仕事と家庭を両立する、公務員パパ・ママの理想と現実に切り込む連載。第2弾の今回は、公務員女子限定のFacebookグループ「もやもや公務員女子部」のメンバー3人にインタビュー。【子育て中でもキャリアアップはできる?仕事を両立するためのヒント】をテーマに、子育てと仕事を両立するためのヒントやキャリアアップにまつわる思いや経験などを聞きました。前・後編に分けて、まずは前編をお届けします。
【子育て中でもキャリアアップはできる?仕事を両立するためのヒント】
(1)【前編】子育て期間中に秘めたそれぞれのキャリアアップへの思い。 ←今回はココ
(2)【後編】仕事も子育てもチャレンジしたい人が認められる社会を目指して。
もやもや公務員女子部とは
「もやもや公務員女子部」(通称:もやじょ部)はHOLG(ホルグ)発の公務員女子限定の非公開Facebookグループとして誕生しました。公務員女子の働き方、キャリアプラン、生き方など日々のモヤモヤを吐き出し、新たな一歩に変えていく場です。 もやもやを発信し、ほっと一息つくとともに、逆境を力に変えやりたいことを行動に移す人を応援します。
-参加者-
埼玉県 県民生活部 人権・男女共同参画課 子どもは高2と中3、夫は民間企業に勤務。 |
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長野県木曽町 保健福祉課 子どもは小4と小1、夫は自営業。 |
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東京都総務局 八丈支庁 総務課 子どもは4歳と1歳、夫も東京都職員。 |
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―皆さんは子育てをしながら仕事を続けられています。これまでのキャリアや子育てとの両立について教えてください。
矢嶋さん:埼玉県庁では主査級から主幹級、副課長級の管理職とステップがあり、私は5年前に主幹になりました。子どもが生まれる前は自分のやりたい仕事をするため早く主査になりたくて、主査試験の対象になってすぐに受験しました。
出産前に一緒に働いていた女性の先輩方は、仕事と子育ての両立がとても大変そうで、「両立支援ならぬ、両立試練よ」と冗談を言う人も。不妊治療の末、やっと子どもを授かったこともありまして、子どもが小学校に入るまでは子育てに重点を置くような部署を希望していました。
その後、子育てしながら12年間主査でした。同期は早いと7年で主幹になります。主幹になるのは組織が判断することなので、自分ではどうすることもできない。その時期に一番キャリアのことを考えた気がします。
5年前にようやく主幹になり、マネジメントをする立場になってみると想像していた以上に面白くて、次は管理職を目指したいと思うようになりました。
中島さん:木曽町は小さな自治体で試験制度がなく、組織の判断で係長や補佐、課長に上がっていきます。
私は子どもを2人生んで、下の子が3歳まで5年半続けて育休を取りました。子どもが保育園のうちは育児部分休業も活用し、30分~1時間早く帰ったり、朝30分ゆっくり出勤したりと、後から“もっと子どもとの時間を取ればよかった”と後悔しないよう、利用できる福利厚生は使わせてもらいました。
育休中に同期がどんどん係長になっていて、私も復帰後すぐ係長になりましたが、係長でも部分休で早く帰らせてもらいました。それは、育休や部分休を使いながら働く事例をつくることが、後進のためにもなると思ったから。それに私は管理栄養士なので、所属する保健福祉課には、保健師や3人4人のお子さんがいる上司がいます。そのため、子育てに理解があって働きやすい環境であったことに感謝しています。
長澤さん:私は自分の中で思い描いていたキャリアと現実にズレが生じていて、モヤモヤしているところです。
子どもが生まれる前は、試験を受けて昇進してキャリアを上げていきたいと漠然と思っていましたが、実際に子育てが始まると、保育園の送迎や急な体調不良による自宅保育のために勤務時間が制限されました。
仕事から帰宅後の育児が忙しく、体も気持ちも疲れ切ってしまい両立はかなり難しいという現実にぶつかりました。
なので、子どもが小学校にあがるまでは子育てに理解のある職場で働き、子育てが落ち着いてきたら少しずつキャリアを上げていければ、と思っています。
一方で、少し上のポジションで仕事をしたいという気持ちもあります。第2子育休から復職した年に、同期が数人1つ上の階級に上がるのを見て、自分の中で焦ったり、うらやましいなと思ったり。
でも、上がるかどうかは上司や組織の評価で決まるので自分ではどうしようもなく……。今は色々な思いをいったん置いて、上がれるといいなという程度に考えようとしているところです。
―色々な葛藤があるのですね。子育てと仕事をやり繰りするために、家族の協力体制はいかがでしょうか?
