企業版ふるさと納税活用のススメ
自治体の地方創生の取り組みに企業が寄附をした際に、法人関係税から税額が控除される「企業版ふるさと納税」。その営業支援を行う「ジチタイアド」代表の時津と、小城市の江里口市長が制度の意義や今後について語り合った。
※下記はジチタイワークスVol.29(2023年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ジチタイアド
左:小城市 市長
江里口 秀次さん
右:ジチタイアド 代表取締役社長
時津 孝康
えりぐち しゅうじ:佐賀県小城町(現小城市)出身。小城高校、西南学院大学卒業。小城町長を2期務めた後、平成17年に4町が合併して誕生した同市の市長に就任。令和3年から佐賀県市長会の会長も務める。
ときつ たかやす:福岡県朝倉郡筑前町出身。株式会社ホープ 代表取締役社長兼CEO、株式会社ジチタイワークス 代表取締役社長。
本気度と好条件にひかれて企業への営業などを依頼。
時津 企業版ふるさと納税に取り組むようになった背景を教えてください。
江里口 当市は、個人版のふるさと納税では早くからインターネットを活用し、寄附額が全国8位になった経験があります。ただ、最高18億円で頭打ちになり、伸び悩むように。そこで、企業版ふるさと納税にも取り組んでみようと、税額控除が拡大して手続きも簡略化された令和2年度にスタートしました。
時津 私たちは自治体の財源確保のために様々なサービスを提供しています。その中の一つとして、令和2年度に企業版ふるさと納税支援事業を立ち上げ、小城市とも出会いました。
江里口 いざやろうとしてみたものの、市外の企業とはお付き合いがなく、職員が営業するノウハウも余裕もなく、初年度は寄附をいただくことができなかったんです。そんな折に貴社から案内が届き、話を聞いてみることに。企業への営業を代行して寄附を促すといったもので、まさしく当時の課題を解消する内容でした。企業版ふるさと納税専門の部署を立ち上げ、本気でやろうとしている姿勢や、完全成果報酬型で金銭的なリスクがないことも後押しとなり、契約しました。
時津 貴市が私たちの最初の契約先となりました。先行する自治体がないことに不安はありませんでしたか?
江里口 「ジチタイワークス」を発行している会社のグループなので安心感がありましたし、むしろ最初だからこそ力を入れてもらえそうと期待していました。実は他社からも提案はあったのですが、片手間でやっている印象を受ける一方で、貴社からは熱意をひしひしと感じられたことが決め手になりましたね。
寄附してくれた企業との縁が新しいPRのきっかけに。
時津 フットボールセンターの整備、市庁舎の防災機能強靭化などの事業で寄附を募ってきました。いざ取り組んでみて、どのように感じていますか。
江里口 様々な企業に応援していただけるようになり、非常にありがたく思っています。多くの事業ではなく、毎年2つに絞って紹介してもらったのが良かったのかもしれません。パンフレットの制作や企業への御礼であるベネフィットの設定も相談できますし、スムーズに進んでいます。
時津 やみくもに営業をかけるのではなく、まずは小城市に何か縁のある企業に対して、市の魅力や事業内容をしっかり説明して提案しています。市が独自で集める寄附とはきちんと区別して、あくまでも私たちは職員さんの手がまわらない企業に働きかけ、自分たちの成果に対して報酬をいただくようにしているのです。
江里口 令和3・4年度は、多くの寄附をいただくことができました。実は、企業版の寄附の9割以上が貴社経由です。2年で延べ53社以上の企業とご縁ができました。企業版ふるさと納税をきっかけに始まった事業もあるんですよ。寄附をいただいたある企業から、大阪の駅ビルで地元特産品のPRをしないかとお声がけがあり、依頼してみました。実際に訪問したところ、とてもセンスよくミニアンテナショップのようになっていて。成果も出ており、うれしいですね。その企業にも喜ばれて、翌年度も寄附をいただきました。
時津 まだ企業版ふるさと納税に取り組んでいない自治体も多い中で、貴市は、先進的で柔軟な印象があります。
江里口 職員たちのおかげでしょうね。常に広く興味関心をもち、勉強して、チャレンジしてくれるので。しかも楽しんでいる様子で、心強く思っています。全てがデジタルでは気持ちが入りません。アナログの部分も重要だと思っています。
▲健康・スポーツの拠点となるフットボールセンターの整備を、寄附募集プロジェクトの一つとした。※写真はイメージです
自治体と企業がつながり地方創生を進めていく。
時津 企業版ふるさと納税に関して、今後の展望をお聞かせください。
江里口 豊かな自然環境を守るためのプロジェクトも検討しています。「美しい日本のむら景観百選」や「日本の棚田百選」に選ばれた江里山地区で中高生が活動する「たなだ部」や、希少生物のムツゴロウが生育する保護区など、魅力的な資源がありますので。景観だけでなく、棚田には治水機能がありますし、中山間地域がなければ害獣が市街地に下りてくる。都会の人にとっても価値はあるんです。
時津 いいですね。地元では当たり前でも、市外の人にとっては価値のある資源が、地方にはたくさんありますから。
江里口 もはや自治体の財源だけでまちづくりをすることは難しく、民間と一緒に取り組まなければ立ちゆかなくなります。企業版ふるさと納税は、単に寄附をいただく以上に価値のある制度です。官民連携の縁をつなぎ、企業にとっては新しいビジネス、自治体にとっては住みやすいまちづくりにつながる。特別措置により税額控除が最大9割になったことで、マーケットが拡大していますが、この措置が来年度いっぱいとなっているのは痛手です。市長会などでも発信して、この制度の活用をもっと広めていきます。
時津 この先も地方創生を進めるには欠かせない制度ですよね。私たちは各自治体の事業に共感してくれる企業を集め、寄附をいただき、ご縁をつなげるよう、これからも全力で支援していきます。
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