西宮市では長年、なかなか減らないごみとCO2の排出量に頭を悩ませていた。そこで今年4月、「指定ごみ袋制度」を施行。CO2を約20%削減できるごみ袋「nocoo(以下、ノクー)」をはじめ、環境に配慮した新しいごみ袋の使用が始まった。
※下記はジチタイワークスVol.20(2022年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]日本サニパック株式会社
ごみの分別、減量を目標に指定ごみ袋制度がスタート。
同市では従来、ごみ袋の指定がなく、住民は色も形も大きさも様々な袋に入れてごみを出していた。黒いごみ袋だと中身が見えず、ごみ収集作業員が竹串や枝葉など鋭利なごみでけがをすることもあったという。
「市では平成31年に制定した基本計画で、ごみやCO2の削減目標を定めています。ところが達成までにはほど遠く、何らかの施策が必要な状況でした」と井上さん。そこで導入を決めたのが、指定ごみ袋制度だ。
「ごみ処理の費用を上乗せした有料指定袋にすれば、ごみの減量に大きな効果が見込める上、市としては財政的にも助かります。しかしコロナ禍や昨今の景気を考えると、住民や事業者に負担はかけられません。そういった理由から当市では、単純指定ごみ袋を採用することにしました」。単純指定ごみ袋とは、市の規格を満たした袋を承認し、事業者に自由に販売してもらうもので、価格を低く抑えられるという。
デザインは、生活系に関しては公募で選ばれたものを採用。「もやすごみ」は市花の桜、「その他プラ」はまちのシンボルである今津灯台とヨットを描いたイラストに決まった。事業系の「可燃ごみ」は、必要な情報を黒1色で印字したシンプルなものとした。
バイオマス以外の選択肢も探り環境に優しいノクーを採用。
当初、ごみ袋の材質は“CO2削減10%以上”を条件とし、国推奨のバイオマスプラスチックのみを想定していた。ところが原料価格が高く、対応できない製造業者も出てきたという。「新しいごみ袋を住民や事業者に広く行き渡らせるためには、多くの製造業者に参入してもらうのが理想です。そのため環境に配慮しつつ、材質に選択肢をもたせようと模索しました」。そんな中で出合ったのが、「日本サニパック」が独自開発した天然ライムストーン(炭酸カルシウム)を配合したノクーだった。
ノクーの大きな特長は、ポリ袋と比較した場合、燃焼時のCO2排出量を約20%も減らせること。さらに、バイオマスプラスチックよりコストも低いという魅力がある。
ごみに対する住民の意識が制度導入により飛躍的に向上。
新しいごみ袋を普及させるには、広報活動も大切だ。広報紙での告知や全戸にサンプル配布などを行う中、同社のサポートにも大いに助けられたという。「ノクーは取扱店舗が多く、その全店舗に販促ポップを設置するなどして宣伝してくれました。ごみ袋のデザインを施したラッピングバスも宣伝効果抜群で、随分、市民に知れ渡ったと思います。ありがたかったですね」。
こうして同市では、令和4年4月から指定ごみ袋制度を開始するための準備を着々と進めていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外にある製造工場の生産縮小、船便の運行停滞など、袋の製造や物流に遅れが生じる可能性が出てきたという。やむを得ず、令和4年6月30日までを暫定処置期間とし、従来通り自由なごみ袋と指定ごみ袋が混在した状況でスタートした。
現段階では、指定ごみ袋制度の導入による成果は未知数だが、井上さんは大きな手応えを感じているようだ。「黒いごみ袋が減り、安全に収集できるようになりました。分別に関する問い合わせも激増しています。それだけ、ごみに対する住民の意識が向上したということ。これから状況調査と分析を重ねていくことで、さらなるごみの減量やCO2削減を推進していけると確信しています」と、期待を膨らませていた。
西宮市 環境局
環境事業部 美化企画課
井上 信宏(いのうえ のぶひろ)さん
地球に優しく、デザイン性にも優れた新しいごみ袋「ノクー」の特長。
1.地球に優しい素材を使用
天然ライムストーン(炭酸カルシウム)の配合によりプラスチックを削減。製造時・燃焼時のCO2も抑えられる。
商品名の由来
NO+CO2▶NO+COO▶nocoo(ノクー)
2.自由なデザインが可能
自治体から提供のあったデザインはもちろん、希望を聞いてイラスト化するなど、イチからデザインを提案、製作することができる。ごみ袋のイメージを一新!
3.家計に優しい
一般的なバイオマスプラスチックのごみ袋より安価。家計の負担を低減。
4.売り場への安定供給
大手商社を親会社にもち、原料調達や物流体制も安心。
ソーシャルインフラを担う企業として住民を応援!
日本サニパックが目指すのは美しい未来。環境問題に真剣に取り組み、SDGsを意識した商品開発を行うほか、清潔で快適な生活をサポートする“ソーシャルインフラ”を担う企業として活動している。
ごみ問題の相談に対応
全国のごみ問題に関する実績のもと、様々な相談に対応OK!
周知活動を支援
ポップの設置や売り場での販促企画など周知活動で行政を応援。
西宮市で走行したラッピングバス。指定ごみ袋制度の開始時期に合わせて、同社が広告掲載を行った。
独自技術によるバイオマスプラの新製品が誕生
日本サニパックでは、再生可能なバイオマスを原料とした新製品「ノクーバイオマスプラ」を開発。強度を保ちつつポリエチレン100%の製品と比べてCO2を27%も削減できるという、SDGs推進に有効な製品だ。厚さ、サイズ、強度などの規格やデザインについては応相談。
環境施策に興味がある方へ
プラスチック使用量を抑え、地球温暖化の原因とされるCO2排出量削減を目指した環境配慮型ごみ袋ノクー。詳細情報についてはこちらからご確認ください。