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【セミナーレポート】実例から学ぶ!脱炭素も進める地域活性化戦略 ~官民連携で進める環境と経済両立への道~ Day2

政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことで、企業における脱炭素への取り組みが加速しています。自治体においても、令和4年度の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」創設を受け、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みが本格化する見込みです。

その一方で、多くの自治体では高齢化、人口減少などの行政課題が山積しており、限られたマンパワーでどのように取り組むべきか、現場で悩んでいる職員も多いのではないでしょうか。

そこで今回のセミナーでは、経済活性化を進めながら脱炭素も目指す自治体の実例をご覧頂くことで、様々な施策と脱炭素を同時に進めるヒントとアイデアをお届けします。また、自治体の経済と環境の思索をつなぐ、企業のソリューションも紹介します。

Day1のレポートはこちら

概要

■テーマ:実例から学ぶ!脱炭素も進める地域活性化戦略 ~官民連携で進める環境と経済両立への道~ Day2
■実施日:2024年1月19日(金)
■参加対象:自治体職員
■申込者数:161人
■プログラム
【Day2】
<Program1>埼玉県のサーキュラーエコノミー関連施策について
<Program2>未来へつなぐ持続可能なまちづくり ~ゼロカーボン上士幌の実現とスマートタウンの構築を目指して~
<Program3>公共施設におけるLED化の現状と施設別の付加価値向上について
<Program4>官民連携で進める脱炭素と産業振興の取組み

<Program1>埼玉県のサーキュラーエコノミー関連施策について

【講師】

埼玉県 環境部 資源循環推進課
課長 尾崎 範子 氏

プロフィール

入庁以降、産業廃棄物業務や浄化槽関係業務に約10年間従事。令和4年4月から現職。「埼玉県プラスチック資源の持続可能な利用促進プラットフォーム」やサーキュラーエコノミー型ビジネス創出の補助制度等により、資源循環施策を推進。


従来の大量消費・大量廃棄を前提としたリニアエコノミーから、資源の循環的・効率的な利用を図るサーキュラーエコノミーへの転換を推進中の埼玉県。相互に関連するサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルを統合的に推進し、環境と経済の両立を目指した同県の取り組みについて、尾崎氏が紹介する。

サーキュラーエコノミーについて

サーキュラーエコノミーとは、「循環経済」という経済の仕組みです。産業構造の違いによって循環させる資源や方法は変わりますが、例えば農業では規格外農産物の再利用、製造業ではプラスチックや金属の廃棄物の再利用、もしくは大規模なリサイクルセンターをつくることも可能かもしれません。

これからの時代は、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーで資源を循環させる経済に、転換していくことが必要と考えます。以下にポイントを挙げます。

【資源制約・リスク】
2050年までに世界中で必要とされる鉱物資源は、埋蔵量の2倍以上になると予測されています。このまま採掘し続けると本当に枯渇してしまうでしょう。そうなると、企業が原料調達できなくなることにもつながります。今のうちから質の良い再生原料をつくり、製品をつくるサーキュラーエコノミーの取り組みを進めていくことが、企業の自立促進のためにも非常に重要です。

【環境制約・リスク】
資源循環を進めることで、CO2排出量が減少すると考えられています。例えば、ペットボトルをリサイクルし、再びペットボトルにする水平リサイクルを行うと、通常のバージン材からペットボトルをつくる場合と比較して、CO2排出量を60%削減できるとのことです。飲料メーカーなども、使い終わったペットボトルの回収を積極的に進めています。ほかにも、環境の視点では、最終処分場の逼迫などの問題もあります。

【成長機会】
ヨーロッパやアメリカでは、サーキュラーエコノミーへの移行が急速に進んでおり、再生材を一定以上活用しないと、製品を市場に出すことができないなどの義務付けが行われています。日本でも政府がサーキュラーエコノミーを進める方向性を明確に打ち出しており、経済産業省と環境省が連携して施策を進めています。サーキュラーエコノミーの成長産業として、2020年の市場規模は50兆円ですが、2050年には120兆円まで成長させるのが国の目標で、それに向けた様々な施策が打ち出されています。

