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防災と教育の両面で推進する夏場の体育館の熱中症対策。

大風量で空間を冷やす空調設備
教育環境を守るとともに、災害時の避難者の健康被害を防ぐため、体育館空調の導入を進める春日部市。防災と教育の両部局が連携して選んだのは、空間を効率的に冷やす空調設備だった。同市の取り組みから、スムーズな整備のヒントを探る。
※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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春日部市
元・市長公室 危機管理防災課
(現・学校教育部 教育総務課)
主幹 井上 雅陽(いのうえ まさはる)さん

春日部市
学校教育部 教育施設課
技師 田代 亘(たしろ わたる)さん
猛暑による熱中症を防ぐため、体育館への空調整備が急務に。
気候変動の影響で猛暑日は年々増加し、熱中症対策に悩む自治体は少なくないだろう。同市でも、平成30年頃から体育館における暑熱対策が課題だったと井上さんは振り返る。「体育の授業や学校行事の途中で、暑さによる体調不良を訴える児童・生徒が見受けられました。必要に応じてスポットクーラーを稼働させていましたが、空間全体を冷やすことは難しく、効果が限定的だったのです」。併せて、災害時には避難所となるため、避難者の熱中症など健康被害の発生が懸念されていたという。
そうした中、令和4年9月の定例市議会で避難所への空調設備の設置を求める決議が採択された。これを契機に、同市では本格的な検討を開始。避難所を担当する防災部局と、学校施設を担当する教育部局の連携体制を構築したという。「体育館の環境改善という共通の目標に向けて、部局の垣根を越えて業務のすり合わせを行いました。早期整備を進める上で、『緊急防災・減災事業債』の活用が大きな後押しになりました」。両部局では様々な空調設備の情報を収集し、比較検討を実施。他自治体への視察などを通じて実際に体感した結果、「エリア空調機」の採用を決定した。



広い空間を大風量で冷やし短時間で効果を実感できる。
選定においては、コスト面や冷却効率に加え、1台が故障しても稼働できる独立性という3つの観点で検討が行われた。「決め手は、大風量による冷却スピードです。必要なときのみ稼働させる体育館では、短時間で効果が得られる点が非常に有効だと考えました」と田代さん。通常の天井吊り型エアコンでは、空間を冷やすまでに半日ほどかかる場合もある。一方、同機器は遠くまで風が届くため、約20~40分で効率的に冷やせるという。「大風量のため稼働音を懸念する声もありましたが、式典などの場面では稼働台数や風量を調整して、問題なく使用できています」。
加えて、室内機は薄型のため、体育館上部に設けられた通路であるキャットウォークなどにも設置できる。これにより大がかりな設置工事が不要となるほか、防球ガードの費用も抑えられる。さらに、清掃などのメンテナンスも容易だという。実際に同市でキャットウォークを備える体育館では、その利便性を考慮して通路に設置しているそうだ。
また、災害時を見据えた備えも講じている。「エネルギー源が電気のため、近隣自治体や企業と協定を締結し、停電時には発電機を借り受けられる体制を整えています。非常時でも、支障なく稼働できる想定です」。

市民の満足度向上にもつながり安心して使える体育館を整備。
導入は順次進められ、令和7年度中に市内全34校の小・中・義務教育学校の体育館で整備が完了。幸いにも導入後に災害は発生しておらず、体育の授業や部活動、学校行事などで効果を発揮しているという。「休日は地域のスポーツ団体などに開放しています。利用する市民からも“快適に運動できるようになった”と喜びの声が届いています」。さらに、暖房機能も備えているため、冬場の卒業式などにも活用されている。
また、ランニングコストを抑える工夫として、同市では独自に「カードタイマー方式」を導入。操作盤の隣に設置した機器に、カードを差し込むと稼働し、一定時間が経過すると自動で停止する仕組みだ。利用時間を自動管理することで、消し忘れ防止につなげているという。
「猛暑日が増え、他自治体でも空調整備が求められていると思います。今回の導入を通じて、スムーズに事業を進めるには、横の連携が大切だと感じました」と井上さん。平時も災害時も子どもたちや市民が安心して過ごせる環境づくりを進めている同市。異なる部局がタッグを組んで進めたこの取り組みは、他自治体にとってヒントになりそうだ。




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