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デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ「TYPE1」を分かりやすく解説

国が掲げる重要施策の1つ「デジタル田園都市国家構想」。通称「デジ田(デジデン)」とも呼ばれ、デジタル技術の実装により地域課題を解決しようという取り組みだ。2021年度補正予算と2022年度予算案の合計は総額5.7兆円に及び、岸田内閣肝いりの政策といえるだろう。

デジタル田園都市国家構想では、デジタル技術の導入推進を目的とした各種補助金が設けられている。ただ、「まだよく理解できていない」という自治体担当者の声も少なくない。そこで本構想の概要やデジタル化支援の基礎にあたるデジタル実装タイプTYPE1について、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の小野 康佑さんにお話を伺った。

第1回では、デジタル田園都市国家構想の基本をおさらいするとともに、どのような取り組みがデジタル実装タイプ「TYPE1」として支援対象となりうるのか、詳しく解説していく。

 

【デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプTYPE1 まるごと解説!】

(1)デジタル実装タイプ「TYPE1」を分かりやすく解説 ←今回はココ
(2)デジタル実装タイプ「TYPE1」申請のポイントとは?
(3)デジタル田園都市国家構想を通じて国が実現したいこととは?

Interview

小野 康佑さん
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐

プロフィール

新卒でNTT東日本に入社。新規事業開発室や戦略子会社(株式会社NTTe-Sports)の立ち上げに関わったのち、神奈川県横須賀市への在籍出向を経て、2022年7月より現職(出向)。

デジタル田園都市国家構想とは?

「デジタル田園都市国家構想」とは、デジタル技術を活用して誰もがデジタル化のメリットを享受できる社会を実現するための政策である。岸田内閣の看板政策の1つに位置づけられ、行政窓口のオンライン化や農業や物流の自動化、公共交通サービスでの自動運転の導入などを推進する。「2027年度までにデジタルサービスの実装に取り組む自治体を1500まで増やすことが構想の目標の1つです」と小野さんは説明する。

そして、地方自治体がデジタル化の取り組みを推進できるよう、デジタル田園国家構想交付金が用意されている。具体的には、デジタル実装を支援する「デジタル実装タイプ」、中長期的な計画にもとづいた取り組みや施設整備などを支援する「地方創生推進タイプ」「地方創生拠点整備タイプ」の枠組みが設けられている。

※引用:内閣府「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ TYPE1/2/3等 制度概要」4ページ

 

デジタル実装タイプの種類

デジタル実装タイプは、デジタル技術を活用することで、地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた取り組みを支援する仕組みだ。「TYPE1」「TYPE2」「TYPE3」の段階的な3種類の交付金が主軸となっている。
 

※引用:内閣府「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ TYPE1/2/3等 制度概要」8ページ

デジタル実装タイプ「TYPE1」の概要

TYPE1の優良モデル導入支援型は、デジタル実装の取り組みの基礎段階に位置づけられる。ここではTYPE1の概要を確認していこう。
 

TYPE1は優良なモデル・サービスの活用することが前提

TYPE1は、既存の優良モデル・サービスを活用したデジタル実装の取り組みが支援対象となる。ここでいう「優良モデル・サービス」とは、地域課題解決のためにほかの地方公共団体などが関与した優れた取り組みを指す。また、スタートアップをはじめとした民間企業が提供するサービスを実装する場合も、他地域で一定の効果が出ていれば支援対象となりうる。

「デジタル実装タイプのTYPE1は、難しい要件を設けていません。まだデジタル化に取り組めてない自治体さんにぜひ活用していただきたいと考えています」と小野さんはいう。

決して特別なことは求められていないため、TYPE1は行政デジタル化の第一歩を踏み出す良いきっかけになるはずだ。すでにある事例を活用できるので、事業計画やサービス選定にかかるリソースを大幅に削減でき、デジタル化が遅れている自治体でも取り組みやすいのではないだろうか。

具体的には以下のような取り組みが想定される。

・行政の届出書を電子で作成できるシステムを導入し、市民の負担や待ち時間を削減する取り組み
・RPA導入によって庁内業務デジタル化を進め、市民の利便性向上を目指す取り組み
・地域のデジタル人材育成のために、アプリやデジタル教材などのデジタルサービスを実装する取り組み
・デジタル地域通貨を活用した、地域経済・商店街の活性化の取り組み


なお、デジタル田園都市国家構想のHPでは、各地域の実際のデジタル実装の取り組みが紹介されている。下記もぜひ参考にしていただきたい。

デジタル田園都市国家構想HP|夏のDigi田(デジデン)甲子園 結果発表

 

TYPE1の支援対象と補助率

支援対象と補助率は以下の通りだ。

対象者:地方公共団体(申請上限はほかのタイプも含めて、都道府県9事業、市町村5事業)
補助率:1/2
交付上限額:1事業当たり国費1億円(事業費ベース2億円)


 

TYPE1の評価指標

TYPE1は申請後に審査が行われるが、その評価指標として大きく4つの項目が定められている。

(1)サービス内容(政策目的への適合性)
・事業の実施によって解決を図る課題および実現したい地域像
・サービス内容(参考としたほかの地域等ですでに確立されている優良なモデル・サービス、地域独自の創意工夫)
・事業の成果を複数年にわたって計測するためのKPI
・デジタル原則(構造改革のための基本原則)の遵守

(2)推進体制
・庁内の推進体制、事業推進体制
・PDCAの実施体制、PDCAの実施方法

(3)事業計画(実装計画・運営計画)
・実装計画(実装までのプロセス・スケジュール、事業経費内訳)
・運営計画(中長期スケジュール、収支予定)

(4)政策的優遇措置
・マイナンバーカードの交付率
・マイナンバーカードの利活用
・スタートアップの活用
・地域間連携の促進
・施策間連携の推進
・共通化・標準化の推進


特に重要なのは、①デジタルサービスの実装が当該地域の社会課題解決に真につながるかどうかということに加え、②事業運営体制がしっかりと構築できているかという点だ。

デジタル実装タイプのTYPE1はデジタル化の第一歩に最適

デジタル実装タイプのTYPE1は、すでにある優良モデル・サービスの活用することで地域課題を解決することが基本要件となっている。新規性や独自性は求められていないため、「デジタル技術の活用はこれから」という自治体でも取り組みやすいはずだ。

小野さんも「交付金の申請にまだ至っていない自治体の皆さまも完璧じゃなくても構わないので、まずはデジタル化の一歩を踏み出すために交付金を活用してほしいです。最初から諦めて不戦敗で終わってしまわないよう、引き続き情報発信を含め自治体のサポートを手厚くしていきたいと考えています」と語る。

TYPE1の申請締め切りは2023年2月16日。ぜひこれをきっかけに行政・地域のデジタル化に取り組んでほしい。

※事前相談は2023年1月27日までとなっておりますのでご注意ください。

 

お問い合わせ

内閣府地方創生推進室/内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
E-mail:digitaldenen-kofukin.f7k@cao.go.jp

 

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【埼玉県川口市】デジ田交付金を活用し、地域企業のDX推進を学びによって支援する。

 

【岡山県岡山市】デジタル化のレベルに応じた、きめ細かな支援事業を実施。

 

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