以上のように、今後の地域経済にとって環境と経済を両立させていくということが非常に重要です。サーキュラーエコノミーの視点から施策を進めることが、環境、経済の視点からも大切だと考えています。

埼玉県のサーキュラーエコノミーの推進

埼玉県では、以下の3つの柱を掲げています。

(1)県民への普及啓発
(2)事業者へのマッチング等の支援
(3)サーキュラーエコノミー型ビジネスのリーディングモデルの創出

それぞれの柱について、詳しく紹介します。

(1)県民への普及啓発

●県有大規模施設におけるサーキュラーエコノミー実証実験
検証:埼玉スタジアム2002で行われる浦和レッズ主催試合開催日に、ペットボトルの効率的な分別回収・再製品化手法を検証。試合開催日には啓発ブースの設置や、選手を起用したサーキュラーエコノミーに関する動画放映を実施。分別回収を促進し、サーキュラーエコノミーの認知度向上を目指します。

●サステナブルDAYの取り組み
令和5年10月20日、埼玉スタジアム2002で浦和レッズと「サステナブルDAY」イベントを実施。試作品展示や衣料品回収、ペットボトルから作ったマグカップ付きのスイーツの販売や循環型食器「edish」の試験使用などを実施しました。

(2)事業者へのマッチング等の支援

●令和5年5月、「サーキュラーエコノミー推進センター埼玉」を開設。サーキュラーエコノミーに関する普及啓発、コーディネーターによる相談対応・マッチング支援を行います。下記はセンターの機能です。

●埼玉県プラスチック資源の持続可能な利用促進プラットフォーム
環境部の取り組みで、プラスチック廃棄物の排出抑制とプラスチック資源の循環利用の促進を目的に、企業同士、企業と市町村との連携の手伝いをしています。下記は、事業者による連携の取組支援の事例です。

(3)サーキュラーエコノミー型ビジネスのリーディングモデルの創出

●内中小企業等が連携して取り組むサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルに対し、補助金を設定。補助率は3分の2(上限額:750万円)と、高い補助率を設定しています。

埼玉県のリチウムイオン電池の取り組み

当県内のゴミ処理施設等では、リチウムイオン電池が原因の火災が多く発生しています。6割の市町村でボヤを含む火災が発生しており、問題点としては分別収集時の課題があります。

●消費者側が分別する際の問題
・電池の表示のないものや電池が容易に取外しできない製品がある等
・地域によっては回収を受け付けている家電量販店等

●市町村側の課題
・分別排出について周知しているが消費者に十分徹底されていない
・市町村では電池や電池内蔵製品の処分ができない

県としても啓発を実施していますが、市町村ごとの対応では限界があります。蓄電池にはレアメタルなども含まれているので、安全かつ有用な資源を再利用できないかということで、下記のような実証実験を行っています。

[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]

Q:サーキュラーエコノミーと3Rとの違いがはっきりしません。事業者や住民に理解してもらえるような説明を教えてください。
A:3Rは取り組みが進み、住民や企業にも浸透していると思っています。こちらは経済活動というよりも、リデュース、リユース、リサイクルという環境活動の意味合いが強いと思います。一方のサーキュラーエコノミーは、経済の仕組みです。3Rの取り組みを経済の視点から捉え直すことで、例えば製造業であれば、ゴミを分別・リサイクルしてゴミを減すことはもちろんのこと、今度は製品を設計する段階から、リサイクルしやすいように部品を少なくするとか、再生材をさらに使うとか、あるいはシェアリングやサブスクリプションなど、捨てることを前提にしない方法で、資源を大切に使うな新たなビジネスを行っていくことだと思います。

