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愛媛県西条市

公開日:2021-08-18

西条市版SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の実施

企画・政策
読了まで:5分
西条市版SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の実施

取組概要

SIBは、その多くの事例では、「民間資金」を活用した成果連動型の業務委託のスキームを取っているが、当市で実施する西条市版SIBは、「住民出資」を活用した成果連動型の補助金制度である。
当該事業の実施に必要となる資金は、当該事業の内容や事業者の「想い」に共感し、応援したいと想う地域住民や企業からの出資(投資)により調達する。
事業実施においては、事業者及び有識者、市、中間支援組織によって協議・合意した成果目標を設定し、事業実施後には、それら成果目標の達成時のみ、市から交付金が支出し、その交付金を原資に、中間支援組織が出資者に対し出資金元本を償還する。

取組期間

平成30年度~(継続中)

背景・目的

持続可能な社会の実現に向け、現行の大都市中心の経済システムからの転換を図り、地方から都市に流出している資金等を呼び戻し、地域内で還流する仕組みづくりの構築を目的としている。
その考えに至った背景には、

・行財政改革の必要性
(行政が実施する事業の「選択と集中」を図るとともに、納税者である住民自身が事業の必要性を吟味する視点を持ち、住民の主体的参画を伴う仕組みを構築することが必要)
・一般的補助制度の問題解決の一手法
(従前の補助金制度は、一般的に行政と事業者の二者間で行われる閉鎖的なスキームとなり、その仕組み上、事業実施により創出された効果や、事業内容そのものが受益者以外の住民には分かりにくいという問題があり、その解決の一手法)
・設立を検討中のコミュニティ財団が担う仕組みの「実証」
(多様化・複雑化する社会的課題を多くの関係者が連携し合うことによって、解決に向けたアプローチをする仕組みが必要と考え、地域の新たな挑戦の後押しを行う「コミュニティ財団」の設立を視野に、その財団が担う具体的な事業スキームの「実証」のために、SIBを導入し、民間資金提供者を巻き込んだ資金調達が可能かどうかを見極める)

取組の具体的内容

平成29年12月に愛媛銀行及びプラスソーシャルインベストメント株式会社との包括連携協定を締結し、協働での検討を開始。

【平成30年度】

1 商業地域等活性化事業(1件)
(1)事業内容 ランチタイムの営業を開始し、西条市産食材を活用したメニュー提供によるエリア内活性化
(2)出資状況 上限50万円に対し、市内在住者から36万円(13人)、市外在住者から14万円(6名)の満額出資を得た。

2 特産品開発事業(2件)
(1)事業内容 ①自社栽培果実と規格外品果実を使った果物ソース開発
       ②西条市産はだか麦を使ったパウンドケーキを軸とした野菜スイーツのシリーズ化
(2)出資状況 ①上限100万円に対し、市内在住者から50万円(17人)、市外在住者から50万円
(13名)の満額出資を得た。
②上限100万円に対し、市内在住者から68万円(22人)、市外在住者から32万円
(11名)の満額出資を得た。

【令和元年度】

1 特産品開発事業(1件)
(1) 事業内容 丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発
(2) 出資状況 上限50万円に対し、市内在住者から27万円(14人)、市外在住者から23万円
(14人)の満額出資を得た。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

当市でのSIBは、主に大都市における医療福祉分野での実施が進む、行政コスト削減型のスタンダードなSIBとは性質を異にしており、まちづくり分野での活用を行っている。(滋賀県東近江市を視察)
平成30・令和元年度国土交通省主催「まちづくり分野におけるソーシャル・インパクト・ボンドの活用可能性に関する検討会」(学識経験者等の委員会)及び同主催シンポジウムにおいて、「西条市版SIBは『地域での人と人のつながり』の醸成を主旨とした、先進的な地域課題解決手法であり、各地に広げていくべき取組である」との高評価を受けている。
さらに、令和2年度からは、より実施分野を広げ、「SDGs」の推進に向け、地域社会を支える新規性あるチャレンジを周囲が応援し、各人が「自分事」として関わることで、「チャレンジを前向きに応援する文化」を地域に根付かせるため、「つながり広がるチャレンジ応援事業」をSIBの手法を用いて実施している。

取組の効果・費用

従来の行政と事業者の二者間で行われていた閉鎖的な補助金制度では対応できなかった
・受益者以外への事業内容や事業効果の開示
・それにより、納税者である住民が事業の必要性を吟味する視点の保持
という補助金制度の改革を行うことができた。
また、平成30年度・令和元年度の2か年度計4事業において、全て満額出資となっている。
これは、市民等を巻き込んだ資金調達が可能ということを示していると考えられ、それに加えて、出資者が応援者となり資金調達だけでなく、事業の情報発信を担うという面も見受けられた。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

より地域への効果が明確な成果目標の設定、継続的な事業サポートの体制、出資方法の多様化、募集事業の枠組み等、課題は多々あると認識しているが、「6 特徴(独自性・新規性・工夫した点)」の欄で記載したとおり、募集事業の枠組みについては変更し、実施分野の拡大を図った。
また、新規事業に特有であると思われる庁内の部署横断的な調整及び事務に苦労した。

今後の予定・構想

地域の皆さんに関わっていただける仕組みであることを活かし、多様な主体で考えるべきことにスポットが当たるような仕組みにしたい。(例:コミュニティ財団の設立)
あらゆる挑戦が生まれやすい“応援し合う土壌”を作るため、仕組みそのものをブラッシュアップしていき、西条市版SIBの実践を継続していきたい。

他団体へのアドバイス

市民や企業の参画をより促進させるため、1つの課のみで実施せず、事業内容に応じて関係課と連携するなど、庁内横断的な実施体制の構築が必要。

取組について記載したホームページ

https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/chiikishinko/

問い合わせ先

愛媛県 西条市 地域振興課
電話番号 0897-56-5151

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