ジチタイワークス

鹿児島県日置市

【企業版ふるさと納税のススメvol.2】寄附が“挑戦”を可能とし、組織強化の機会にもなる。

企業版ふるさと納税活用のススメ

自治体の地方創生の取り組みに企業が寄附すると、法人関係税から税額が控除される「企業版ふるさと納税」。その営業支援を行う「ジチタイアド」代表の時津と、令和4年に契約した日置市の永山市長が思いを語り合った。

※下記はジチタイワークスVol.30(2024年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ジチタイアド

左:日置市 市長
永山 由高さん
右:ジチタイアド 代表取締役社長
時津 孝康

ながやま よしたか:日置市出身。鶴丸高校、九州大学卒業後、日本政策投資銀行に入行。2009年鹿児島にUターンし、鹿児島天文館総合研究所理事長やベンチャー企業などを経験。2021年、日置市長に就任。

ときつ たかやす:福岡県朝倉郡筑前町出身。株式会社ホープ 代表取締役社長兼CEO、株式会社ジチタイワークス 代表取締役社長。


自治体がSOSを発信すれば多くの人と課題解決に挑める。

時津 まずはふるさと納税を含めて、市の財政状況について教えてください。

永山 令和4年度一般会計の決算では、歳入が約308億円。今後、公共施設の維持管理にかなりの投資が必要となるため、財政状況としては予断を許さないところです。自主財源はそのうち3割程度しかなく、自主財源比率が低いことが課題です。ふるさと納税は個人版と企業版を合わせて自主財源の約17%を占め、貴重な財源になっています。

時津 ふるさと納税は伸びていますか。

永山 個人版は毎年1億円規模で積み上げていますが、今や返礼品競争になっていて、生産体制に課題が見えてきました。それを打破するためのアプローチとして、一つはクラウドファンディング型にして返礼品によらない形をつくること。もう一つが企業版で、これから力を入れていきたいと考えています。

時津 なるほど。企業版には未着手の自治体も多いですが、どうお考えですか。

永山 当市は大きな市ではないので、社会課題や地域課題と向き合うときに、行政の力だけで解決するのは困難だという前提に立っています。必然的に、民間企業、学校、市民など、様々な人との連携が必要です。重要なのは、自分たちはここに困っている、これを助けてほしい、という“SOSを伝える力”。企業版ふるさと納税でプロジェクトを提示することは、私たちが企業にSOSを発信する機会になります。もちろん財源としてもありがたいのですが、将来連携できる可能性のある企業がリストアップされていく、という側面にも大きな意義を感じています。

時津 企業版に貴市が29ものプロジェクトを打ち出しているのは、課題を知ってもらう意図があったのですね。

永山 その通りです。どんな事業なら市外の企業に関心をもってもらえるのか、マーケティングにもなると思っています。

令和5年、脱炭素先行地域に選定された日置市。生ごみ回収事業など29事業(令和5年度)で寄附を募っている。

本気のビジネスモデルでWin-Winのパートナーに。

時津 企業版ふるさと納税の取り組みで、当社と契約した理由を聞かせてください。

永山 まず、現在の規模では、まだ企業版には内部の人手を割けないことが一つ。また、この10年ほどで、行政のサービス改善を手がける企業が増えてきました。行政の業務改善が地域や国の幸せに作用する、という意識をもって動いている企業には大いに共感しています。中でも「ジチタイワークス」を愛読していて信頼感があったため、そのグループ会社である貴社から業務支援の提案があり、ぜひ一緒に取り組みたいと思いました。

時津 創業以来、自治体支援に特化してきましたので、それは大変うれしいです。

永山 レベニューシェア(利益を分配する成果報酬型の契約)という誠実なビジネスモデルであることも心強かったですね。成果がなければ貴社には利益が一切出ませんので、本気なのだと感じました。

時津 はい、お互いにいい形でないと継続できませんよね。こういった支援がないと、自治体が独自で企業から寄附を募るのは、厳しいのではないでしょうか。

永山 そうですね。個人版は返礼品の充実がポイントなので、商工関連の部署単独でも進めやすい。一方で企業版は、当市のように多くのプロジェクトを出していくとなると、全庁的に横串を通す必要があります。役所は縦割り組織なので、中で横串を通すことが実は難しくて。貴社と取り組むことで、外から客観的に当市を見てもらった上でPRができることも、メリットだと感じています。

連携できる企業の候補が増え自治体の可能性が広がる。

時津 貴市の支援を始めた令和4年度は、寄附企業20社のうち17社が当社の紹介でした。この成果はいかがでしょうか。

永山 令和3年度は5社程度でしたから、本当にありがたく思っています。金額も大切ですが、寄附社数が増えるという点が重要です。こうして寄附をいただいた中から将来的な連携の可能性を、今度は私たちが考えていく番だと思っています。また、ふるさと納税はプラスオンという存在なので、市として毎年やるべきことは基本的な財源で対応し、ふるさと納税で寄せられた資金はチャレンジングなことに使えます。例えば、昨年度は個人版でメタバースのクラウドファンディングに挑戦しました。不登校の子どもがメタバース上なら学校に通えるかもしれないといった可能性を探る、未知の領域です。そこに一般財源から投資するのは理解を得るのが難しいですが、ふるさと納税なら地域の皆さんに説明しやすいんです。

時津 自治体の資金調達力と、それをどこに投資していくかは、長い目で見るとブランディングにもつながりそうです。新たな自治体経営の姿ではないでしょうか。

永山 組織にもいい影響があります。チャレンジングな事業を経験した職員は、次に守りの部署に異動になっても、自ら考えて挑戦できるようになります。ふるさと納税は、失敗が許されないといわれる自治体組織が、挑戦できるチームに変わっていくための起点になり得ると考えています。

時津 すごい可能性がありますね。

永山 私自身、寄附企業のリストを見て、この縁をきっかけに課題解決のために何か一緒にできないかなと考えています。行政と民間はビジネスモデルが違うだけで、最終的に、持続可能な地域社会をつくるという大きなミッションは同じです。企業版ふるさと納税の価値をどう最大化できるか、模索していきます。

※内閣官房・内閣府 地方創生サイト「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和4年度寄附実績について」をもとに作成

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サービス提供元企業:株式会社ジチタイアド

レベニュー事業部

TEL:092-716-5577
E-mail:kigyou_furusato@zaigenkakuho.com
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