ジチタイワークス

【開催レポート】地方創生SDGs国際フォーラム 2024 サステナブルな未来へのメッセージ

地方創生SDGs国際フォーラム 2024
サステナブルな未来へのメッセージ

●フォーラム概要
『サステナブルな未来へのメッセージ』をテーマとし、SDGsを原動力とした地方創生の実現に向けて、地方創生に関わる登壇者による取り組み事例や知見の発信・意見の共有を通じ、持続可能なまちづくりや地域活性化の促進を図る。
また、今回は「SDGs達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」を開催意義に掲げる大阪・関西万博の開催1年前イベントと位置づけ、万博を起爆剤とした地方創生SDGsのムーブメント拡大も目指す。

●開催概要
2024年3月4日(月)、「地方創生SDGs国際フォーラム2024」が内閣府、地方創生SDGs官民連携プラットフォームの共催により、開催された。
本フォーラムは、「サステナブルな未来へのメッセージ」をテーマとして、 会場参加(日経ホール 東京・大手町)とオンライン参加(WEB配信)を併用したハイブリッド形式で開催し、国内外から約470名が参加した。


[提供]内閣府、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

 

▶ フォーラム特設サイト

 

2023年度 地方創生SDGs 官民連携優良事例表彰式 

はじめに、「2023年度 地方創生SDGs官民連携優良事例表彰式」が執り行われた。「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」は、持続可能なまちづくり・地方創生の実現に向けて、自治体や民間企業等の多様なパートナーシップを深める場として、2018年8月に設置され、その事業の一環として、地方創生SDGs官民連携優良事例を公募し、選定している。
今年度は、全国から応募のあった55件の官民連携取り組みについて、一般投票による一次選考、選考委員による二次選考を経て、以下6件を優良事例として選定し、この中から特に地域の模範となる先進的な1件を内閣府地方創生推進事務局長賞として表彰した。

内閣府地方創生推進事務局長賞

・「歴史的資源の活用と古民家再生でつなぐ持続可能なまちづくり支援」
 岐阜県美濃市×株式会社十六銀行

 

プラットフォーム会員間連携部門 優良事例

・「歴史的資源の活用と古民家再生でつなぐ持続可能なまちづくり支援」
 岐阜県美濃市×株式会社十六銀行

・「楽しく買い物しながらロス削減と寄附をする無料の福利厚生施策」
 神奈川県×株式会社ファーストクラス

・「既存施設のシェアリングにより周遊旅行の活性化を推進する取り組み」
 熊本県天草市×トラストパーク株式会社(九州周遊観光活性化コンソーシアム)

 

一般部門 優良事例

・「学校と社会人をつなぐ『ゲストティーチャーマッチングサイト』」
 奈良県生駒市×株式会社ユニーク

・「『梅ワー』でウェルビーイングな地域活性と関係人口創出」
 和歌山県みなべ町×一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会

・「カルビー miino(ミーノ) 粟島 一人娘プロジェクト」
 新潟県粟島浦村×カルビー株式会社

総括

一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター理事長
村上 周三 氏

村上氏は、地方創生の実現には、まちを「稼ぐ地域」に変える必要があり、「稼ぐ地域」を生み出すための「官民連携による自律的好循環の形成」の必要性を説いた。
その上で、本プラットフォームが全国的規模の交流の場として成長しており、その結果マッチングが増加していることが今年度の成果であると述べ、今回優良事例に選定された事例を図解しながら、地方創生SDGsの視点とステークホルダーとの連携、モデル性・波及性の観点から事例解説を行った。
加えて、今後の課題として「単独の自治体だけでは解決が困難な領域、広域課題への対応」と「複数の業種の地域事業者の参加が求められる課題への対応」を挙げ、官民連携だけでなく、官官連携、民民連携にも今後さらに力を注ぐべきだと述べた。

書道パフォーマンス

愛媛県立三島高等学校 書道部

書道パフォーマンス発祥の高校として知られる、全国的な書道の強豪校・愛媛県立三島高等学校書道部の息の合った力強いパフォーマンスが、本フォーラムの幕開けを華々しく飾った。テーマは「地域の未来」。

 