Q:事業者との連携の経緯や重要なポイントは、どのようなところでしょうか。
A:例えば浦和レッズとの活動やビール祭りについては、試験循環に一緒に取り組みませんかと、県側から提案しました。SDGsの観点からも4つの削減につながる資源循環については、どの事業者さんも好意的に考えています。それぞれの企業や連携相手によって、目指すものが違ってくると思いますので、企業がどこまでならできるのか、何を目指しているのかということをよく聞いて、まずは導入しやすいものから一緒に取り組みましょうと、お話しています。

<Program2>未来へつなぐ持続可能なまちづくり~ゼロカーボン上士幌の実現とスマートタウンの構築を目指して~

【講師】

北海道 上士幌町 ゼロカーボン推進課
課長 佐藤 泰将 氏

プロフィール

平成3年、上士幌町役場に入職し、農林課、教育委員会、商工観光課などの業務に従事。令和2年、商工観光課長、令和3年に企画財政課長を歴任。令和4年7月、「ゼロカーボン推進課」の新設に伴い現在に至る。


人口約5,000人に対し、飼養する牛は約40,000頭という上士幌町。これまでは“厄介もの”とされていた家畜糞尿が、バイオガス発電による電力の地産地消に取り組んだ結果、現在は“地域の宝物”となっている。2020年第4回ジャパンSDGsアワード・内閣官房長官賞受賞、2021年SDGs未来都市、2022年第1回脱炭素先行地域などに選定された同町の、経済・社会・環境が調和した「持続可能なまちづくり」について、佐藤氏が紹介する。

地方創生の取り組みについて

当町は少子高齢化や人口減少が課題となっていたため、早い時期から地方創生に力を入れてきました。現在、SDGs、脱炭素、デジタル化を軸としたまちづくりを進めており、2015年には4,886人まで減少していた人口が、その3年後には5,000人に復活。全国からも注目されるようになりました。

2015(平成27)年から2019(令和1)年末までの第1期、それから現在に至るまでの第2期の取り組みについて紹介します。

【第1期の主な取り組み①】
●子育て・教育に手厚い支援
●交流・移住・定住の促進
●民間賃貸住宅供給戸数の増加
●民間企業設立、雇用の創出

【第1期の主な取り組み②】
●2017年、(株)「生涯活躍のまち かみしほろ」設立。地域包括ケア、人材センターと生業開発等
●2018年、地域が稼ぐ力の発揮・地域経営(株)karch設立。エネルギーの地産地消(畜産バイオマス発電・売電)、DMO事業、道の駅の運営等
●メタン発酵消化液による環境保全・資源循環型持続的農業

【第2期の5つの柱】

これらの取り組みの成果は、人口減少の歯止めや若年層の移住者率の向上、高齢化率上昇ストップ、町民所得の増加、税収の増加等につながりました。

また、当庁の長年の取り組みは、SDGsに資するのではと気づき、外務省のアワードに応募。2020年に「第4回ジャパン SDGsアワード」SDGs推進副本部長賞(内閣官房長官賞)を受賞することができました。

翌年には2021年度「SDGs未来都市」に選定され、ここからSDGsを意識して本格的に力を入れてきました。

【経済・社会・環境面 3つの取り組み】

●経済面…都市部から要人を呼び込み、地元事業者・生産者とのビジネスマッチングによるビジネスの創出
・かみしほろシェアOFFICE
・縁ハンスプロジェクト

・企業滞在型交流施設「にっぽうの家」
・MY MICHIプロジェクト

●社会面…高齢者向けタブレットと全世代向けAIチャットボットの導入による生活支援。住民向けMaaS導入による移動の利便性向上とだれもが生涯活躍のまちづくりの促進
・MaaSプロジェクト(自動運転やデマンド化、貨客混載等による利便性の向上CO2削減)
 →2022年8月、国土交通省の自動運転調査事業に採択

