大阪府堺市

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紙を出しにくい環境づくりで、ペーパーレス化を後押し。

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紙を出しにくい環境づくりで、ペーパーレス化を後押し。

リサイクルボックスの小型化で印刷行動を抑制

印刷枚数の削減に向けて全庁的な対策に取り組むことになった堺市。2種類のナッジを試したところ、紙類の“リサイクルボックスの小型化”が印刷を控える行動につながり、実施前から25ポイント以上削減できた。

※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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堺市
環境局 カーボンニュートラル推進部
環境政策課 企画係長
前川 裕輔(まえがわ ゆうすけ)さん

まずは庁内の行動変容のためにスモールスタートで実施した。

同市では令和3年に、「堺環境戦略」を策定。具体的な行動変容を庁内外に促す目的から、環境分野に特化したナッジユニット「堺市環境行動デザインチームSEEDs(シーズ)」が環境局に誕生した。「まずは局内で実績をつくるため、設計から効果検証までスモールスタートで取り組むことに。以前から庁内で目標に掲げていた、デジタル複合機の印刷枚数の削減を後押しするため、ナッジを活用することになったのです」と前川さんは振り返る。

ユニットのメンバーは環境局の有志で、ナッジの専門知識はなかったという。ノウハウを習得するために重視したのは“チーム全体で進めること”だ。「まずは、行動を妨げるボトルネックを探すための行動プロセスマップを1人1つずつ作成。ナッジのアイデアや実験に向けた論点を全員で出した後、外部の有識者からアドバイスを受けながら進めました」。議論を重ねた結果、2つのナッジを用いた実験に取り組むことになった。一つは、複合機に1人1日当たりの印刷可能枚数を掲示すること。もう一つは、リサイクルボックスの体積を約13分の1に小型化するというしかけだ。

意識変化が少ないグループで印刷枚数を減らす行動が。

実験では局内の8課を対象とし、計183人を4つのグループに分けた。注意したのは条件を揃えることだ。「正確に効果を検証できるよう、各グループの人数と、実験前までの削減状況などがなるべく均等になるように分けました」。さらに、課員には実験であることを伏せて行い、結果に影響が出ないように気を付けたという。

効果検証結果と、アンケート調査からは、興味深い発見があったという。複合機にメッセージを掲示した実験では、約6割が“削減意識が高まった”と感じたものの、前年同月比で約17.9ポイント増えていた。一方でリサイクルボックスの小型化では、“印刷を控えよう”と感じた人が約16%にとどまったものの、約26.8ポイントの削減率向上につながったのだ。「意識と行動の隔たりが印象的でした。ボックスの小型化が、無意識に印刷を避ける行動を促したと考えられ、今も継続して使っています」。

これ以降も様々な実験を行っている同市のナッジユニット。前川さんは、ナッジの魅力はたくさんあると話す。「効果検証までしっかり行うことで、データ活用につなげられます。管理職の理解も得やすく、他課から相談を受けることも増えました。ペーパーレス化の実験はダンボールを用意したくらいで、コストは数百円。アイデア一つで費用対効果の高い取り組みができるし、何よりナッジは面白いですね」と笑顔を見せた。