ジチタイワークス

群馬県伊勢崎市

【橋本 隆さん】「経験のシェア」で知識の引き出しを増やしましょう。

※下記はジチタイCLASS(2022年5月発行)から抜粋しており、記事は取材時のものです。
※誌面掲載のアンケートは、ジチタイワークス会員を対象に令和4年1月14日~2月7日に実施したものです

はしもと たかし● 1972年生まれ。建設会社勤務を経て、2003年伊勢崎市入庁。総合計画、都市計画マスタープランのほか、県内市町村初の景観行政団体や世界遺産登録の実務を経験。職員自主研究グループ「人財育成研究会」代表、オンライン市役所「ゲンバ課」「図解・グラレコ課」の課長補佐を務める。博士(工学)、技術士(建設部門)、1級土木施工管理技士、ビジネスマネジャー検定、ビジネス実務法務検定2級等、20以上の資格をもつ。

法律書でも学術書でもなく「実務書」。

自治体の都市計画担当になったら読む本(学陽書房)

「20年間、多くの都市計画の書籍を読みましたが、自治体職員が自治体職員向けに実務ノウハウを解説した書籍には巡り合えませんでした。探し続けてきた書籍を、なぜか私自身が書くことに。ぜひ新規採用職員や新任の都市計画担当の方に読んでほしいです」

自治体職員の声
Q.どう勉強すればスキルが向上し、資格などを取得できますか?

先生の答え
A.「経験のシェア」で知識の引き出しを増やしましょう。

人の経験は「材料」ではなく「財産」。

―― 「人財育成研究会」と、その活動理由とは?

職場の仲間と「経験をシェア」する職員自主研究グループです。活動理由は、「1人の経験は1人分の経験でしかないから」。私は都市計画部の技術職ですが、定年まで異動を繰り返しても、都市計画関連の全部署を経験するのは不可能です。しかし、仲間と情報を共有すれば幅広い視野をもてると考えました。最近まで庁内で技術士(建設部門)の資格をもつのは私だけでしたが、あるとき、技術士を目指す若手から勉強方法について相談されたのです。同じ職場にも努力している若手がいると知ってうれしくなり、「それならば」と一緒に勉強することに。これが立ち上げのきっかけです。

メンバーは6〜8人。課長は私のみで、部署もバラバラ。世代も幅広く、様々な考え方に触れる良い機会になっています。主な活動内容は、①職場経験を振り返る(職場経験シートの作成・活用)②先輩の話を聞く(講演会)。毎年、この2つは必ず実施しています。

 

――「職場経験シート」の活用法を教えてください。

まず年度初めに、職場経験シート(図1参照)を全員で記入し、夏までに集計して共有。これを見れば、誰がどんな部署で何を経験したのか分かります。また、どんな本から学び、どんな講師の話を聞きたいのかも知ることができます。シート記入を続ければ、毎年「人数分の経験をみんなのものにできる」。現在、活動開始から4年目ですが、メンバーが異動すれば経験も変化する。つまり、情報が蓄積されていくのです。このシートは、どんな部署・職種でも活用できると思います。 メンバーからは、活動を通じて「人脈や視野が広がった」「業務の相談がしやすくなった」「技術力が向上した」などの声が上がっています。

実は今年、メンバーの1人が技術士(上下水道部門)試験に合格!大変難しい国家資格で、現役職員の合格は並大抵の努力では実現しません。うれしくて涙が止まりませんでした。

 

「土台」となる学習を怠らないこと。

―― 橋本さんは資格の数がすごいですね。本誌アンケートでは「マネジメント」や「法制執務」を学びたいという声が多くありましたが、どうですか?

ものすごく共感する結果ですね。特に、組織で働く以上、マネジメントスキルの向上は必要。そのためには、土台となる学習を怠ってはならないと思います。私は、民間資格の勉強で土台をつくりました。「公務員にはマネジメント能力が足りない」という声がアンケートの結果にありましたが、私もそう感じていたことがあります。そこで、「民間の人はどう学ぶのか」を調べ、「ビジネスマネジャー検定」を知りました。この公式テキストがすごくいい。様々な本に手を出すより、この1冊で学ぶ方が効率的です。行政の実務でも役立つ法律を学ぶならば、「ビジネス実務法務検定」。独学だと難しく感じる人には、オンラインの学習サイト「オンスク.JP」の併用をオススメします。

働きながらの勉強は簡単ではありません。「やること」と「やらないこと」を明確にし、スケジュールどおり実行すること。無理せずに楽しむことがコツです。

 

「志」をもち、引き出しを多くつくる。

―― スキルアップや資格取得を目指している全国の公務員にメッセージをお願いします。

公務員である以上、学びを継続する必要があると思います。学ぶ職員が多いほど、市民の満足につながる仕事ができ、地域にも貢献できるでしょうから。

実は著書の中で、「お志事」について記した章があります。お仕事は勤務時間の業務、「お志事」は、自分が志をもってやっていること。私の場合、余暇で活動する「人財育成研究会」と「オンライン市役所」がお志事。お仕事とお志事で、「スペシャリストかつゼネラリスト」を目指しています。技術職ですが、事務職にも好奇心をもっていますし、事務職の皆さんの話にもついていきたい!そして多くの引き出しをもちたい。そう考え、畑違いの活動や資格にも挑戦しています。皆さんにも、できれば両方で頑張ってほしいですね。
 

 

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