●ドローンを活用した新たな事業展開
・(遭難救助)ドローンによる夜間の捜索支援サービス「一般社団法人Japan Innovation Challenge」設立
・(交通・物流)ドローンを活用した新たな事業展開
・全国新スマート物流推進協議会を設立
・日本初となる『レベル3.5』飛行によるドローン配送の実装

●環境面…畜産バイオマスを核としたクリーンエネルギーの地産地消、ドローンによる商品配送とEVによる空港直行便の実証
・資源循環型農業とバイオガス発電の地産地消
バイオガスプラントの整備に着手し、現在町内に6カ所・計7基を整備。畜産バイオガス発電による電力を、町内で地産地消する仕組みを構築(イチゴやブドウの栽培等)。地域で生まれた電気を活用し、「かみしほろ電力」として電気の小売を展開。下記がその仕組みです。

「SDGs推進本部」の設置について

SDGs達成に向けた取り組みを効果的に推進するため、令和3年度に推進本部を設置。若手町民を中心に「SDGsプロジェクトチーム」を立ち上げました。町民がSDGsに興味を持てるよう、当町独自のSDGsボードゲームを作成したり、町民向けにリーフレットを作成したりしました。

このボードゲームを普及させるため、養成講座を開いて人材育成につなげたり、学校や企業、団体向けに出前講座を行っています。

また、町内の小学5年生向けに、ゼロカーボン推進課の職員が学校に出向き、年間30時間の授業を行っています。SDGsのゴール1から17について学んだり、課外授業でバイオガスプラントを見学したり、自動運転バスに試乗しています。

第1回「脱炭素先行地域」に選定される

2022年、第1回「脱炭素先行地域」に当町が選定されました。全国26地域が選ばれていますが、町内全域を対象とした取り組みを推進しているのは当町のみでした。こちらが提出概要です。

●太陽光発電等再エネ設備導入支援事業(一般住宅向け・事業者向け)の設立
・太陽光発電設備経費(経費の2/3の補助)
・定置型蓄電池(経費の3/4の補助)
・V2H充電設備(経費の3/4の補助)

一般住宅向けには3種類合計で上限300万円、事業者向けには3種類合計で上限3,000万円の補助を進めています。また、補助金を除いた自己負担分の資金を、無利子(まち負担)で支援したり、「かみしほろ電力」との契約で10万円の商品券を助成したりしています。

この他にも、役場庁舎等改修ZEB化や公共施設マイクログリッド構築、上士幌型ZEH住宅建設の助成や、ゼロカーボン推進プロジェクトチームにおいては、環境をはじめSDGsに資する行動に応じ地域通貨ポイントを付与する制度の構築に向けた議論を実施しました。脱炭素先行地域選定後、道内をはじめ各地の自治体や企業、大学等から視察が殺到。国内だけでなく、世界に向けた情報発信も展開しています。

[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]

Q:第3セクターの会社には、どれくらいの補助金を出されましたか。
A:第3セクターの会社を2社立ち上げていますが、補助金等はありません。まず、まちがどちらも50%以上出資をしています。「(株)生涯活躍のまち かみしほろ」ついては出資は13社で、当町以外に地元商工会、JA、福祉医療団体、NPO、金融機関等の12社に出資いただいています。ソーシャルビジネスということで、「株式会社」ではありますが、まちからの委託金が運営の主な資本です。一方、「(株)karch」は観光で稼ぐことが目的で、まち以外に5社が出資しています。道の駅とナイタイテラスの運営は、まちから指定管理の委託料を受けていますが、中に入るレストランや直売所の運営は自分たちの稼ぎでまかなっています。

<Program3>公共施設におけるLED化の現状と施設別の付加価値向上について

【講師】

アイリスオーヤマ株式会社
BtoB事業グループ ライティング事業部
事業部長 江藤 優 氏

プロフィール

平成28年に入社し、令和2年より首都圏エリアの支店長として従事。令和4年から法人向けLED照明を取り扱うライティング事業部の事業部長を勤めている。


カーボンニュートラル、エネルギーコストの上昇という社会課題の中、省エネルギーの取り組みとして照明のLED化が注目され始め、現在では国内約57%の照明がLED化されている。そうした中でアイリスオーヤマ株式会社は、全国70カ所の拠点が様々な手法で、地方自治体の照明LED化をサポートをしている。カーボンニュートラルの実現に向け、施設用途別のLED化率やLED照明がもたらす様々な効果について、江藤氏が紹介する。