主催者挨拶

内閣府特命担当大臣(地方創生担当)、国際博覧会担当大臣
自見 はなこ 大臣

※VTR出演

自見大臣は、2023年12月にSDGs実施指針が改訂されたことに触れ、「多様性と包摂性のある社会を築いていくため、 国際社会のSDGs達成に向けた努力に対して、最も効果的な形でさらに貢献していく必要性が示された」と語った。
そして、本フォーラムが「SDGsを原動力とした地方創生の実現に向け、知識や経験を共有することにより、 持続可能なまちづくりと地域の活性化を促進することを目的としている」こと、また大阪・関西万博の開催1年前イベントでもあることから、「万博を起爆剤とした地方創生SDGsの動きの拡大にもつなげたい」と述べた。

 

パネルディスカッション①「地域における事業創出」

【パネリスト】
A.T. カーニー日本法人会長、CIC Japan 会長 梅澤 高明 氏
長門湯本温泉まち株式会社 エリアマネージャー 木村 隼斗 氏
株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称「ヒダクマ」)取締役会長 林 千晶 氏

【ファシリテーター】
タレント 田村 淳 氏
    
パネルディスカッション①のテーマは、「地域における事業創出」。
これから地方で新規事業や官民連携を始めようとしている、またはすでに取り組んでいる人への新たな視点・気づき、事例の横展開につなげるべく、議論を展開した。
まず、梅澤氏による「地方の観光開発支援」、木村氏による「観光を『消費』から『共感』へこれからの旅と暮らしを長門湯本から」、林氏による「新しい林業の取り組み」というそれぞれが取り組むテーマについて事例の共有が行われた。
ディスカッションでは、「取り組みによる効果」や「事業を興す際、大切にした視点や着眼点」などを論点に議論が展開され、梅澤氏が「観光開発支援の選定の基準は『観光資源が充実していること』と『キーパーソンが見えていること』である。そして、ポイントとして、新しいプレイヤーを拒否せず、一度はトライできるような環境づくりが重要である」と述べた。

木村氏は、「長期的取り組みの場合も、短期的取り組みとのバランスを丁寧にとること。また、小さなことでもまずはやってみることが大事」と主張した。
林氏は「地域には驚くほど豊かな文化があり、一つずつ丁寧に紡ぎあげて事業にすることがこれから求められる」とした上で、「地域の人たちの思いを具体的に会社にし、若い人たちを元気づけ、100の地域起業家を作りたい」と意気込んだ。
意見の共有を受けて田村氏は、「どこに行っても同じ体験ができるということを目指すのではない。地方創生では独自性が重要だと思う」と地方の独自性を事業に活かすことの重要性を訴え、「事業を興す際、わからないことはわかる人に教えてもらえばよく、わからないことはわからないと正直に教えを乞えるようなコミュニケーションが大事だということを改めて認識した」と締めくくった。

 

パネルディスカッション②「地方創生」

【パネリスト】
Awaji Art Circus実行委員会事務局長、
株式会社パソナグループ事業開発部アートクリエイティブチーム エレナ・ブジョラ 氏
小菅村長 舩木 直美 氏

【ファシリテーター】
タレント 田村 淳 氏

パネルディスカッション②のテーマは、「地方創生」。
地方経済活性化の鍵となる持続可能な活動の推進のため、主に観光において、これまでの取り組みや革新的なアイデアを共有しながら、「地方創生」をテーマとして独自の活動を通じて地域の魅力を高める理想的な形について議論が交わされた。
エレナ氏は「芸術を活用した地域創生の取り組みについて」、舩木氏は「源流地域の今と目指す姿についてー山梨県小菅村を例にー」というそれぞれが取り組むテーマについて事例の共有を行った。

ディスカッションでは、「自身の取り組みが地域にもたらした効果」や「地方創生に必要なこと」などを論点に議論が展開された。エレナ氏は、(株)パソナグループが本社機能の一部を淡路島に移転させたことや、自身が立ち上げに携わった国際パフォーミングアーツフェスティバル『Awaji Art Circus』の開催などを例に挙げ、「淡路島の認知が高まり、観光客が倍になった」と一定の効果があったとしながらも、持続的な活動の推進のためには「若者にとって魅力的な就職先を作るのもポイント」と述べた。
舩木氏は、小菅村の近年の取り組みとして「タイニーハウスプロジェクト」や「フォレストアドベンチャーこすげ」、「ドローン輸送の試験運行」などを紹介。村づくりの原点は「自分の村の魅力はどこにあるかを考えること」だとし、「自分たちでは自分の村の良さに気づきにくいので、お客さんに村の良さを発信してもらうことで、『これが資源になるのか』という気づきや発見になる」と述べた。また、「人を育てるのが一番大切」と話し、現在Uターンの推進活動にも積極的であることを明かした。
議論を受け、田村氏は「そこに住む人々が自分の住む地域の良さを理解した上で、地方創生を自分ごととして捉え、みんなが同じベクトルを向いていないと、本当の意味での地方創生は難しいと感じた」とし、「一度観光した地域に関わったことで好きになって、そこから関係人口を増やしていくことが本当の観光といえるのではないか」と締めくくった。

