地域産品を顕彰する取り組みを行っている自治体は多い。しかし、それは地域事業者の販売促進につながっているのだろうか。そうした課題意識から、米沢市は地域経済活性化の新たな施策として、ECサイトの開設・運営の支援を始めたという。
※下記はジチタイワークスVol.24(2023年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社RITAマーケティングパートナーズ
授賞が目的になっていないか、地域ブランドの初心に立ち返る。
同市では、まち全体のブランド価値を上げるべく、令和元年に「米沢ブランド戦略課」を新設した。まずは“米沢ブランド”と言われる産品やサービスを生み続ける土壌を育てることが重要だと考え、ブランド認証制度「米沢品質AWARD(以下、アワード)」を同年にスタート。審査を通過し、アワードを受賞した地域事業者には、テレビ番組でのPRや、雑誌への広告出稿などで販促活動の支援を行っていた。さらに物産展への出展などを企画した矢先に、社会はコロナ禍へ突入した。
「まちのブランディングを行うにも、まずは商品が売れる必要があります。従来の支援策はPRのみで、本当に事業者のためになる支援ができているのかと課題を感じていました。その上、コロナ禍により計画の多くを自粛せざるを得ない状況になり、これを機にECへかじを切ろうとしたのです」と、佐藤さん。しかし、ECサイトの立ち上げには費用がかかる上、知識がない状態ではサイト集客のハードルが高い。そんな中、舞い込んだのが「RITAマーケティングパートナーズ」からのAmazonを活用した「ECチャレンジショップ支援」の提案だったという。
EC支援への期待をもとに奔走しわずか5カ月で施策を開始。
同サービスは、ECに不慣れな事業者に代わってAmazonショップの立ち上げを行い、その後の広告運用まで担ってくれるもの。単なるページ作成だけでなく、市場調査・商品企画をはじめとするWEBマーケティング戦略を含めた総合的なサポートがポイントだ。「商品が売れることをゴールに据えて、事業者を支援してくれる点にほかとの違いを感じました。当市の課題と合致していると分かり、すぐに予算確保に動き、令和4年5月には正式導入が決定しました」。
その後は打ち合わせを重ね、9月に対象事業者のページ作成に着手。提案を受けて着手開始まで、わずか5カ月というスピード導入を実現した。自治体は、同社と対象事業者の橋渡しをするのみで、実際のページ作成は、民間同士で進めていく。令和5年1月にはアワード受賞商品の各ページが一斉にオープン※。同市は、市による費用負担を1商品分の限定とし、それ以上の運用は事業者が希望すれば事業者負担にて続けられる設計で導入したそうだ。
※事情により、令和5年3月中公開予定
商品が売れるチャンスを増やしまちの経済に好循環を生む。
「日頃から地域の事業者と接点が多いので、“こんな支援を待っていた”と喜びの声を直接もらいました。これまでEC進出に興味があっても、事業者自身にノウハウがなければリスクも高い。そんな中で初期投資を市が支援するという点が喜ばれているようです」。すでに来年度のアワード受賞者への支援策として継続することが決まっており、引き続きECを活用した地域産業の支援を行っていくそうだ。
「住民と距離を縮めて本音を拾うことで、新たな施策のヒントを得られるはずです。今回、事業者の背中を押す施策ができたのではと思います」と語る。事業者のニーズをくんだ施策で地域経済が潤い、商品やサービスの知名度が高まれば、まちの付加価値も上がる。ブランディングや地域産業支援の新たな手法として、注目が集まりそうだ。
米沢市
産業部 米沢ブランド戦略課
佐藤 功児(さとう こうじ)さん
地域事業者のEC活用を支援することでまちの経済を潤し、活性化へつなげる。
自社のEC販売で得たノウハウにもとづき“どうすればWEBで売れるのか”という知見を惜しみなく提供。売り上げ目標達成に向けて伴走する。
米沢市が「ECチャレンジショップ支援」を選んだ理由
1.立ち上げ~運営を全て任せられる
ページの立ち上げ・運営で専門知識が必要な部分、手間がかかる作業を全て任せられるため、事業者は得意のモノづくりに専念することができる。自治体も必要最低限の調整などで済み、手を煩わせることがない。
2.ECの現場で培ったノウハウをもつ
同社のグループ会社では、地域産品の馬刺しをECサイトで販売してきた実績がある。ライバル会社が多い中でどう戦うかという実践的なノウハウをもっているため、事業者と同じ視点で取り組みを進めることができる。
3.ゴールは地域事業者の自立・自走
ページの作成やECの立ち上げが目的ではなく、売り上げをつくり、地域事業者が自走できるようにしていくことをゴールに設定している。最終的に自治体の支援がなくともEC運営ができることを目指し、支援を行う。
地域ニーズに合ったプランを提供可能
サービスは、ショップ開設、ページ作成、広告運用、運営代行などがパッケージになっている。予算や運用期間、取扱件数などに合わせた様々なプランが用意されている。自治体は取り組みの規模に合わせて選択できる。
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