ホームソリューションからジャパンソリューションへ

弊社は世界各国に企業展開しており、国内では全国に営業拠点が約70拠点・17工場あります。全国各地に営業所がありますので、地域密着で自治体のフォローを進めています。

弊社の主力商品はプラスチック製品や家電製品ですが、LED電球は2000年代から取り扱っています。東日本大震災で本社も被災し、高まる節電需要に少しでも貢献できればとの考えから、LED事業に本格参入しました。

弊社のモットーの1つが「ジャパンソリューション」です。日本全体が抱える課題の解決につながる商品を展開するということで、それまでの「ホームソリューション」から「ジャパンソリューションへ」と進化しています。

LED照明は、一般的にはメーカーから電材・販社や工事店を通し、自治体にお届けしています。弊社は自社に開発製造や電気工事の部隊を有していますので、メーカーでありながら自治体に直接提案し、設置も含めたサービスを展開しています。

LED照明市場の現状と社会課題について

以下のグラフは、LED照明が国内でどれくらい普及しているかを示したものです。日本照明工業会は、2030年度までにLED化100%を目指していますが、21年度末時点で、まだ約50%です。ただ、昨今の電気代高騰により、節電ニーズは非常に高まっています。

昨年11月、スイスのジュネーブで「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」が行われ、2027年末までに直管蛍光灯の製造・輸出入が禁止されることが確定しました。そうした社会課題もあり、LED化の需要はより高まっています。

日本照明工業会の発表によると、2021年までに非住宅市場で約44%のLED化が終わっています。しかし、事務所やオフィスビル、庁舎では約40%、学校では約30%しかLED化が進んでいません。

LED化における主な課題は、以下の3つです。
(1)管理対象の公共施設が膨大
(2)財政状況や優先度によって大規模な投資が難しい
(3)計画から設計、実行までに時間がかかる

これらの問題点を解消したやり方でのLED化が、全国の地方自治体で積極的に取り入れられています。それが、我々が提案する「リースゼロプラン」です。

予算を取りLED化をするのが課題の場合でも、同プランだと初期投資がなく、すぐに導入できるというメリットがあります。下記はLED照明リースによるコスト削減をしたイメージです。

LEDをリース契約することで、削減できた電気代からリース料を支払えるため、初期投資がかかりません。このリース料には、LED照明の製品代、設置費用、リース契約期間の保守点検費用、LEDへの切り替え時の産廃処分費用、リース契約時の諸経費が含まれます。そのため、年度費用負担が小さく、費用を平準化することができます。

●リース契約方式によるLED化することによるメリット
・長期リース/単年度の負担額を軽減する
・電気料金等の削減分/リース料金の支払いに充てることができる
・光源寿命が長い/照明の維持管理費用が削減できる
・リース期間満了後/無償譲渡(電気料金・修繕費用のみ負担)

●リース方式によるアフターフォローの優位性
・賃貸借と同期間のメーカー保証を受けることが可能
・メーカー保証対象外事案においても動産総合保険が付保されているため、万が一の場合も保険で対応可能
・問い合わせ窓口(外部コールセンター)を一本化
・年1回の点検業務を任せることも可能

LED化の事例と付加価値について

【東京都青梅市/庁舎】リースでの導入事例
庁舎内をLED化するのに伴い、弊社の無線制御システム「LiCONEX ライコネックス」を導入。スケジュールに合わせて部屋ごとの適切な明るさに調光することで、より節電効果が高まります。特に、夏場や冬場の電力ひっ迫時、制御システムを導入することで省エネ対応できます。

