と両面からサポートを実施することで、通常は準備に2カ月程度かかるところ、1カ月程度で無事にスタートさせることができた事例もあるという。
「また、事務局のスタート後も住民へ周知するフェーズ、それを受けて実際に手続きを行うフェーズなど、状況は変化していきます。それだけでなく、クレームが発生した際の突発的な業務も考えると、それぞれ必要となるリソースが変わってくるのです。そうした状況に応じ、柔軟に対応していかなければなりません。当社が業務を包括的に受託することで、自治体職員でないとできないコア業務に集中してもらう。そんな環境をつくり出すお手伝いをしたいと考えています」。
事務局は単に電話を受けて業務を遂行するだけではなく、制度や運用について、事前に知識を身に付けることが必要となる。また、個人情報などを扱うため、管理体制の構築も重要だ。だからこそ委託先には十分な実績とノウハウが求められるのだという。
スタッフの教育体制
事務局を運営するスタッフには、情報セキュリティやマナー、事業内容に関する研修を実施している。
書類や対応方法の工夫で住民にとっても申請がラクに。
さらに佐藤さんは「当社では経験やノウハウから、全体業務を設計した上でどれくらいの業務量になるかを予測し、適切に人員を配置しています。遅滞なく事務局を運営することで、できる限り住民の皆さんにも安心、満足してもらえるように努めているのです」と話す。
また、同社が「AI Shift(エーアイシフト)」と協働で提供する「ボイスボット」といったAIツールにより、“給付金支給の予定日”や“書類が届いたかどうかの確認”など、よくある質問に関しては、自動音声で24時間受付が可能。それ以外をスタッフが対応することで、人件費や工数削減につながるという。さらに、郵送に関して高いノウハウをもつ「イムラ」との協働で、住民への配布物などの書類設計に工夫を凝らしている。「以前実施した給付金事業では、申請書類のレイアウト設計を行い、住民に必ず読んでもらわなければならない部分や記入が必要な部分、細かな説明部分を赤・青・黒で色分けしました。その結果、返送されてくる書類の不備率が以前の8%から4%へと変化。それだけでなく、記入に関する問い合わせが減少し、事務負担軽減につながりました」。
業務委託といっても、同社では委託された業務を淡々とこなしているだけではない。日次・月次で細やかに報告を行い、自治体との連携も密接に行っているという。自治体、委託業者、専門パートナー企業などの連携がしっかり取れることも、委託業者選定の大きなポイントといえるのではないだろうか。
DXを積極的に進めることで、コア業務に注力できる環境を。
最後に2人は、自治体の事務局運営に対する思いをこう語ってくれた。「自治体職員の窓口業務は膨大で、それを職員だけで対応しようとしても忙殺されてしまう。同じ申請や届出でも、住民によって、じっくり納得のいくまで説明を聞きたかったり、そうでなかったりする場合があるはずです。当社は、制度の性質と個々のニーズを素早く捉え、適切な対応をすることが重要だと考えています。昨今は、住民サービスにかかるコストの最適化を図る視点においても、ボイスボットによる電話応対や、来庁せずともスマホのリモート接続で窓口申請ができるツールの導入など、デジタルを積極的に活用することが求められます。こうした環境を提供することで、自治体職員にはコア業務に注力してもらうことができますし、これを実現するのが当社の役目だと考えています」。
今後、児童手当法の改正に伴う手続き申請や、全住民が対象になる戸籍氏名の振り仮名確認など、多くの自治体で事務局を設置・運営しなければいけない状況がすぐ目の前まで迫っている。職員でなくてもできる業務はどんどん自動化し、住民サービスの向上とコスト最適化を図る必要があるだろう。職員がコア業務に集中できる環境をつくるために、業務委託という方法もあるかもしれない。
マックスコム
営業第2部 官公庁営業室
左:田中 直人(たなか なおと)さん
右:佐藤 裕昭(さとう ひろあき)さん
パートナー企業の声
イムラ
金子 雄司さん
細かな提案を積み重ねた上で、自治体のコスト削減を提案。
多くの自治体で懸念されるのは郵送費の値上げです。ただ、大量発送の場合には、投函前に郵便区に分ける、配達日数を長くするなどによって割引きが受けられる場合があります。細かい工夫で郵送費を約2,500万円から約1,900万円にまで削減できた例も。個人情報を含むデータは、LGWAN-ASPでの授受が可能なため、セキュリティも高く、システム導入費などを発生させずに連携が可能です。このような提案も、私たちの役割だと考えています。
ボイスボットの活用で住民からの問い合わせ対応を削減
事務局への電話問い合わせの半数以上が、申請方法や支給時期を尋ねる“よくある質問”なのだそう。簡単な問い合わせがあふれることで、対応を必要としている住民の電話がつながらない状況になりかねない。その住民の不便さや職員の負担を軽減するのが、ボイスボットだ。
1. 対応が本当に必要な問い合わせに集中できる
住民から問い合わせ内容を聞き取り、“よくある質問”にはAIが自動対応。職員は対応が必要なものだけに注力できる。
2. 時間外もつながるので住民の利便性が向上
AIが対応するため、基本的な問い合わせは夜間や土日対応も可能。“平日は仕事で対応が難しい”という住民の声にも応えやすい。
3. デジタルが苦手な住民も分かりやすい仕様を採用
氏名や生年月日も声で聞き取る仕様。これにより、デジタルが苦手な人でも分かりやすく、気軽に問い合わせができる。
様々な事業に対応可能
事業の性質と住民のニーズを捉えた適切な対応でサービス向上を後押し。
この先、児童手当法の改正に伴う手続きや、戸籍氏名の振り仮名確認など、様々な事業の発生が予想される。これらの事務局運営は事業内容に合わせた体制が必要になるという。
\導入自治体の声/
子育て世帯向けの給付金支給事業
給付の種類を的確に確認しスムーズな手続きを遂行
最初は、短期間で人員の確保、事業内容の把握、準備ができるか不安でした。また、複数の給付金事業を行っており、住民がどの給付に関する手続きをしたいのかを把握し、適切に案内する必要がありました。同社にお願いすることで不安な点を随時解消しつつ、スムーズに対応を進めることができました。
\導入自治体の声/
非課税世帯向け臨時給付金支給事業
電話応対や書類審査を任せることで負担軽減に
この事業は対象者が多く、加えて新しい分野の業務だったため様々な課題があり、混乱が予想されました。そのため、現場がまわるかが一番の不安だったのです。今回、特に助かったのは業務量が多い電話応対や書類審査業務。同社にお願いしたことで職員の業務負担軽減につながりました。
ほかにもこんな事業で事務局を運営
子育て支援事業
◾出産・子育て応援交付金関連業務
◾児童手当に関する応対業務
◾子育て世帯生活支援特別給付金受付 など
保険事業
◾指定難病受給者証に係る申請受付事務
◾特定健康診査集団検診申込み など
税・年金・マイナポイント事業
◾市税徴収に係る受付・電話業務
◾年金の決定にかかる受付・入力業務
◾マイナンバー申請相談・交付 など
AIが自動応対する「ボイスボット」のデモを実施中
左記で紹介したボイスボットを実際に体験可能。自治体内の業務効率化につながるのはもちろん、地域住民の利便性向上にもつながる。
デモの体験は右記番号から。〈デモ体験用電話番号〉TEL:050-3161-2417
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営業第2部 官公庁営業室(担当:田中・佐藤)
TEL:03-6870-5800
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小田急サザンタワー
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