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【セミナーレポート】デジタル田園都市国家構想 交付金活用解説セミナー<Day1>

本セミナーでは、国が推進する「デジタル田園都市国家構想」の交付金活用法を2日間にわたって徹底分析。

1日目はデジタル田園都市国家構想実現会議事務局の小野康佑氏が登壇し、デジタル実装タイプの事例を中心とした講演を実施。交付金活用事業に携わった企業からも具体的な取り組み内容を共有してもらいました。

 

<Day2>のセミナーレポートはこちら

概要

□タイトル:デジタル田園都市国家構想 交付金活用解説セミナー【Day1】
□実施日:2023年3月22日(水)
□参加対象:自治体職員
□開催形式:オンライン(Zoom)
□申込者数:198人
□プログラム:
 第1部:デジタル田園都市国家構想交付金について
 第2部:PoC倒れにさせない、持続可能な展開へ
 第3部:愛知県蒲郡市×株式会社インターネットイニシアティブ「データ連携による高齢者の見守り・災害対策」
 第4部:対話型AIロボットで教育現場の負担軽減を


デジタル田園都市国家構想交付金について

デジタル田園都市国家構想で設けられた交付金には複数のタイプがあり、その性質や採択の難易度も異なる。第1部では、自治体がよりスムーズにこの取り組みに参画できるよう、内閣官房の担当官がタイプごとの違いと事業の現状について詳しく解説した。

<講師>

小野 康佑氏
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐

プロフィール

新卒でNTT東日本に入社。新規事業開発室や戦略子会社(NTTe-Sports)の立上げに関わったのち、神奈川県横須賀市への在籍出向を経て、2022年7月より現職(出向)。


私からは、デジタル田園都市国家構想(以下、デジ田)交付金のことを分かりやすく伝えたいと思います。話のポイントは以下の4つです。
(1)デジ田交付金って何?
(2)【速報】R4年度補正の採択状況
(3)事例の紹介
(4)デジ田構想(KPI)の達成状況

デジ田交付金って何?

交付金は3つのタイプに分けられます。1つ目は「デジタル実装タイプ」で、デジタルを活用した地域課題解決の取り組みを支援するものです。

残りの2つは「地方創生拠点整備タイプ」と「地方創生推進タイプ」で、デジタルの実装は必須ではなく、観光や農林水産などの課題解決を支援します。この中で、毎年予算が増えているデジタル実装タイプの事例を中心に紹介します。

デジタル実装タイプにはTYPE1からTYPE3までの3種と、それに準ずるものが存在します。共通要件は「デジタルを活用して地域の課題解決や魅力向上に取り組む」と、「コンソーシアムを形成する等、地域内外の関係者と連携し、事業を実効的・継続的に推進するための体制確立」の2つです。

タイプ別に見ていくと、TYPE3は「マイナンバーカード高度利用型」というもので、データ連携基盤を活用して複数のサービスを実装し、かつマイナンバーカードの新規用途開拓などがあり、その上で総合評価が優れているものが対象です。ハードルは高いですが、補助が手厚くなっています。

TYPE2は「データ連携基盤活用型」で、データ連携基盤を活用して複数サービスの実装を伴っているものが対象。さらにTYPE1の「優良モデル導入支援型」は、既存の優良モデルを活用した取り組みが対象で、活用しやすい設定です。

また、TYPE1の基準に届かないケースには「計画策定支援事業」も用意されています。加えてR4補正限りの「マイナンバーカード利用横展開事例創出型」も今回は採択しました。さらに、「地方創生テレワーク型」もデジタル実装タイプの中で実施しており、こちらはサテライトオフィスの活用を支援するものです。

R4年度補正の採択状況

ここからは、採択結果の話です。デジタル実装タイプは994団体に活用いただきました。内訳は下表の通りです。

最も活用が多かったのはTYPE1。採択された事業分野は、行政サービス、住民サービスが目立ちます。TYPE2・TYPE3は条件が厳しいながらも一定数を活用いただいています。

最もハードルが高いTYPE3では8団体が採択されました。いわゆるスマートシティを目指している、あるいはより高度なところへ到達している自治体が採択される傾向にあります。

TYPE2・TYPE3では広域連携に取り組む団体が増えており、同時に特定分野にフォーカスして、公共交通を軸にする、観光にテーマを絞る、といったものが出てきています。今後、TYPE2・TYPE3を目指す自治体は、自分たちの地域が軸にするものは何なのかを考えることが大切かもしれません。近隣自治体や県などと広域連携体制をとることもできるので、そうした取り組み方も選択肢の1つだと思います。

