ジチタイワークス

不安から脱却、安定している公務員が投資家にデビューしたワケ。

子どもの教育費や親の介護、老後資産など、将来のことを考えるとお金の不安は尽きない。

「公務員は収入が安定している」といわれるが、その一方で生涯年収がある程度見通せるからこそ、資産形成についてはしっかりと考えていきたい。しかし、「何から始めればいいの?」「公務員に最適な資産形成ってあるの?」「どんなリスクに注意すればいいの?」など、尽きない悩みから最初の一歩が踏み出せない……。そんな悩みもしばしば耳にする。

そこで本企画では、安定している公務員から投資家に転身し、「脱公務員大家」としても活躍している土肥孝行さんに、資産運用への不安を払拭するヒントとなる「お金の授業」を執筆いただいた。

第1回では、土肥さんがなぜ投資家デビューするに至ったのかお話いただく。「結婚を機に考えが変わり、実際にライフプラン表を作成してみると、将来にわたって足りない金額があらわになりました」と土肥さん。詳しく見ていこう。

 

【不安にバイバイ、公務員のお金の授業】

(1) 不安から脱却、安定している公務員が投資家にデビューしたワケ。 ←今回はココ
(2) 「公務員=安定」から脱却、将来のお金への不安を減らす具体的なステップ
(3) 不動産投資は公務員に適してる?リスクとメリットを徹底解説「不動産投資のススメ」

2022年は、年初のロシア・ウクライナ危機から未曽有の世界情勢に突入していく波乱の1年になりました。戦争に端を発する物価高、円安、相変わらず猛威を振るうコロナウイルス。日々、実感を伴う大きな変化にいやが応でも不安やストレスを抱えることが増えました。ことさらお金に関して、このままではいけないと危機感を感じた方は少なくないはずです。

「公務員=安定」の幻想にいつまでもしがみついていてはいけません。「何か行動を起こさなければと思っているけど、何をしたらいいか分からない」という漠然とした不安を、2023年、明確な目標設定とアクションでもって解決していくスタートの年にしましょう!

申し遅れましたが、私は脱公務員大家というペンネームで経済的に不安をかかえる方々に資産運用や投資の重要性をお伝えする活動をしております。元公務員という立場から、公務員の方が取り組むべきことを自分の体験にもとづいて、分かりやすくみなさんに紹介させていただきたいと思います。

今回ジチタイワークスからお声かけけいただき、3回のコラムでお金の授業をさせていただく運びとなりました。1回目の今回は、自己紹介を兼ねまして私が投資家デビューするに至った経緯からお話させていただきます。

父と同じ公務員の道へ

私は福井県の片田舎で一人っ子として生まれました。父は地方公務員の役所勤め、母は専業主婦という一般的な中流家庭です。幼いころから父に「お前も公務員になれ」と口酸っぱく言われて育ちました。公務員の親は公務員というパターン多いですよね(笑)。

父はTHE公務員という安定志向の真面目人間でした。自身の経験から収入が安定していてリストラにおびえる必要もない公務員こそ最高の職業と信じて疑わなかったので、息子のためを思い勧めていたのだと思います。親心を察しながらも、しかれたレールの上を走るだけの人生は嫌だという思いを胸に秘めた学生時代でした。

私は昔から子どもが好きだったので、次の世代を担う教育に携わりたい想いが募り、教員になろうと決めました。2008年春、東京都の小学校教諭として社会人の第一歩を踏み出します。地元ではなく、父と同じ役所勤務でもない道を選んだのは、両親の期待に応えつつも私なりのささやかな抵抗でした。

投資をはじめるきっかけ

社会人になると「公務員=安定」とまわりからももてはやされ、お金に関しては父の影響もあり、日本人によくありがちな「お金に執着するのはよくない」「借金=悪」「つつましく堅実に生きる」イメージを私自身も抱いていました。

考えを改める契機となったのは、結婚です。結婚を機に妻は専業主婦となり、私も妻も一人っ子だったこともあり、「子どもは3人くらい欲しいね」という話をしていました。仮に家族が5人になった場合、とうてい私の収入だけで食べさせていける自信はありません。

漠然とした不安を抱えたままではいけないと、お金に関する勉強を少しずつしていき、ファイナンシャルプランナーの資格も取得しました。WEB上にもあるExcel計算で、人生において、いつ・いくらのお金が必要になるのかというライフプラン表を作成してみると、将来にわたって足りない金額があらわになり、本格的に資産運用としての投資を考えるようになったのです。