長澤さん:今は八丈島にいて、夫と同じ建物の同じフロアで働いています。出勤前に2人で子どもの準備をして一緒に出勤し、帰りも一緒に帰って、育児や家事を2人でできるのがありがたいです。
矢嶋さん:私の夫は民間企業で都内勤務なので、上の子が保育園の間は私が定時で帰れる職場にいて、基本的に家事育児をやっていました。
上の子が小学校に入るタイミングで、私は土日も夜間もシフト勤務の職場に希望して異動。それからは、車で1時間ほどのところに住んでいる夫と私の親に週1回交代で来てもらい、その日に遅番を入れるようにして、とても助かりました。
今は息子たちが中・高生になり、何でも自分たちでやってくれます。私が朝のうちに夜ご飯までつくっておけば、夜は自分たちでご飯を食べて片付けて、洗濯して、お風呂を洗って入っている。ここ数年、私は仕事で遅くなることも多く、帰って寝るだけの生活ができるのは息子たちのおかげです。
中島さん:会議などで子どものお迎えに行けないと分かっているときは、近くに住む義母にお願いしたり、土日に研修がある際は、車で40分ほどのところに住んでいる私の親に来てもらったりしていました。ただ、義両親は働いていたり、私の親は介護があったりと、それぞれの生活があるので、ためらいはありました。
夫は、家にいるときはいろいろやってくれるのですが、仕事や地域の役員などでいないときも多いので、スマート家電を導入しています。例えば床の拭き掃除やホットクックなどの自動調理鍋、乾燥機付き洗濯機、食洗器などをフル活用しています。※
私は健康を支援する仕事で多くの人に関わってきましたが、子育て期間中は特に女性は睡眠時間を削りがち。寝てない・食べてない状態だと体調を崩したり、早期に病気になる可能性もあります。だからこそ、家事をアウトソーシングしてでも睡眠と食事は大切にしてほしいです。
※横浜市立大学大学院が実施した「横浜市の結婚・子育て世代への大規模アンケート調査(ハマスタディ)」によると、家事の外部化・自動化(例えば、食洗器、ロボット掃除機、全自動ドラム乾燥機、電気調理鍋、お惣菜など)の導入数が多いほど家事時間が減少する傾向がみられたという
参考:「横浜市の結婚・子育て世代への大規模アンケート調査」(横浜市在住の結婚・子育て世代を対象にした5年間(2022年度〜2026年度)にわたる1万世帯を対象とした大規模なコホート調査)」
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―確かに母親は自分のことを後回しにしがちですね。夫婦で役割分担をされていますか?
長澤さん:第1子の育休から復職したときは、朝の子どもの準備と送りは夫で、お迎えとご飯とお風呂は私という感じでした。でも、だんだん私の負担が大きくなって……。家事を書き出して「私がこんなにやってるんだけど、もうちょっと何とかならない?」と言って、分担し直していました。
八丈島に来てからは時間に余裕ができて、ギチギチに分担を決めなくてもまわるように。東京に戻ったら、どうなるかなあ。
中島さん:うちは家事の分担について特に話したわけではないのですが、家事の完了状態(ゴール)は共有してあり、そこへ向けてできる人ができることをやっている感じです。
例えば、私が食事の用意をしたら夫が片付けをして、というようなことが自然とできています。子育てについては、夫は子どもとの関わり方が上手で、一緒にスキーや野菜の収穫など色々な体験をしてくれて、自然からも多くのことを学んでいると思います。
矢嶋さん:うちの夫も子どもに根気強く言ってやらせるのがすごく上手で、そのおかげで息子たちが家事をしてくれるようになったのだと思います。
―「子どものお迎えのために自分だけ早く帰るのが気まずい」という声をよく聞きます。
長澤さん:私は「ごめんなさい!」と思いつつ、子どもが熱を出したときやお迎えの時間にはいつもパッと帰っています。
周囲には「今はしょうがない。5年後10年後に落ち着いたら恩を返していけばいいよ」と言ってくださる方が多くて、ありがたい。育児で時間に制約がある人は「お迎えがあって絶対に帰らないといけないからお願いします」とアピールしてもいいのかなと個人的には思っています。
矢嶋さん:私もかつては急いで帰らなければならない立場だったので、気持ちが分かります。今の職場で子育て真っ盛りの人たちが駆け足で帰っていく姿を見ると「本当にお疲れさま!」と思っています。
男性部下が子どものお迎えで週2日1時間早く帰ることになっているので、ちゃんと帰れるようにすごく気にかけています。打ち合わせ中でも「もう時間だよね」と声をかけたりして。
本人は言い出しにくいから、そこは上司が配慮しないといけない。私もその時期にカバーしてくださった方がたくさんいて、今度は私が心がける番かなと。
中島さん:保育園や学童にお迎えに行くと、うちの子が最後のことが多かったですね。上の子が小学校、下の子が保育園のときは、夏休みになるとお弁当を4個つくり、学童と保育園に連れて行って…とすごく大変でした。
でも、今年2人とも小学校にあがって送迎が1カ所だけになり、とてもラクになりました。そういう面も考えて家族計画をした方がいいと後輩には伝えたいです。
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