交付金採択事例の紹介

ここからは事例を紹介します。今回TYPE1で採択された四条畷市では、窓口の利用環境を電子化して“書かない・待たされない・迷わせない”をテーマにサービスを展開していく予定です。また、兵庫県小野市は「持ち運べる市役所の構築」というもの。LINEを活用してAIチャットボットやオンライン予約などのサービスを展開し、業務効率化に取り組んでいます。

このように、採択された行政サービスでは、書かない窓口、オンライン申請が多く、住民サービスでは市民ポータルや公共施設の予約、スマートロックなどが目立ちました。

TYPE2は仙台市の事例を紹介します。同市は防災を強く意識しつつ、日常においても市民ポータルの活用や、“移動”にフォーカスして“行きたい・行ける・行かなくていい”といったニーズに応えるため、デジタルマップやデマンド交通、シェアサイクルなど複数のサービスを組み合わせています。

また、TYPE3で採択された小田原市では、マイナンバーカードを軸としながら、観光客も利用できる地域ポイントや、“デジブラ城下町”と名付けたハブ拠点も絡めてスマートシティを目指す取り組みになっています。

デジ田構想(KPI)の達成状況

最後に、本取り組みの現状について報告します。デジ田では、デジタルの実装に取り組む自治体を令和9年度までに1,500団体にするという目標を掲げています。今回の事業では459団体が新しく採択となり、合計1,161団体というところまで来ています。

まだデジタル活用や交付金活用ができていないというところは、ぜひ次年度は事務局に相談いただき、1件でも多くデジタル化を推進していただければと思います。また、サテライトオフィスの整備に取り組む自治体の目標値は1,200団体ですが、こちらは伸び悩んでおり、今回は新規8団体の増にとどまっています。サテライトオフィスをつくりたいという団体は、ぜひご相談の上、交付金を活用いただければと思います。

PoC倒れにさせない、持続可能な展開へ

地域におけるデジタル活用では、実証実験の段階で頓挫して、いわゆるPoC(Proof of Concept)倒れに終わってしまう事例もある。なぜこうしたことが起きるのか、そしてそれを防ぐ方法は何か。スマートシティ関連事業などを手がける企業の担当者が分かりやすく解説する。

<講師>

田中 正宏氏
株式会社ウフル

プロフィール

2003年 東京外国語大学大学院地域文化研究科修了、学術修士。同年、株式会社ブックデザイン入社。2008年 株式会社COCONを設立。コンサルティング、マーケティング支援、インフォメーション・アーキテクトとしてのUI設計など従事。2014年 ウフルに参画。事業本部長を経て現職。主な管掌範囲は自社プロダクト企画/スマートシティ戦略。

スマートシティ施策の課題から生まれたデータ連携基盤。

このパートでは、スマートシティの取り組みなどで見られる“PoC倒れ”を避けるためにはどうすればいいのか、といったことについてお伝えします。

当社は、クラウドコンピューティングに関するシステム開発を手がける会社で、2014年からはIoTの取り組みを始め、2018年からはスマートシティ事業にも進出。和歌山県白浜町と協定を締結し、同町を拠点に様々な自治体のDX支援を行っています。

こうした展開の中で、サービス基盤として開発したのが「CUCON(キューコン)」というもので、様々なデータをつなぐ基盤になっています。また、地図ポータルの「elcompath(エルコンパス)」も展開しており、これらがセットで「CUBE01(キューブゼロワン)」シリーズというサービスを形作っています。

スマートシティのサービスでは、多くの企業が様々なサービスを展開します。しかし、それぞれ個別のアプリを用意していくと、ユーザーにとって複雑な状態になってしまう。こうした情報を、当社のデータ連携基盤で預かって、その中でデータを共有化して各サービスを拡張し、同時に地図ポータルで情報展開することで、住民がより有用な情報を得やすい仕組みをつくっていくことに取り組んでいます。

分かりやすく伝えるため、自治体の導入事例を紹介します。


防災・観光の両方を視野に入れた白浜町のフェーズフリー事業。

まず、我々がオフィスを構える白浜町では、2018年からデジ田のTYPE1に該当する観光・防災分野の支援をしており、その中で“しらはまこんぱす”というものを提供しています。

