公金収納事務の効率化や電子化を求める総務省の通知により、金融機関から事務手数料の有料化を迫られている自治体は多いだろう。この事態に南部町では、ほかより手数料が安い口座振替への切り替えを住民に促すことにしたという。
※下記はジチタイワークスINFO.(2023年7月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]セイコーソリューションズ株式会社
キャッシュカードと暗証番号があれば窓口で口座振替の手続きが完了する。
総務省の通知により、金融機関から公金収納にかかる事務手数料の負担が同町に伝えられたが、問題は提示された金額だった。口座振替の手数料が約10円、コンビニ決済が約60円であるのに対して、それまで無料だった納付書で数百円もの事務手数料が提示されたという。そこで、庁内全部署における収納状況を調査し、想定される全ての手数料を計算。
「納付書の利用率は約28%と高く、ほかの納付方法を推進する必要がありました。キャッシュレス決済なども検討しましたが、高齢化率が44.3%の当町では難しい。検討の結果、住民になじみのある口座振替を推進することにしました。しかし、口座振替の受付窓口である金融機関が、支店の統廃合により減少し、当町の一部地域にしかない状況。口座振替を促進するには、受付手続き自体を見直す必要がありました」と、三枝さんは振り返る。
そこで、事務手数料の軽減・住民の利便性向上・自治体業務の効率化の3つを目指して導入したのが、「セイコーソリューションズ」の「ペイジー口座振替受付サービス」だ。
口座振替依頼書の記入や押印、銀行への提出が不要になる。
これまでの受付手続きは、役場や金融機関に置いてある口座振替依頼書に、住民が必要事項を記入して押印。金融機関の窓口へ提出していたという。来庁者に口座振替依頼書を渡すと、そのまま手続きされないことも。記入項目が多いため、住民が途中で手続きを諦めるなど機会損失も多かったという。
「住民が直接銀行の窓口に提出するため、税目などを間違っていることがあります。そうなると、職員が住民に再提出の連絡をしなければならず、双方にとって、大きな負担が生じていました。同サービスなら専用端末にキャッシュカードを通し、暗証番号を入力するだけ。その場で金融機関への照会も行えるので、役場の窓口で確実に受付が完了します。口座振替の利用開始も断然早く、住民サービスの向上にもつながっています」。
導入にあたってはJAMPA※への登録や、各金融機関との調整、決済事業者コードの取得など、様々な手続きが必要になる。令和5年4月の運用に間に合わせるため、金融機関などには急いでいることを伝え、同町でも迅速な対応を徹底。その熱意が先方にも通じ、通常は半年かかるといわれる手続きを約3カ月で完了できたという。
「銀行に行かなくていいので便利」「こんなことができるなんて」など、住民からの評判も上々だ。三枝さんも「周知のために配布したパンフレットを見て、わざわざ来庁してくれた住民もいました。頑張ってよかったです」と話してくれた。
※日本マルチペイメントネットワーク推進協議会
ほかのサービス利用も視野に、利便性と業務軽減を追求する。
端末にはバッテリーが搭載されているため、持ち運んで使うこともできる。同町では現在、本庁舎・分庁舎・支所に1台ずつ導入。税務課や住民課などの7課・13種類の口座振替登録に活用しているという。1つの端末に複数税目の設定ができるため、一度にいくつもの税目で手続きが可能。例えば、保育料を口座振替にするため子育て支援課を訪れた住民に、固定資産税や軽自動車税などの口座振替も併せて勧め、その場で手続きすることもあるという。
「運用開始を4月としたこともあり、1カ月で52件もの新規登録がありました。庁内での周知徹底を図れば、まだまだ増やせると思います。今後は対象税目を拡大し、より便利にしていきたいですね」。さらに、体育館やテニスコートの使用料など、口座振替にするまでもない少額決済についても構想があるという。「同端末に搭載されている、二次元コード決済などのキャッシュレス決済も活用を検討したいですね」と三枝さん。手数料を抑えるだけでなく、住民の利便性や、職員の負担軽減にも努めていきたいと語ってくれた。
南部町
総務課 DX推進担当
三枝有希(さえぐさ ゆき)さん
担当者の声
これまで無料だった納付書払いに金融機関の事務手数料がかかることに。当町にとっても痛手ですが、この提示を非難するのではなく、自治体が動くべきだと考えました。
南部町の納付方法内訳
令和3年の納付書での支払いは約28%。高額になると想定される事務手数料を少しでも抑えるため、効果的な施策が必要になった。
届出などで来庁したついでに簡単に口座振替の登録が完了
1.煩雑な口座振替依頼書の記入が不要に
記入項目が多いため、登録手続きが面倒だという人も多かった。また、銀行が判断できない振替開始期の記入などに誤りがあると、自治体から住民に連絡。職員の負担が増える要因にもなっていた。
2.印鑑が不要になり、修正やトラブルが激減
窓口に持ってきていない、届出印が分からない、印影が不鮮明など、印鑑はトラブルのもとになりがち。口座振替依頼書を持ち帰ったまま放置されることもあり、口座振替の機会損失にもなっていた。
3.受付処理が15秒ほどの短時間で完了
キャッシュカードを端末に通し、暗証番号を入力したら、10~15秒ほどで受付が完了。その場で金融機関への照会までできるので、後から利用できない口座だと判明するなどのリスクがない。
住民にやさしい簡単2ステップ
各種税金や公共料金の支払いに
●税務課
町県民税・固定資産税・軽自動車税・国民健康保険税
●学校教育課
学校給食費・教員住宅入居料
●福祉保健課
介護保険料・老人保護措置費
●住民課
後期高齢者医療保険料
●水道環境課
町営水道使用料
●建設課
町営住宅使用料
●子育て支援課
保育料など
マルチ決済対応
同サービスが搭載されている「CREPiCO(クレピコ)決済」は、下記の決済方法にも対応している。
●クレジットカード
●電子マネー
●デビットカード
●銀聯カード
●二次元コード
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サービス提供元企業:
セイコーソリューションズ株式会社
DS本部 CREPiCO統括部 CP営業部
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