【埼玉県深谷市/ビッグタートル】リースでの導入事例
屋外スポーツ施設や運動場の照明設備を、リース契約でLED化する自治体も最近増えています。ビッグタートルという総合体育館のLED導入事例ですが、この施設は地域のレクリエーションから国際・国内試合、インターハイなど、様々な用途で使用されます。レベルに合わせた照度を、LEDで調整可能にしています。

また、近年の自然災害頻発化により、体育館を避難所として利用する機会が増えています。照明が明るすぎる避難所では、避難者の心が落ち着かない場合があります。LED照明は、明るさの調整が細かく行えますので、災害用の照明シーンを組み込むことで、一般的な運用はもちろん災害時の運用にもフレキシブルに対応します。その他の自治体の導入事例は下記を参照してください。

弊社ではこのように、全国の自治体のLED化導入のお手伝いをしています。特にここ2、3年は、体育館の次に学校の教室のLED化が徐々に進んできていますので、お気軽にお問い合わせください。

[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]

Q:自治体が管理する、スポーツ施設のLED化の実績はありますか。
A:先ほどの導入事例でも紹介させていただきましたが、体育館、屋外の野球グラウンドやテニスコートのLED化導入事例は増えています。直近では、岩手県一関市の一関運動公園様があります。屋外の運動場の場合、管理棟とグラウンドがかなり離れている場合が多いのですが、コイン式スイッチの制御システムがかなり老朽化・故障しているという課題を、よく耳にします。無線の照明制御システムなら屋外から無線で飛ばすことができますので、照明をLED化する相談をいただいた際には、同時に制御システム改修の提案もしているところです。

Q:リース契約のアフターフォローで、窓口の一本化ができる点について詳しく知りたいです。
A:何か不具合があったときの問い合わせをする際に、メーカーに問い合わせするのか、工事会社に問い合わせするのか、不明確な場合が多いようです。その点、リース方式の場合はリース会社が窓口になりますので、問い合わせを一本化できるわけです。

<Program4>官民連携で進める脱炭素と産業振興の取組み

【講師】

e-dash株式会社 エンタープライズ部
部長 井上 雅章 氏

プロフィール

平成20年、三井物産入社。全社IT基盤の運用開発、インフラ開発・運用等に関与。火力や再エネ発電、人工知能による再エネ最大活用等、各種省エネ・脱炭素取組に従事。令和4年よりe-dashに参加し、高度なコンサルティングを含むプロジェクトや自治体連携プロジェクトを統括。


地元金融機関と連携し、中小企業の意識醸成とCO2排出量の可視化を推進する「域内企業支援」や、自治体が所有する公共施設のCO2排出量の可視化など、現在進行中である複数の自治体事例を、井上氏が紹介する。官民連携による推進体制の構築や運用方法など、現場職員の困り事を踏まえた内容だ。

脱炭素に向けた取り組みステップ

弊社は、CO2排出量の可視化・報告・削減のサービスプラットフォーム「e-dash」を中心にサービスを展開しています。脱炭素をどのように実現すれば良いか分からないという自治体のご担当者様も少なくない中、そういった皆様をしっかりお手伝いし、伴走しています。

脱炭素に向けた取り組みの最初のステップが、今どれぐらいのCO2を排出しているかを把握することです。これをもとに排出量削減目標を設定し、適切な削減手段を実行していきます。

もちろん、単発的に削減を実行しても、カーボンニュートラルは達成できません。PDCAサイクルを回しながら、歩みを進めることが必要です。長い取り組みの中でしっかり情報開示し、環境意識の高さを企業価値につなげていきます。これらを総合的に支援するのが、弊社の事業となります。

サービスのご紹介

弊社は、SaaSの形で提供するクラウドサービスを起点に、企業や自治体のCO2排出量の可視化から削減まで、総合的にサポートしています。特殊な機材や知識などは必要なく、インターネット接続が可能なPCがあれば、誰でもすぐに開始できます。