これは防災情報と観光情報をセットにして使えるWebベースのアプリです。同町は、温泉やビーチがあって観光に強い。しかし同時に、地域が南海トラフに面しており、台風の通り道にもなっているため災害に対しては非常にナーバスです。

そこで、観光客にこうした情報を届けるため、サイネージなどで情報取得ができて、表示された二次元コードを読めばさらに詳細を知ることができるサービスを構築しています。


使ってもらうことを第一に考えた太地町での取り組み。

また、近隣の太地町では自動運転バスを走らせる取り組みを行っています。スマートシティで自動運転バスを採用したケースでは、走らせることがゴールとなり、実際に使うところまで至らないような事例もあります。そうならないよう、自動運転バスのGPSとデータ連携基盤、地図型のアプリを駆使して住民に情報提供をしています。

このバスの路線にはバス停があるのですが、実際には「家の前にバスがきたから乗せてもらおう」という使い方が多い。そこで、GPS情報をもとに、今バスがどこを走っているという情報をスマホやまちに設置したサイネージ向けに発信。利用者がよりストレスなく使える仕組みを提供しています。

また、画面上には様々な情報を掲載することができ、観光マップとしても、災害マップとしても使用可能。口コミ情報などを共有することもでき、ほかのアプリとの連携も実現しています。

このように、サービスの使い方によって観光や防災、MaaSなどへの活用が可能です。今後はモードを切り替える仕組みも活かし、より多くの人に情報を提供するポータルサイトの構築を目指しています。

ニーズを汲み取ったデータ活用が地域で継続するサービスをつくる。

こうした取り組みで大切なのは、ツールを導入することではなく、体験=UXを設計することです。そのためには、デジタル化により様々なものをデータ化し、それをニーズに合わせて展開していくことが求められます。

例えば白浜町では、観光客に防災情報を届けたいというところから始まり、観光客は事前準備を整えているわけではないので、インストールが必要なアプリではなくWebアプリが良いと判断。さらに避難時には現地の協力も必要になるので、意識向上のワークショップなども行い、災害時の動きについて議論しました。デジ田の交付金を申請される際にも、単純にシステム導入を語るのではなく、こういったワークショップなども含めた取り組みを推進することが、PoC倒れにならず継続して使ってもらえるサービスづくりにつながると思います。

当社はサービス開発のコンサルも手がけていて、上記のような形で、大きく4つのステップを踏んでいます。

地域にどういったサービスが提供できるかを考える際には、データを分析してサービス設計し、それを元に簡単なアプリをつくり、その反応をチェックしてフィードバックしていく、そんなステップを踏んでいくことが重要です。

愛知県蒲郡市×株式会社インターネットイニシアティブ
「データ連携による高齢者の見守り・災害対策」

蒲郡市では、在宅医療を受ける1人の市民の声が波紋のように広がり、地域内医療の連携をつくり上げた。その具体的な経緯と、そこで活用されたデジタル技術の内容について、サービスを提供した企業と市の各担当者が紹介する。

<講師>

浅井 直幸氏
愛知県蒲郡市 健康福祉部 長寿課
地域包括ケア推進室 室長

プロフィール

1997年に蒲郡市役所へ入庁。健康推進課、企画広報課などを経て、2021年より現職。趣味は卓球。

災害時に医療機器を止めないために地域でつくったネットワーク。

喜多:ここからは、蒲郡市のデータ連携に関する事例をお伝えします。インターネットイニシアティブの北が、蒲郡市の浅井さんへインタビューする形式で進めます。早速ですが浅井さん、蒲郡市の状況を教えてください。

浅井:私の主な業務は地域包括ケアシステムの構築で、介護保険の地域支援事業を中心に担当しています。事業では、市内の医療機関や薬局、訪問看護ステーションや居宅支援介護事業所などと情報連携をするため、「東三河ほいっぷネットワーク」という電子連絡帳システムを2015年から使っています。

近年は特に連携する患者数が伸びており、投稿数もこれに応じて伸びています。コロナの影響で接触を避けつつ情報連携したいということなどが背景にあるようです。
以上が当市の状況ですが、北さんからは愛知県での利用状況をお願いします。

喜多:この電子連絡帳はクラウドで提供しており、全国70の地域で導入が進んでいます。愛知県では49の市町村で導入され、地域の専門職をつなぎつつ、防災や健康増進、介護予防など様々な取り組みに活用されています。その中の1つが蒲郡市ですが、どのような課題があったのでしょうか?

