ジチタイワークス

公務員と金融職員のネットワーク「ちいきん会」が生み出す新たな世界。

ジチタイワークス増刊号「感謝劇場」とは?
行政マガジン編集室が、事例紹介を中心とした通常号とは趣の異なる「増刊号」をつくりました。
「感謝・ありがとう」をコンセプトにした、その名も「感謝劇場」。略して、カンゲキ号です!
公務員の誰もが主人公になり得る、様々な視点での「ありがとうのドラマ」を取材し、紹介しています。

※下記はジチタイワークス 感謝劇場号(2024年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

事業者支援という、いわば「点」を支援する金融機関と、地域を「面」で支える自治体。点と面を重ね合わせることで、地域に新たな可能性が掘り起こせるという。「ちいきん会」が生み出す価値とは何か、互いに与え合う好影響とは何か、参加者に話を聞いた。

左から
茅野 裕也(かやの ゆうや)さん 兵庫県高砂市 福祉部 生活福祉室 生活福祉課
猪股 裕(いのまた ゆう)さん 平塚信用金庫 営業統括部 地域・経営サポート課
木村 信綱(きむら のぶつな)さん 福島学院大学 情報ビジネス学科 教授

全国で約2,800人が参加中!
ちいきん会とは?

府省庁・地方自治体・金融機関・企業・大学などの多様な個人が集まるネットワーク。組織や肩書に縛られない対話を通し、社会・組織に新たな価値を提供することを目的としている。

参加はFacebookプライベートグループから

※令和6年1月時点

行政と地域金融は一蓮托生、だから同じ課題を学び、挑む。

――まず、ちいきん会について教えてください。

木村 ちいきん会は、公務員と金融機関の職員を結ぶネットワークとして令和元年に発足しました。発起人は、当時金融庁職員だった菅野大志さん(現在は山形県西川町長)。以前、一緒に仕事をした縁で、私も事務局メンバーとして参画し、全国で約2800人が参加中。会全体の集まりのほかに17の地域支部が活動しており、同じような課題をもつ者同士が対話しています。

猪股 私の場合は、地域金融向け研修で、菅野さんに出会ったのが参加のきっかけです。「地域の課題解決には地域金融機関がカギとなる」と、私たちと同じ目線で熱く語る姿が胸に刺さりました。会では、行政×金融による課題解決事例を通じ、ハブ人材とのネットワークができます。日頃の業務では得ることができない「学びやつながり」は価値だと感じますし、人生が変わりました。この場に感謝しています。

茅野 私は信用金庫に3年間勤めた後、商店街の活性化に取り組みたいと、高砂市役所に転職しました。配属されたのは生活保護の部署ですが、上司に誘われ「オンライン市役所」に参加。そこで、ちいきん会を知りました。実は、行政と地域金融機関は一蓮托生で、地域がつぶれると自治体も金融機関も存続できない。「地域の活性化」という同じ課題の中で互いの得意分野を活かせば、可能性が広がると思っています。

「官」と「金」が強みを活かし、今までにない価値を創出する。

――行政と金融、それぞれの得意分野とは何ですか?

猪股 行政には、地域という「面」を動かす力があり、金融機関は事業者単位の「点」の支援が得意。それぞれの強みと弱みを補い合える関係なんです。例えば、行政側からは「地域の実態を把握したい」という声をよく聞きます。逆に金融側は「取引先の共通課題」を把握している。それらを共有し、本質的な課題を見据えた施策をつくれば、企業の課題解決の糸口となる。その結果、行政・地域金融が目指す地域経済の成長や好循環を生みます。このように、両者の連携、対話による情報交換には、大きな価値があるんです。

茅野 少子高齢化やニーズの多様化に、行政だけでの対応は限界を迎えています。そこで地域や企業の力を借りるとき、キーパーソンになるのは地域金融。なぜなら、地域活性化という同じミッションをもちながら、地域や企業と密接に関わり融資という形で伴走できるのが、地域金融だからです。その両者がタッグを組めば、「地域活性化に実行力が伴う」ことになります。

――なるほど!ちいきん会では、具体的な課題解決の方法まで話し合っているのですか?

猪股 いえ、会議のようなものではなく、5人くらいのグループに分かれて、思いや悩みをフラットかつ自由にしゃべっています。組織や役職などの肩書きを外し、「心理的安全性を担保した対話」を重視しているのが、ちいきん会の特徴ですね。自分の組織ではできない話をここで発散して、仕事のモチベーションにつなげている人も。数珠つなぎで、多種多様な人が集まっています。

茅野 やりたいことも思いもあるのに、自組織内ではうまくいかない、手法が分からない。そんな人たちがつながることによって、できることを補い合っていく。その「きっかけづくり」が、ちいきん会の役割です。

先が見えない時代に必要なのは、小さなつながりと新たな連携。

――「ゆるくつながる」というわけですね。この会から何か活動につながりましたか?

猪股 ちいきん会での対話で、行政には「縦割りの悩み」があることを知りました。私たち地域金融は、昔から産業振興課と連携して中小企業を支援してきたのですが、将来を考えれば、地域商店街など「市街地全体」の発展は欠かせない。そんな中、企業版ふるさと納税をきっかけに、これまで接点がなかった都市整備課との連携がスタートしました。そこに商工会議所も巻き込んで、令和5年3月に、都市整備課、信金、商工会議所の3者で連携協定を締結。地域金融が「横串役」になることで、課を横断した取り組みが可能になりました。

茅野 私は個人の活動として、当市の産業振興課とともに商店街活性に関わっています。きっかけは、会で出会った中小企業庁の職員から「外部人材活用・地域人材育成事業」の存在を聞いたこと。この制度は、地域のキーパーソンを育ててサポートするもので、外部の専門家を呼び、商店街で頑張る人の活動を支援しています。事業では、市と商工会議所、地元信金が連携。来年度以降の具体的な計画が進んでいます。今後、事業者に資金が必要になったとしても、最初から金融機関が入っているので話が早い。連携から未来への道筋が見えはじめていて、ありがたいですね。

――まさに行政と金融の強みを活かした事例ですね。ちいきん会に興味をもった方々にぜひメッセージを!

猪股 外に出てみることで、職場内だけでは得られない経験や新たな価値を創出できます。これがまさにちいきん会の目的。会を通じて、組織から一歩を踏み出しましょう!

茅野 この会に入ったおかげで、色々なつながりをもらい、やりたかったことに取り組めています。モチベーションが上がったことで自分の業務をブラッシュアップでき、仕事の楽しさにも気づけました。

木村 ビジネス用語に「弱い紐帯(ちゅうたい)の強さ」という言葉があります。これは、「組織内の強いつながりよりも、ちょっとした知り合いから得られる外部の情報にこそ価値がある」という意味。ちいきん会はそれを体現していると思います。コロナ禍や世界情勢の変化など、これまでの経験値では太刀打ちできない事態に直面したとき、「ゆるいつながり」から生み出される「新しい価値」が力を発揮する。それが社会を変革する起爆剤になるのかもしれません。

ちいきん会への参加はFacebookプライベートグループから

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