最初は株式投資にチャレンジしました。時流に乗って少しばかり儲けられたものの、仕事中もずっと値動きが気になって本業に身が入りませんでした。結果、トータルで見たら失敗です。株やFX等の短期売買は短期間で大きな利益が出ることがあるので、成功体験の記事などを読むと投資初心者は食いつきがちですが気をつけましょう。

これは公務員が投資を行う上で最も大事なポイントなのですが、公務員は「職務専念の義務」がありますので、ほったらかしにできる投資がオススメです。そういう意味では、私は投資と思わずに「財形貯蓄」、つまり給料から天引きや積み立て型の保険に入っていたので、そこでの資産運用が投資の基礎となっていました。

不動産投資との出会い

株やFXでうまくいかないと気づき、「それなら何がいいんだろう」と思案していたら、ちょうど結婚のタイミングで自宅(新築の区分マンション)を購入しました。購入時に転勤等の理由で物件を賃貸に出したらいくらで貸せるか聞いたのですが、そのとき「自分の住んでいる物件を他人に貸して、収入を得ることもできるんだ」と理解できました。これが不動産投資との出会いです。

不動産投資の勉強を始めたばかりのころは、本当に何も分かりませんでした。本を何冊か読んだ後、セミナーを受講したり、不動産業者の方に会って相談したりしましたが、実際に不動産投資を始めるハードルは高く、全く成果が出ませんでした。

危機感を覚えた大きな転機

そんな生活を送る中、7年目の初異動が大きな転機になります。昨今ニュースでも教員の激務が問題として取り上げられますが、教育業界内のよくある話として、精神的に追い詰められて休む、あるいは辞めてしまう教員は多いものです。初異動で特別支援学級を受け持つことになり、本来3人の教員で担当する予定だったところ、同僚の病休が立て続けに起こり、20人以上の生徒を私一人で担任しなければならなくなりました。

ただでさえ、初めての異動で慣れないことばかり。かなりのプレッシャーに押しつぶされそうになりました。あまりに多忙を極めたため、当時の記憶がほとんどないほどです。日に日にプレッシャーが強まり、学校に行く前は吐き気に襲われたり、食欲がなくなり、あまり眠られなくなったりと追い込まれていく中、やっとの思いで1年をやり遂げました。
 
このような激務に追われた1年が経過した後で健康診断を受けたのですが、人生で初めて「要再検査」の結果が出ました。詳しく調べてみると、「ストレス性の胃潰瘍」でした。胃に穴が開いていたのです。この前年に第1子が誕生していたので、「このまま働いていたら、いつ倒れてもおかしくない」「しかし、働けなくなったら家族を養えなくなる」と、完全に追い込まれることになります。
 
そのときに改めて、「公務員は安定しているように見えるけれど、実際は辞めていく人がたくさんいて心もとない。何かあっても国が守ってくれるわけではないから、自分自身で対策を打たないとリスクがあまりにも高い」と痛感しました。

大切なのは「腹の底から理解すること」

現状の危機感に気づくだけでは、そのために起こす行動の意志が弱く、長続きしないと実体験を通して分かりました。私の場合は胃潰瘍を機に、働けなくなる危機感を腹の底から理解することで本当のモチベーションが沸き起こったのです。

以前、『チーズはどこへ消えた』という本が話題になりましたが、その本に「自分の現状ではなくて新しいところに、不安だけど乗り込んでいったほうが生き延びる可能性が高い」と書かれてありました。ここで改めて「今すぐ行動を起こしたほうがリスクは少なくて済む。むしろ何もしないことがリスクである」と腹落ちしてからの行動は明らかに変わり、不動産投資で成果が出始めたのです。

このコラムを読んでいただいている方の中にも、過去の私のように投資に興味があり勉強してきたものの何かしらの言い訳をして行動に移せなかった、もしくは行動したけどなかなか結果が出ず諦めてしまった経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムで私が過去の経験を踏まえてみなさんにお伝えしたいこと、それは、

今もし働けなくなったときの準備はできていますか。
いざそうなったとき、自分や自分の家族は守れますか。

 

第1回はここまでです。次回は「お金の不安を取り払うために行うべき具体的なステップ」についてお話します。


土肥 孝行(脱公務員大家)

福井県越前市出身。東京都で地方公務員として従事する。株式投資、投資信託、FX投資等を一通り経験した中で不動産投資にウェイトを置く。土地購入から新築を建てる手法で、利回り13%超の物件を完成させる。スクールやコンサルティング、セミナー登壇等1000名以上に不動産投資について講義を行う。

著書に「失敗のしようがない「新築」投資の教科書」「公務員はいまスグ投資をしなさい!!」。

また、公務員向けに資産運用に関する情報共有の場としてFacebookグループLINEオープンチャットでコミュニティを運営中。

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