浅井:平成30年の台風24号が発端です。当市では約1万4000世帯が停電するという事態になりました。そのとき、人工呼吸器を使っていたALSの患者さんが、訪問看護の医師に「電気が来ないままになったら私はどうなるのか」と問いかけたのが、この事業のきっかけになりました。
こうした方々は、電気が停まると医療機器も停止してしまうので、命の危険に直面します。

当市ではこの事態を重く受け止め、取り組みを始めました。保健所や医師会、市民病院、消防本部、さらに電力会社や医療機器の取扱い業者に声かけをして、関係機関が連携する「蒲郡電源あんしんネットワーク」を設立。災害時の停電に備えて、人工呼吸器や在宅酸素療養者への支援に取り組み、関係機関で防災協定を締結しています。


関係者の情報共有という課題を情報連携システムで解消!

喜多:組織を立ち上げ、実際に運用していく上で課題はありましたか?

浅井:大きな課題が2つありました。対象者の全数把握と、関係者による情報共有です。まず取り組んだのが全数把握で、医療機器メーカー6社に問い合わせて、市内に110人の患者がいることが把握できました。さらに具体的な情報を集めるため、全対象者に案内チラシを配布、市へ登録していただくことにしました。

次に取り組んだのが情報共有。ほいっぷネットワークが持つ災害時情報連携システムを使い、患者の情報を共有することにしました。このシステムによって最新情報を常時把握でき、災害時の支援にも役立てられるようになっています。

また、災害時は患者さんの居住地にも停電している地域とそうではない地域があるので、電力会社の協力を得て停電情報をマップに反映させ、トリアージが可能になりました。関係機関にも非常に便利だと評価いただいています。

喜多:ここまでは従来の実績ですが、蒲郡市は令和4年度のデジ田交付金でさらに新たな取り組みを進めています。それについて教えてください。

浅井:災害時には電話連絡もできなくなることがあるので、そうした事態に備えた連絡手段を確保する必要があります。そこで活用したのがデジ田交付金です。

まず取り組んだのは、会話型ロボットの活用です。ロボットは登録者と家族が会話する目的ですでに使われていたのですが、行政とも連絡が取れるようにしました。バッテリーがあるので停電時でも利用できます。

続いて取り組んだのは、ロボットが確認した安否情報を関係機関で共有する仕組みです。ここではデータを連携させて、ほいっぷネットワークに反映させるようにしました。これで携帯電話がつながらなくても関係者が登録者の安否を確認できます。

デジ田交付金で整備した情報基盤で自宅療養者の安全・安心を全国へ。

喜多:最後に、浅井さんから本取り組みのまとめをお願いします。

浅井:この取り組みで常に念頭に置いていたのは、新しいデータをつくるのではなく、様々な関係機関が保有するデータをいかに連携させるかということです。そのための基盤整備には、デジ田交付金は欠かせないものでした。そして、基盤の整備により、在宅で療養されている方が安心して暮らせるようになったことが1番の成果だと思っています。

喜多:浅井さんの話を聞き、交付金を活用しながら、既存のサービスをうまく組み合わせる工夫が大事だと実感しました。

本日紹介した取り組みは、希望する地域でどこでも使えるクラウドサービスとして実装が完了しています。様々なデータやサービスと組み合わせることで、ほかの地域の課題にも対応できる仕組みづくりができればと考えているので、引き続き宜しくお願いします。

対話型AIロボットで教育現場の負担軽減を

第4部は教育がテーマ。学校の現場で教職員の負担増が課題となる中、複数の企業が連携したソリューションが活躍し、デジ田交付金の採択も受けて活用の場を広げようとしている。その動きの中心にいる“ユニボ先生”について2名の担当者が語る。

<講師>

左:浅井 めぐみ氏
古河産業株式会社

右:鈴木 博文氏
有限会社ソリューションゲート

浅井氏プロフィール

広告営業、製薬メーカーでの法人営業や製品開発などの経験を経て現職。所属する事業部では教育ロボットの他に畜産・農業・防災・IoTなど多岐にわたる分野の事業創出を目指している。

 

鈴木氏プロフィール

大手半導体試験装置メーカーにて20年勤務後、独立し起業。教育をキーワードに各種教育の企画・開発を行っている。2018年からロボット先生の開発をスタート。教育現場の様々な課題を解決すべく取り組み中。

 

教育現場で教職員をサポートするAIロボット“ユニボ先生”とは?

