デジタル庁の発足以来、行政情報のオープンデータ化が加速している。この取り組みを進める上で注意が必要なのが“地図の取り扱い”だ。デジタル地図データの事業を展開する「ジオテクノロジーズ」の担当者がポイントをアドバイスする。
※下記はジチタイワークスINFO.(2022年9月発行)に掲載後、Vol.23(2022年12月発行)にて情報を更新。内容は情報更新時のものです。
[提供]ジオテクノロジーズ株式会社
デジタル地図を活用する上で避けて通れないプロセスとは。
自治体が大量に保有している様々な住所情報は、デジタル地図上に可視化することで真価が発揮される。しかしその作業は簡単なものではなく、地図を利用する上では様々な制約がある。こうした地図に関わる課題にソリューションを提供する同社にも「自治体からの問い合わせは増えています」と谷川さん。
「保有する住所情報を住民サービスに活用したいがどうすればいいか、といった相談が目立ちます。当社からは、まずジオコーディングを行うことを提案しています」。
ジオコーディングとは、住所や地名に緯度・経度の地理座標を付与することを意味し、これによりデジタル地図上に所在情報のピンを立てるといった活用ができるようになる。地域の公民館や避難所などを地図で正確に示す場合にもこの緯度・経度情報が不可欠だ。
しかし、活用時には注意すべき点があると笠上さんは指摘する。「地図の著作権と、ジオコーディングの精度の問題です。この2つのハードルをクリアしないと、住所情報も十分に活用できない可能性があります」。
表記ゆれも旧住所もクリアする地図専門会社の正確性。
まず著作権の問題だが、そもそもデジタル地図データは著作物だ。地図を製作した会社が集めた情報を、その会社の考えにもとづいてデータベース化したデジタル地図には、著作権が生じ、使用する際には許諾を得る必要がある。特にオープンデータ化は利用目的が広範囲にわたるため、地図製作会社は許諾対応には慎重になる。
次に精度の問題とは、住所情報から正確な緯度・経度が割り出せるかということを意味する。例えば、“二の宮”と“二ノ宮”などの表記ゆれが別の住所として処理されればデータの完成度が落ちる。また、精度の低いジオコーダーでは、合併や区画整理による旧住所が処理できないといったトラブルも起こり得る。
さらに番地・号レベルの座標情報を有していないジオコーダーを使った場合、市区町村の代表点までしか指示できず、正確な位置は表示できない。
谷川さんは「これらへの対策を打たないと、住所情報の活用もままならなくなります」と懸念を示す。
「当社は紙地図ではなくデジタル地図製作から始まった会社なので、オープンデータ化する際の著作権については柔軟な対応をとっています。また、当社独自の住所データベースを所有しており、表記ゆれや旧住所への対策も徹底しているので、精度の高いジオコーディングが可能です」。
住所情報のオープン化で地域DX実現へ一歩前進する。
住所情報は自治体の大切な資産であり、見やすい形で公開すれば住民の貴重な情報源になる。オープンデータの閲覧に移行すれば、住民からの問い合わせが減り、職員の負担も軽減され、コア業務に注力できるようになるはずだ。同時に、ジオコーディングは、庁内業務にも活用できる。
例えば、滞納者に対して督促業務を行う場合、訪問先の住所リストをジオコーディングすることで、デジタル地図上にマッピングが可能になり、業務効率化の一環としても有効だろう。
なお、同社では、受領した住所情報に緯度・経度を付与して納品する方法をはじめ、庁内のシステムやホームページへの組み込みなど、自治体の要望に合わせたサービス提供が可能だという。
行政全体がオープンデータ化を推進しているという点はもちろん重要だが、住所情報という価値ある財産を眠らせてしまうこと自体が惜しい。谷川さんもこの点を指摘しつつ、「住民が自治体の情報を検索する場面は、災害や病気など情報の必要性が高いケースが多いです。こうした際も含め、住所情報の有効活用で住民の満足度を高めつつ、地域のDXに当社が貢献できれば」と意欲を見せていた。
左:メタバースBUGISパブリック&エデュケーション
谷川 彬(たにがわ あきら)さん
右:メタバースBUアプリケーションセールス
笠上 弘行(かさがみ ひろゆき)さん
デジタル地図のメジャーカンパニーが地域のDX推進をサポートする!
カーナビへの地図データ提供から始まった同社のサービス。デジタル地図に特化した強みを活かし、自治体のオープンデータ化を支援する。
ジオテクノロジーズだからできること
1.豊富な住所データベースで精度の高い緯度経度の付与
国内で活用されている建物のほとんどをカバーする約4,200万件の住所データベースを保有。さらに建物の新設、取り壊しといった変化を、航空写真・衛星写真・車両・歩行による現地調査で収集しA Iでチェック。情報の鮮度を保っているため、個々の建物に対して精度の高い緯度・経度の付与ができる。
2.自治体の要望に合わせたデータ納品方式
自治体によって異なるセキュリティポリシーや活用方法に応じたデータ納品方式を用意しており、柔軟に対応可能。
3.地域・自治体のニーズに応じて活用方法を提案
自社で地図データを製作し著作権を保有しているので、地図データの使用許諾範囲については柔軟に対応。予算や用途に応じ、地域住民のニーズも考慮しながら様々なパターンでサービスの提案ができる。
自治体における活用の例
オープンデータ化での活用
例えばコロナ禍において住民が自治体ホームページ上で発熱外来を調べたいとき、住所の文字情報だけでは最寄りの病院が直感的に分かりづらい。位置を調べるために別サイトを開くのは手間がかかるため、地図上での表示が有効だ。ほかにもAEDの設置場所、公共施設や保育園の検索などにおいても利便性を高められる。
特定の条件を付与することで、目的に特化した地図をつくることも可能。
ジオコーディングを無料トライアルできます
ホームページでは、エクセルで簡単に試せるWEB APIによるジオコーディングの無料トライアルができる環境も用意しています。地図に関することなら何でも相談可能です。こちらより気軽にどうぞ。
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