総務省の調査によると、共働き世帯が増えたことで、保育所の入所希望者も増加しているという。それに伴い、いかに素早く、公平に、入所選考を行うかに悩む自治体も多いそうだ。「ジーシーシー」では、AIを活用して、その課題解決を目指している。
※下記はジチタイワークスVol.19(2022年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ジーシーシー
複雑な条件をもとに、公平に児童を振り分ける難しさ。
保育所入所選考には、どの自治体も膨大な手間と時間を費やしており、その業務体制の改善は、総務省が発表した「自治体戦略2040構想研究会」の報告においても重要な課題に挙げられている。
「入所選考の手順として、まずは送られてきた申請書を整理し、住民台帳などが登録されている基幹系システムに申請者情報を入力します。その後、両親の就労状況や持病の有無など、自治体ごとに定められた採点基準にもとづいて、児童一人ひとりに点数を割り当てるのです」と高坂さん。その点数をもとに優先順位を決めて各保育所に振り分けるのだが、「“兄弟で同じ保育所に入所させたい”“転園したい”など、申請者の事情を考慮しつつ、公平性を保つことができるよう、複数の職員が何日も会議を重ねて、慎重に振り分け業務を進めていくそうです」と現状を語る。
また、就職や育児休暇復帰の可否が選考結果に左右されるなどの理由から、通知を急いでほしいという要望も多いそうだ。「多くの自治体で入所選考の迅速化が課題になっています。とはいえ、ミスが許されないだけに、担当職員にとっては肉体的にも精神的にも負荷が高いはずです」。
それらの課題を解決すべく同社が開発したのが、保育所入所選考システム「振り分けマスターナサリーちゃん」。AIを活用して、入所選考の中でも特に煩雑になりがちな、振り分け業務を効率化できるという。
正確で安全なシステムが職員の負荷を大幅に軽減する。
同システムで構築したのは、“数理最適化”という技術を使ったAIモデル。「“優先順位の高い児童が低い児童より先に入所してはいけない”などの明確なルールを、数式に落とし込んだAIモデルを構築することで、正確に振り分けることができます」。また、自治体によっては数百時間かかっていた振り分け業務が、AIを使うことで数分に短縮できるという。「業務にかかる時間が短縮することで、選考結果の早期通知も可能になります」と、大幅な業務効率化の実現に自信をのぞかせる。
なお、住所・氏名などは入力する必要がなく、“児童の優先順位”“兄弟の有無”“転園希望の有無”などの情報だけで振り分けを行うので、個人情報が漏えいする心配もないという。「通信に使うのは、オープンなインターネット回線ではなく当社の専用回線です。要望があればLGWANを利用することもできます」。
導入後にIDが発行されるので、ログインすれば直ちにシステムの利用が可能。操作性については、「誰でも直感的に使うことができ、初期設定もシンプルです」と説明する。すでに導入に向けて検証が進んでいる自治体もあり、他自治体からも多くの問い合わせが届いているそうだ。
「振り分けマスターナサリーちゃん」の仕組み
これからも期待されるAIを活用した業務効率化。
今後の展望として考えているのは、入所選考のトータルサポート。「紙で管理している申請書や、その入力作業なども、AIやデジタル技術を活かして効率化できるように開発を進めるつもりです」と高坂さん。また、「同システムに用いているのは、意思決定をAIで自動化できる技術です。人事異動や配送計画など、膨大な選択肢の中から最適な意思決定案を選び出さねばならない自治体業務に転用できないかとも考えています」と、次の展開も見据えている。
これまでにも自治体向けに、窓口連携、住民記録、税務情報、福祉情報などのシステムを展開してきた同社は、令和3年4月から、自治体の情報資産を管理するデータセンターの運用をスタート。企業理念を改め“日常に感動を、感動を日常へ”と変更した。これに伴い、今後は自治体の業務負担改善だけでなく、その先にある住民サービスや地域社会を良くしていく方向に力を入れていくという。
ジーシーシー 先進テクノロジー推進部
研究開発グループ 主任
高坂 知寛(こうさか ともひろ)さん
自治体・住民の双方に貢献すべく安定したAIサービスを提供する。
導入のメリット
1.担当職員の業務負担の偏りを解消
煩雑になりがちな振り分け業務を効率化できるだけでなく、見落としなどの不安も軽減する。その結果、選考結果の確認や申請者への説明など、人にしかできない業務に注力することができる。
2.選考結果通知までの期間を短縮
振り分け業務にかかる時間が短縮することで、選考結果の早期通知が可能になる。それに伴い、申請者は、認可外の保育所への申請、就職、育児休暇復帰、育児休暇延長などの計画を立てやすくなる。
3.正確な選考を実現することで、申請者の納得度が向上
手作業の場合、ミスが生じる可能性があり、申請者の不満につながることもある。一方、AIの場合は、明確なルールにもとづいた判定を行うため、公平な振り分けが可能だという。申請者の納得度向上が期待できる。
情報漏えいを防ぐ万全なセキュリティ対策
独立したネットワークで個人情報の漏れを防止
そもそも、“児童の優先順位”“兄弟の有無”などの情報だけで振り分けるので、同システムに個人情報を入力する必要はない。その上、専用回線やLGWANを利用することで、セキュリティの強靭化に努めているという。
「GCCデータセンター」でデータを管理
同センターは、自治体や企業の情報資産を管理する施設。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク状態などを、専門の技術者が24時間365日の監視体制で見守っている。同システム利用時に入力するデータはここで管理されるので、安心感がある。
某自治体でAI選考の妥当性を検証
無料トライアル実施中
「振り分けマスターナサリ-ちゃん」の無料トライアルを実施しています。手作業による保育所入所選考の結果と、AIによる選考結果の一致率を比較・検証できます。利用方法や料金体系などもご案内しますので、気軽にお問い合わせください。