ジチタイワークス

公務員のメンタルヘルス。より良い住民サービスのために!一番大事なこころの健康とは。

近年、問題が浮き彫りとなっている「メンタル不調」。
働く人の約半数がメンタル不調を抱えているとのデータ(※)もある。

もちろん、公務員も例外ではなく、人手不足による業務負荷の増大や、職場の対人関係の問題など、ストレスを感じている地方公務員も多いようだ。
総務省が行った調査によると、うつや適応障害など、メンタルヘルス不調により休務する公務員は近年増加傾向にあるという。

ともに働く職員がメンタルヘルス不調に陥らないために、職場ではどのような対応をとればよいのだろうか。また、メンタルヘルス不調になってしまった職員に対してはどのようなケアが必要なのだろうか。

3回目の今回は、現役公務員さんに自らの経験をもとに、こころの健康とは何かを考え、こころの不調のSOSに気づくための対策についてお話いただいた。


【公務員のメンタルヘルス】

vol.1 メンタル不調は増えた?役職で違いは?公務員のメンタル不調を紐解く!
vol.2 部下が、同僚が、うつになったらどうする?公務員のメンタルを守るために、組織にできること
vol.3 より良い住民サービスのために!一番大事なこころの健康とは。 ←今回はココ!

※参考:「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」/株式会社NTTデータ経営研究所

● お話いただいた方:ペンネーム 焼魚焼肉さん
埼玉県北部の市役所職員。警察で逮捕術の教官をしていた祖父のもと、4歳から柔道を開始。 様々な武道・武術経験を通じ、心と身体の相関性に気づく。現在は、ロシア武術システマやイス軸法を中心に練習中で、意識や身体の使い方を通じたこころの健康を研究している。2021年公認心理師の資格を取得。

こころの健康って何だろう?

“メンタルヘルス=こころの健康”ということをよく聞きますが、これは非常に曖昧な言葉です。 そもそも、健康とはどういう概念なのでしょうか?

1947年に採択された「世界保健機関(WHO)」憲章の前文では、
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること(日本WHO協会訳)」と定義しています。

例えば、あなたが仕事を、“面倒くさい” “やる気が出ない” “辞めたい”と感じたとき、どこからこころの健康が崩れていると判断しますか?
“辞めたい”は明らかに、崩れていると判断できるでしょう。

では、“面倒くさい” “やる気が出ない”といった場合はどうでしょうか?このように感じることはよくあることです。
よくあることだからこそ見落としがちですが、この言葉が出てきた段階で、こころの健康は崩れているといえます。
 

心の健康は崩れている

なぜなら、本当の意味でこころが“健康”であれば、あらゆる不調や不満は出てこないからです。 仕事が“面倒くさい”とか、“やる気が出ない”と感じたら、それは休息のサイン。

庁舎の階段を上り下りする、外の空気を吸いに出てみるなど、一息ついて、自分の状態を回復させてください。あなたのこころの健康が何よりも重要です。

なぜ、こころの健康が重要なのか。

私がこころの健康の重要性を説明するときには、よくアンパンマンを例に使います。

アンパンマンは、誰かがおなかをすかせていたら、迷わず自分の顔を差し出します。多くの人を助ければ助けるほど、顔が欠けた状態で仕事をすることになります。

そんなとき、バイキンマンが襲ってきたらどうでしょうか?
アンパンマンは顔が欠けている状態では力が出ませんから、ピンチに陥ってしまいます。これは、自治体職員も一緒です。

例えば、窓口対応時や電話応対時だけでなく、職場の人間関係などにも気を配りすぎると、私たちの心の健康は少しずつ崩れていきます。
その状況下では、本来取り組みたい大きな仕事や、業務効率化に集中することは難しいでしょう。

それにも関わらず、私たちは“少しくらいの疲れなら大丈夫だろう”“まだまだこんなもんでは休んでいられない”といって無理をして仕事に取り組んでしまいます。

はた目には美しく見えるかもしれませんが、
私たちの本来の目的は、住民のためにより良いサービスを提供することです。“無理をして”という縛りはどこにもありません。

それどころか、無理をすることにより、本来の力が発揮できずに、著しく効率を下げてしまうことすらあります。
本当に住民のために働きたいと思うのであれば、私たちはこころの健康をしっかりと維持する必要があるのです。
 

こころの健康を守る!電話対応テクニックとは。

最後に、私が電話対応の際に行っているテクニックをお伝えします。

皆さんは仕事中、電話が鳴ったら慌てて受話器を取っていませんか?
よく、「電話は3コール以内に出ること」と言われますが、裏を返せば3コール目までは準備ができるということです。

私は、1コール目で電話が来たことを確認。2コール目で受話器に手をかざし、一呼吸して心の準備。
そして、3コール目で出ます。

この準備をすることで、落ち着いた対応ができるようになります。慌てて受話器を取ると、焦りが相手にも伝わってしまい、お互いに会話に集中できません。

また、受け答えも早口になるため、説明に対して疑問をもたれやすくなってしまいます。
焦ることなく、落ち着いて電話対応をしましょう。
 

電話をしながらメモをする女性

最初は慣れないかもしれません。でも、繰り返しやっていくうちに、準備ができてから受話器を取った方が、落ち着いて対応ができていることに気づくはずです。

いかがだったでしょうか。

今回は、こころの健康に関する基本的なお話をさせていただきました。

私たち自治体職員のこころの健康が、より良い住民サービスへとつながっていきますので、ぜひご自身の状態をチェックし、仕事でもプライベートでも、最高に健康な職員生活を送っていきましょう!

 

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