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「公務員=安定」から脱却、将来のお金への不安を減らす具体的なステップ

子どもの教育費や親の介護、老後資産など、将来のことを考えるとお金の不安は尽きない。

「公務員は収入が安定している」といわれるが、その一方で生涯年収がある程度見通せるからこそ、資産形成についてはしっかりと考えていきたい。しかし、「何から始めればいいの?」「公務員に最適な資産形成ってあるの?」「どんなリスクに注意すればいいの?」など、尽きない悩みから最初の一歩が踏み出せない……。そんな悩みもしばしば耳にする。

そこで本企画では、安定している公務員から投資家に転身し、「脱公務員大家」としても活躍している土肥孝行さんに、資産運用への不安を払拭するヒントとなる「お金の授業」を執筆いただいた。

第2回では、お金の不安に“バイバイ”するために行うべき具体的なステップについて。詳しく見ていこう。

 

【不安にバイバイ、公務員のお金の授業】

(1) 不安から脱却、安定している公務員が投資家にデビューしたワケ。
(2) 「公務員=安定」から脱却、将来のお金への不安を減らす具体的なステップ ←今回はココ
(3) 不動産投資は公務員に適してる?リスクとメリットを徹底解説「不動産投資のススメ」

 

第1回では、私の自己紹介を兼ねまして投資を始める経緯をお話させていただきました。2回目の今回は、お金の不安を取り払うために行うべき具体的なステップについてお話させていただきたいと思います。

お金の不安を払うために行うことは、大きく分けて次の3ステップになります。

Step1:現状把握
Step2:家計改善
Step3:資産運用(投資)

順を追って見ていきましょう。

Step1:現状把握 

収入のチェック

現状把握でまず行いたいのは、毎月の給与明細と、年間を通した収入が分かる源泉徴収票の確認です。源泉徴収票を見ることで、社員は年間で会社から支払われた金額と自分がいくら納税したのかが分かります。

細かい税額の見方やその計算式などの詳細は今回のコラムでは割愛しますが、自身の収入・支出を知ることが家計の見直しの第一歩です。毎年もらう源泉徴収票、毎月の給与明細も注意深く確認して所得・控除・税金を把握しましょう。そうすることで税金や社会保険の仕組みも分かるようになります。
 

支出のチェック

源泉徴収票を確認して、収入や税金の内訳を把握したら、次に支出を確認します。日々の支出管理には家計簿を活用しましょう。そもそも、みなさんは家計に占める割合の多い支出をご存じでしょうか。人には生活するための住宅が必要です。それから家族を持ち子どもがいれば、子どもの教育費がかかります。さらに自分が老いて働けなくなったときのための老後の資金も必要です。

この「住宅資金」「子どもの教育資金」「老後の生活資金」を人生の三大支出と呼び、人が生まれてから死ぬまでの間に支出する最も大きな出費として挙げられます。
 

「住宅資金」はどう考える?

まず一つ目の支出が「住宅資金」です。前提となる課題として「家を購入するのか、それとも賃貸のままでいいのか」という選択肢がありますが、私自身は購入派・賃貸派か問われたら、断然「購入派」です。

公務員の場合、家賃補助や公務員宿舎などがあるケースなど、職種によって住宅に対する条件が違います。転勤があるか否かにもよるところがあります。そのため一概に全ての公務員が家を買うべきだとはいえませんが、「高値買いさえしなければ、ゆくゆくは資産になる」という考え方をしています。この考え方は不動産投資につながるものです。

ただ言えることとして住宅は大きな買い物ですから、自身の年収と貯金額に対して過度に高額なものにならないように気をつけましょう。理想や見栄が先行して、実際ローンを利用して購入したのちに返済額の負担から「こんなはずではなかった」となることだけは避けなくてはなりません。

理想とされる借入額は年収の5~7倍の間で、月々の返済額は月収の約25%とされています。ただし借入額はあなたの家庭が共働きなのか、そして年齢によっても大きく変わるので、ご自分の実情に合わせた設定が必要です。


 

必ず準備が必要な「教育資金」

文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査の結果について」によれば、幼稚園から高校卒業まで公立ですと教育費が約541万円であるのに対し、全て私立の場合は約1830万円となり、3倍の差があるとされています。実にその差額は約1300万円となります。教育方針は各家庭によって変わるものですが、私立と公立では大きな差が生まれることを知っておきましょう。

学費については奨学金を利用するという選択肢もありますが、奨学金の返済が行き詰まる「奨学金破産」が増えて社会問題にもなっています。できることなら子どもに好きな進路を選ばせるためにも、余裕をもって備えておきましょう。


 

「老後資金」は2000万円不足!?