 

2025大阪・関西万博における内閣府主催イベントの発表

2025大阪・関西万博の公式キャラクター・ミャクミャクとともに、『地方創生SDGs展示会(仮)in EXPOメッセ』、『スーパー未来都市コンテスト』、『書道パフォーマンス甲子園 in EXPO』の万博において内閣府が開催する3つのイベントの発表が行われた。

パネルディスカッション③「SDGsの達成」

【パネリスト】
住友林業株式会社 執行役員 サステナビリティ推進部長 飯塚 優子 氏
2025年日本国際博覧会協会 副会長・理事・シニアアドバイザー ウスビ・サコ 氏
建築家 永山祐子建築設計主宰 永山 祐子 氏

【ファシリテーター】
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授 蟹江 憲史 氏

パネルディスカッション③のテーマは、「SDGsの達成」。
SDGs達成の期限である2030年まであと6年、ラストスパートとなった今、開催の意義を「SDGs達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」としている大阪・関西万博を「SDGs飛躍の起爆剤」とするべく、万博の準備の中でSDGsに寄与する取り組みを行っているパネリストたちによって「SDGsの達成と万博への期待」についての議論が交わされた。


蟹江氏は、現在のSDGsの進捗状況はわずか15%であり、このままだと達成までに300年必要になることを述べた上で「SDGs達成に必要なのはトランスフォーメーション(改革)である」とし、これからのアクションとして、2025年の大阪・関西万博が重要になると述べた。
飯塚氏は「森と木を活かしたSDGsの達成」、サコ氏は「SDGs達成・SDGs+beyondへ〜SDGs達成をどのように考えるべきか」、永山氏は「ドバイと大阪・関西万博をつなげるSDGs万博」というそれぞれが取り組むテーマについて事例の共有を行った。
ディスカッションでは、「万博とSDGs達成の関連性」や「SDGs達成の姿とそのために必要なこと」などを論点に議論が展開され、飯塚氏は「“作る責任、使う責任”を考えながら、リユース、再生可能な資材、循環するイメージの感じられる万博になればいいなと思う」とし、SDGsの達成について「感じること、信じることが大事。できると思ってアクションにつなげることでポジティブになれると思う」と述べた。
サコ氏は、万博は教育と実験の場であるとし、「160カ国のSDGsへの考え方が集まる非常に特殊な場所になると思うし、ビジネスチャンスも多いはず」と述べ、「万博で世界を見ることで日本が見えてくる。響き合うことが重要。若者に博覧会で世界にもっと触れて共感してほしい」と訴えた。
永山氏は、自身が設計したドバイ万博の日本館の組子ファサードを大阪・関西万博のパビリオンで再利用したことに触れ、設計時、常に「建築が起爆剤となり、人が集まるきっかけになれば」と考えているとして、「万博で試すことで実社会でも実装されることになれば。万博は規制にチャレンジするいい場だと感じている」と述べた。


議論を受け、蟹江氏は「若い世代はもっと万博と関与したいと思っている。そんな若者の気持ちをうまく上げていきたい」と述べ、「今は次の10年で大きく変わらないとダメな状況。万博が、日本が変わる良いきっかけになればと思う。『このままだと人間社会が終わってしまうかもしれない』という危機感を持ちつつ、それぞれが活動を続けていくことで、万博はトランスフォーメーションのショーケースとなり得るのではないか」と締めくくった。

 

書道パフォーマンス②

茨城県水戸葵陵高等学校 書道部

本フォーラムの締めくくりには、第16回書道パフォーマンス甲子園に本戦出場した茨城県水戸葵陵高等学校書道部により、「四季を大切にする気持ちが国を豊かに平和にする」として、美しい日本の四季をモチーフに、今回の万博のテーマでもある「いのち輝く未来社会」をイメージしたパフォーマンスが披露された。

 

▶ フォーラム特設サイト

 

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 【開催レポート】地方創生SDGs国際フォーラム 2024 サステナブルな未来へのメッセージ