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長野県塩尻市

公開日:2021-04-12

【山田 崇さん】公務員、本を書く。

企画・政策
読了まで:4分
【山田 崇さん】公務員、本を書く。

業務外で行ってきた数々の試みが、市のシティプロモーションや地方創生に……。山田さんが、日々心がけているアウトプットに対する思いとは。

※下記はジチタイワークス公務員特別号(2021年3月末発行)から抜粋し、インタビューの内容やプロフィールは原稿作成時(同年2月中旬)のものです。

長野県塩尻市
企画政策部 地方創生推進課 係長
山田 崇 さん

やまだ たかし:1998年、塩尻市に入庁。総務部税務課、財政課を経て、2005年に松本広域連合事務局総務課へ出向。2009年に協働企画部市民交流センター開設準備室に配属され、市民交流センター「えんぱーく」の開設準備と広報を担当。塩尻商工会議所総務課への出向を経て、2015年より企画政策部。現在は地方創生推進課でシティプロモーションを担当。2016年には、官民連携プログラム「MICHIKARA(ミチカラ)」などに取り組む。業務外の活動として、2012年、商店街の空き家を借りるプロジェクト「nanoda(ナノダ)」を開始。著書に「日本一おかしな公務員」(日本経済新聞出版)。


まず目の前にいる一人を喜ばせるために“ちょっとやってみる”。

Q.本を書くことになったきっかけを教えてください。

出版社の方から連絡をいただいたことがきっかけですね。その方は20年以上前から塩尻市に通われていて、あるとき、駅周辺がガラリと変わった様子を見て、なぜだろうと調べていたところ、私がWEBやSNSで発信していた過去2年分ほどの記事を見られたそうで。それまで私は、業務外の時間で若手職員との意見交換会「しおラボ」や、シャッター商店街化してしまった大門商店街で空き家を借りて、“やりたいことをやってみる”拠点「nanoda」を仕掛けたりしていました。そういった自分の活動を様々な場でアウトプットしていたんです。積み重ねでたまっていった記事を組み合わせながら、本をつくっていきましたね。

 

Q.著書の具体的なターゲットや伝えたかったことは。

今でこそ本を出したり、多くの講演会に呼ばれたりしていますが、35歳までは普通の公務員でした。でも業務をしながら、「このままの組織、このままのまちでいいのかな」といった違和感を抱いていたんです。これは自治体職員だけではなく、一般の会社員も同じですよね。そんな10年前の自分のようなビジネスパーソンに読んでもらえたらなと。そしてその違和感、自分の中の小さな声や衝動をうやむやにせず、“ちょっとやってみる”ことをしてもらいたいなと思っています。

例えば私の場合、「レタス農家に生まれた自分に商店街の活性化ができるのか」と違和感を抱き、実際に当事者になってみようと商店街の空き家を借りました。そのようなアクションを起こすときに大切にしているのが“目の前にいる最初の一人(n=1)”の存在。このとき、最初に借りた空き家の大家さんがn=1で、大家さんが困っていることは何か、喜ばせるにはどうしたらいいかを考えて取り組んでいます。新しい事業や政策を考える際には、このn=1をちゃんと想像できているかを意識してほしいですね。

また、自治体職員としての“私”と、その自治体に住む市民としての“私”という二つの主語を使い分けて、アウトプットすること。新しいことをやるにも、誰かに伝えて共感してもらわないといけない。職員として、市民として、思いを語り伝える訓練をしておくことはとても大事です。話す機会は自分でもつくれるし、SNSで発信もできる。そうやって、日々アウトプットすることを前提に過ごしていると、自然とインプットの質が変わってくるんです。

 

Q.今取り組んでいることや、これから発信したいことは。

地域で“働く”とか“暮らす”ことの選択肢を増やしたいなと考えています。その一つが、民間で培ったスキルを使って、“副業×短期間×リモート”で塩尻の地域課題の解決に取り組む「塩尻C×O Lab」です。テクノロジーが進化して多拠点が当たり前になっている時代、移住しなくても、仕事や生活を変えず都会にいながらにして地域の課題に取り組めるというのは、新しいライフスタイルになってくると思います。

また、「市役所をハックする!」という投資型のオンラインコミュニティの運営をしています。自治体職員や民間の会社員たちが集まった“オンライン市役所”なんですが、例えば、“有事が起きたときにどうするか”などテーマに沿って研究し、実証実験を行います。仮想市役所なので上司もいないし、やらないことを誰かのせいにもできない。普段抱いている違和感をプロトタイピングしていくことで、現実に自分の職場や地域で実装するところまでつなげていきたい。とても可能性を感じる活動です。

これから自分もまだまだ挑戦者でいたいし、地域で挑戦する若者を全力で応援していきたいですね。

 

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