2019年に発表された金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」に「老後に2000万円の蓄えが必要」という試算があり物議を醸しました。公的年金をはじめ社会保障給付が中心の収入が約21万円に対して、住居費、医療費、食費などの支出が約26万円となります。つまり、月約5万円の赤字なのです。今後、20年生きたとして約1300万円、30年なら約2000万円という巨額の金額となります。

これが「老後資金2000万円不足」の根拠となっています。

この2000万円は単純な掛け算であり、将来的に介護が必要になった際にかかる介護費用平均額2000万円は含めていないようです。報告書の参考資料に要介護の高齢者になった場合の費用や、住宅のバリアフリー化をするためのリフォーム費用、葬儀費用は別途となっており、要介護で約1000万円、リフォーム費用約465万円、葬儀費用約200万円とされています。

つまり、介護が必要になった場合は約4000万円不足する事態も考えられるということです。

これら人生の三大支出に関しては、最初から念頭に置いて資金を準備しなければなりません。

Step2:家計改善

ざっくりと家計簿をつけた結果、自分の思い通りに貯金ができていることが分かれば、安心してそのままの生活レベルを続けてください。しかし、収入上回る支出をして赤字になってしまうケースや、収支がトントンで全く貯蓄ができないケースでは見直しが必要になります。

■ 住居費
住宅ローンで返済が厳しい場合は、借り換えをして返済額の圧縮ができないかも検討しましょう。

■ 光熱費
家電は古いものより新しい方が省エネ効果も高いです。また、今は電気自由化によって、さまざまなお得なプランも出ています。

■ 食費
夫婦2人、もしくは子どもが幼い家庭で自炊が中心であれば、そこまでかかるものではありません。共働きの場合は外食が多いケースは頻度を見直しましょう。

■ 通信費
携帯電話は各社でお得なプランを打ち出しています。自分が利用している内容と料金プランが合っているのか、まだ利用できる割引はないかを検討しましょう。通話が少ないのであれば、格安SIMも検討します。

■ 教育費
子どもがいる場合は習い事や塾、通信教育など、どれくらい教育費を使っているのか確認します。将来的に中学受験をするとなればぐんと教育費の負担も重くなりますから、小学校の低学年までにどれだけ貯蓄できるかが勝負でしょう。

■ 車関係費
公共交通機関の発達した都市部に住んでいれば自家用車は不要のケースもあります。使う頻度が少ない人ならカーシェアリングやレンタカー、タクシーを必要なときだけ使うほうが安く済みます。

■ お小遣い
年齢や職種、役職にもよりますが、お小遣いは夫婦合わせて3万円程度が適当と言われています。お金を殖やすための投資を行うことを考えるならば、お小遣いを多少我慢しても投資にまわす資金を確保するという意識が必要になります。趣味にお小遣いを使うことが多いと思いますので、趣味が投資になれば一石二鳥ですね(笑)。

 

このようにして、家計を洗い出したところで、月々の貯蓄可能額が分かるようになります。貯蓄する分は別の口座に取り分けてしまうか、積み立ての定期にして、ある程度定期が貯まったところで別の投資用口座にわけてもよいでしょう。

現状把握と家計改善についてここまでお話してきました。

「毎月しっかり貯金ができているからうちは大丈夫」と思ったそこのあなた。今まさに足元で起きている物価高騰によって支出額が毎月増えていってはいませんか?それに伴って収入が増えていっていればいいですが、そうなってはいないのではないですか?
 
今までは大丈夫だったからとしばらく現状把握と家計改善を行ってこなかったならば、これを機に一度しっかり見直してみてはいかがでしょうか。

 

第2回はここまでです。次回は「Step3の資産運用(投資)」について、公務員のための不動産投資のススメをお話します。

 


土肥 孝行(脱公務員大家)

福井県越前市出身。東京都で地方公務員として従事する。株式投資、投資信託、FX投資等を一通り経験した中で不動産投資にウェイトを置く。土地購入から新築を建てる手法で、利回り13%超の物件を完成させる。スクールやコンサルティング、セミナー登壇等1000名以上に不動産投資について講義を行う。

著書に「失敗のしようがない「新築」投資の教科書」「公務員はいまスグ投資をしなさい!!」。

また、公務員向けに資産運用に関する情報共有の場としてFacebookグループLINEオープンチャットでコミュニティを運営中。

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