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“見られている”という意識が、違法停車を思いとどまらせる。

タクシーの違法停車を防ぐ窓付き看板とフラッグの設置
繁華街でのタクシーの違法な客待ち停車やはみ出し停車が、長年の課題となっていた京都市。乗務員と利用者の双方に働きかけるユニークな“窓付き看板”と停車位置を示すフラッグを設置し、防止に成功したという。
※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

京都市
都市計画局 歩くまち京都推進室
担当係長 武田 啓志(たけだ けいし)さん

京都市
都市計画局 歩くまち京都推進室
主任 永田 直也(ながた なおや)さん
違法停車が横行する原因は乗務員と利用者双方にあった。
市内有数の繁華街が広がる四条通(しじょうどおり)。交差点や横断歩道におけるタクシーの客待ちや、タクシー乗り場でのはみ出し停車が多発し、渋滞やバスの発着を妨げる原因となっていた。タクシー乗務員の意識の問題と考えてマナー向上の取り組みを行っても、十分な効果は得られなかったという。
課題を洗い出すために、乗務員を対象にアンケートを実施したところ、意外な結果が浮かび上がった。「“ルールを守らないのはやむを得ない”と回答した人に理由も聞くと、最も多かったのが“利用者の都合”でした。呼び止められるので、仕方なく停めてしまう状況が見えてきたのです」と武田さん。さらに、タクシー利用者を対象にしたアンケートも実施。交差点やバス停付近での乗り降りやタクシー乗り場以外での客待ちが、“違法であることを知らない”と答えた人は約6割にのぼったという。
「乗務員と利用者の双方に課題があることが明らかになり、両者への働きかけが必要だと分かりました。そこで、市が実施する公民連携の事業を通じて企業からアイデアを募集。協議する中で、“強制するのではなく、自然に違反行為を避けるような仕組みにしよう”と、ナッジを活用することが決まったのです」。
窓付き看板を設置したことで違法停車時間が約9割減少。
メインストリートが交わる四条河原町交差点の歩道に、窓付き看板を設置。車道側には視線を感じさせる目のイラストを描き、“みんな見てますよ”という文言を添えた。歩道側からは停車しているタクシーが窓内に見える仕組みで、違法停車である旨を明示した。「設置直後は、違法停車時間が約9割減少しました。バス運転手からは“所定の位置に停められるようになった”と聞いています」と永田さん。加えて、タクシー乗り場2カ所に停車位置を示すフラッグを設置。停車台数が守られるようになり、はみ出し停車が減少したという。
この取り組みを行う前まで、ナッジ自体を知らなかったという武田さん。「窓枠と目のイラストという工夫だけで、これほどの効果が出るのかと驚きました。ただし時間がたつにつれ、見慣れることで停車が再び増えつつあります。経過を注視し、対応を検討していきます」。
永田さんは、限られた予算内で実施できる点もナッジの魅力だと話す。「わずかな費用で、年度内に実施することができました。ただ、ほかの場所からも看板設置の要望がありましたが、全く同じ物を置いても同じ効果は見込めません。必ずその場所の分析を行い、課題に合わせた適切な啓発方法を検討することが大切だと思います」。