●サービス概要
・誰でも手軽に取り組めるCO2排出量の可視化
・取り組みの道標となるCO2排出量削減目標の設定支援
・取り組み方のアドバイザリーをはじめ、具体的なCO2排出量の削減提案

●排出量算出の考え方/GHGプロトコル
温室効果ガスの排出要因となる活動を、以下図の通りScope1、Scope2、Scope3に分類しています。まず、自社のエネルギー消費に由来するScope1・2の部分を、しっかり可視化・削減することが、脱炭素の取り組みの第一歩と言えるでしょう。

●「e-dash」を使ったCO2排出量の可視化(Scope1‧2)
弊社の「e-dash」を使用すると、経験や専門知識をお持ちでなくても、光熱費関連の請求書をアップロードするだけでシステムが内容を解析し、エネルギーの使用量やCO2排出量を可視化できます。もちろんScope3に関しても、可視化の支援も行っています。

●CO2排出量の削減
「e-dash」は単なる可視化ツールではなく、利用者のデータにもとづくCO2削減への取り組みも支援します。下記の4項目にもとづいて、各企業の状況に適した施策の検討や実行を提案します。

●削減施策の検討支援「フェーズアップミーティング」
削減施策の検討支援を、弊社では「フェーズアップミーティング」と呼んでいます。光熱費関連の請求書をクラウド上にアップロードいただき、過去1年分以上のデータが揃った企業・団体に対して、削減施策の検討をサポートする提案ミーティングを実施します。

●導入時の手厚いサポート
弊社のソフトウェアは、簡単にご利用いただけるようにつくられており、さらにキックオフミーティング(オンライン)、フェーズアップミーティング(オンライン)などのサポート体制を整えています。

●大手監査法人による第三者検証
CO2排出量可視化サービスでは国内で初めて、CO2排出量の算定方式について、大手監査法人による第三者検証を実施しています。

官民連携で進める脱炭素への取り組み(事例紹介)

企業に対し、具体的にどのような支援が必要なのか、悩んでおられる自治体も多いようです。以下が、代表的な課題と、地域企業の脱炭素化に向けた推進スキーム例です。

この中で、非常に重要な役割を担っているのが地域の金融機関です。脱炭素の取り組みを進めたいが、やり方が分からなくて始められない企業の情報を、地域の金融機関は多数持っています。

そのため、自治体と地域の金融機関と弊社とで、地域の脱炭素化を支援する事例が増えているのです。

「e-dash」での自治体連携プロジェクト事例

令和5年度も、宮崎県や富山県など多くの自治体と連携し、「e-dash」を通した地域企業の脱炭素支援を実施しました。このうち宮崎県では約100社の県内企業を対象に、CO2排出量の可視化から削減施策の提案までを実施。各社のCO2排出量データを連係して一元管理できる「e-dash Partners Portal」を用い、県が把握できる仕組みも提供しています。同様の取り組みを、弊社ホームページで紹介していますので、ぜひご覧ください。

「多数の企業を集めて契約管理を行う」、「多数の企業の排出量可視化を行い、排出削減検討を行う」などの場合、弊社に一括発注いただくことにより、自治体は最小限のリソースで地域企業を支援することが可能です。その結果として、「多数の企業の排出量データが収集可能で、実データを踏まえた支援政策が検討可能」、「地域全体に紹介しうる具体例の確保も可能となり、金融機関の関与により削減実施時の資金ニーズへの準備も兼ねる」などのメリットも生まれます。

簡単に始められて削減支援が行える「e-dash」を、地域の脱炭素支援プログラムに組み込むことで、自治体、弊社、金融機関が連携した脱炭素経営の後押しが可能になると思っています。企業が脱炭素経営を目指す上で、何らかの設備投資が必要な場合もありますが、金融機関が関わることで、融資が受けやすくなる場合もあります。ぜひ一緒に、脱炭素経営に取り組みましょう。

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