浅井:古河産業の浅井と申します。第4部ではソリューションゲートの鈴木社長にも登壇いただき、対話型AIロボットによる教育現場の負担軽減について共有します。私が所属している部署では教育や食品、ヘルスケアなどの分野で新しい事業を創造する活動をしており、教育向けAIロボットに関する事業も進めています。

そのロボット開発を担っているのがソリューションゲートです。ロボットの企画開発に取り組んでいる会社で、その知見を活かし、ユニロボット社が手がけているロボットを教育向けに開発、「ユニボ先生」と名付け、3社連携で事業を展開しています。

ユニボ先生は卓上型のコンパクトなモデルで、机に置いて生徒が画面モニターのタッチディスプレイを見ながら授業を進めます。AIが搭載されているので、会話を通して一方通行にならない学習を行えるのが強みです。

コンテンツとして備わっているものは主に算数の教材で、1年生から6年生までの指導要領にもとづき動画での学習を進めます。ほかにかるたやプログラミングの機能も備わっており、このユニボ先生で、以下のような教育現場の課題解決ができると考えています。

続いて、ロボットの役割について鈴木社長が説明します。

ユニボ先生の授業を通して学校・生徒が変わり始めた。

鈴木:ユニボ先生は、算数の授業を子どもと会話しながら進めていくことができるロボットです。まず単元のポイントを説明し、理解できたかどうか問題を出して、子どもが解き終わると答え合わせをし、子どもに「できた?合ってた?」と確認し、間違っていたら解き方を教える、というところまで対話で進めていくことができます。

このユニボ先生で解決したい課題は、教育現場における先生の負担です。さらに、教育の場面で不利になりがちな、不登校児童や特別支援学級の子どもたちにも質の高い教育を提供したいと考えました。

ここで、活用事例を紹介します。

最初に公立の学校で取り組んだのが、広島県の小学校の複式学級です。広島県の「ひろしまサンドボックス」という実証事業で採択され、令和4年1月から取り組みを開始しています。

上記は1年生と2年生の授業の様子です。1人の先生が同時に2学年を見なくてはならず、先生の負担が大きい。また、1年生を指導すると2年生は間接指導になってしまいます。そこにユニボ先生を入れると、タブレットとは違い会話をしながらの授業になるので、準直接指導のような形になります。先生は「この教材のこの部分を使おう」と決めるだけでいいので、だいぶラクになったとのことです。校長先生にもヒアリングしたところ、以下のような回答(要約)をいただきました。

「最初は5~6年生から始めたのですが、可愛らしいロボットなので生徒は愛着を持っていました。対応も非常に丁寧なので、担任も『ユニボ君に任せておけば安心』と信頼しています」
「1~2年生もユニボ先生に愛着を持ち、学習にも意欲を持ってくれています。生徒たちの様子も楽しそうだったので安心しました。予想外だったのが、生徒に個人差がある場合、互いに教え合うシーンがみられたこと。これは嬉しかったです」

以上が校長先生の感想です。こうした実証実験を繰り返す中で分かってきたのは、“人間の先生が難しいことや、相性が合わないケースもある”ということです。例えば小学校1年生のAさんは、勉強がつまらないと言って1時間以上床に転がってぐずることもあったのですが、ユニボ先生の時間になると前に座って、ずっと勉強していました。

また、2年生のBさんは、問題が解けなかったときにも「分かってるからいい」と言い張ります。でもユニボ先生には「教えて」ときちんと言えるのです。

こうした効果が見られたため、特別支援学級をはじめ、フリースクールや不登校の子どもたちの指導、さらに学童など色々なところで使えると考え、実証実験を進めています。

では普通学級ではどうかというと、1クラス全員を同時に教えるのは難しいのですが、沖縄県の小学校では全体を算数の得意な子から苦手な子まで3グループに分け、担任の先生とユニボ先生2台で授業をしました。個別最適な学習を同時に提供できないかという実験ですが、これも非常にうまくいきました。

浅井:ありがとうございました。加美町では交付金の採択が今期決まり、今後は各小学校や幼保施設への展開を進めていく予定になっています。

これから自治体と取り組みたいこととして、ユニボ先生のかるた機能で郷土かるたを子どもたちと一緒につくり、かるた大会などを開催したり、プログラミングコンテストを開催したりできればと考えています。当社ではそうした情報も今後アップデートしていきますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。

お問い合わせ

ジチタイワークス セミナー運営事務局

TEL:092-716-1480
E-mail:seminar@jichitai.works

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