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大事な通知が埋もれないように、申告の“期限”を目立たせる。

償却資産の申告書を入れた封筒に期限を明記
事業用の備品などに課される償却資産の申告漏れが課題だった福井市。申告書の封筒を早く開けてもらえるように期限を外側に印字すると、従来の封筒に比べて新規対象者の申告率が13.2ポイント向上したそうだ。
※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

福井市
商工労働部 商工労政課
梅田 佳孝(うめだ よしたか)さん
認知度が低く手続きも煩雑で申告漏れが起きやすかった。
償却資産は固定資産税の対象だが、行政側で把握できる土地や家屋と異なり、納税義務者が自ら申告する必要がある。認知度が低い上、個人が経営する賃貸住宅のごみ置き場の倉庫、門や塀など種類が多岐にわたり、当事者も把握することが難しい。これらの事情から申告率が低く、同市では、令和5年度の新規対象者の期限内申告率が約62%だったという。
担当課から相談を受けて、ナッジの設計に携わったのは、同市のナッジ・ユニットに所属している梅田さん。「担当課では電話や郵送、訪問などで督促を行います。申告の繁忙期とも重なるため、本来不要な業務の発生が大きな負担になっていたようでした」。
同ユニットは令和5年度の職員提案制度で若手職員の有志が立ち上げた。庁内研修などを通してナッジを周知し、市の政策に普及促進させる役割を担っている。「簡単でコストをかけずに効果が期待できる点に魅力を感じ、声をかけてくれたようです。そこで担当課と連携しながら、原因を分析。3~4カ月間かけて協議を重ね、対策の検討を進めていきました」。
“タイムプレッシャー”により開封を促して申告率を上げる。
分析は、同ユニットが作成した7ステップのワークシート「ナッジ検討プロセスモデル」に沿って行った。まずは、期限内の申告を忘れる人がどんな心理状況にあるのかという“ペルソナ分析”を実施。申告書が届いてから提出するまでの行動を洗い出す“行動プロセスマップ分析”にも注力した。「設計では、対象者の立場で考えることが大切です。例えば仕事から帰ってポストを開けると、たくさんの郵便物がある。“後で見ればいいや”と思われないために、開封を促すことが有効だと考えました」。
令和7年度の申告書を送る際、封筒の表面と裏のふた部分に、目立つように期限を印字。その結果、新規対象者の申告率が13.2ポイント向上したそうだ。「電話や訪問などによる催促が要らなくなり、手間の軽減につながりました。繁忙期に、不要な業務が減ったことが、数字以上に心理的な負担を軽くしているようです」。一方、過去に申告経験がある人の行動には大きな変化は見られなかった。対象者によって効果の違いがあると分かったことも重要な収穫で、今後は対象者ごとにナッジを使い分けていく予定だという。
ナッジの魅力について、梅田さんは現場で実践しやすい点を挙げる。「封筒に期限を書くだけなら、コストはほとんどかかりません。担当者の裁量で進められるので、大きな手間をかけずに業務改善を目指せると思います」。

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