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トライ&エラーで挑戦を続け、行政経営を次のステージへ。

LINEを活用したスマホ市役所
多くの自治体が行政手続きのオンライン化を進めている。そうした中、長岡京市はLINE公式アカウントで人口を大きく超える友だち登録数を獲得。同時に高い利用率も達成している。この成功のポイントはどこにあるのか、同市の市長に聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.43(2026年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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長岡京市
市長 中小路 健吾(なかこうじ けんご)さん
オンライン手続きの利用率の高さが、市民・職員の双方にメリットを生む。
同市がLINE公式アカウントを開設したのは令和2年。その1年後に開発プラットフォーム「ガブテックエクスプレス」を導入した。市長の中小路さんはこう振り返る。「行政手続きのオンライン化は自治体共通の課題です。当市でも“書かない、待たない、来なくてよい”市役所をテーマに検討を進める中で、重要な施策の一つがLINE活用でした。すでに多くの人が使っていて、ダウンロードの手間もありません。この強みを活かすことにしたのです」。
LINE活用の歩み
▶令和2年3月
コロナ禍での情報発信を目的に、LINE公式アカウントを開設
▶令和3年3月
ワクチン接種予約をLINEで行うためガブテックエクスプレス導入
ガブテックエクスプレスとは?
申請・予約・登録など、自治体窓口で行われる様々な手続きをLINE上に実装できる開発プラットフォーム。「ボットエクスプレス」が提供・サポートしている。
▶令和5年~
登録者が8万人を超え、以降も毎年1万人ほど増加
スタートは決して早くはなかったが、その後着実に利用者を増やしていった。今では同市にとって不可欠な情報インフラになっており、この成果については“想定以上”だと評価する。「友だち登録者数の多さが注目されがちですが、年間手続き数が5万件以上あるのもポイントです。実際に使ってもらうことが重要ですから。多くの手続きを追加した結果、総合アプリのような役割を果たしています」。これらの手続きがアナログで行われていた場合を想像すると、市民が便利になったのはもちろん、庁内の事務作業や電話対応なども減っていることが分かる。まさにこれが目指していた“市民の利便性向上と、職員の負担軽減の両立”だと力を込める。

“とにかくやってみよう”精神が職員たちの挑戦を後押しする。
同市が得た成果はそれだけではない。副次的な効果として、コミュニケーションの充実があるのだという。「私は“対話”を自身のテーマに掲げていますが、オンラインでも対話は可能。当市では手続き以外でも市民とLINEでコミュニケーションを取っています。例えばアンケートをとったり、施設の愛称を募集したり。つまり市民の皆さんが市政の“決定過程”に気軽に参画できるようになったのです」。実際、同市ではこうした機会が増え、職員が“市民の声を聞きたい”と考える姿勢を積極的にもつようになったそうだ。アナログな方法では負担がかかるが、予算をかけず、最小限の手間で市民の本音が聞けるメリットは大きい。
取り組みが大きく前進している要因を聞いたところ、「アジャイル思考だと思います」という答えが返ってきた。最初から完璧を目指さずに、トライ&エラーを重ねるという考え方だ。「私たちが生きる現代は、変化が激しく先行きを見通しにくい。絶対的な正解を導き出すことは非常に困難です。こうした時代には、失敗を恐れず“とにかくやってみよう”という姿勢が大切でしょう。うまくいかなかったときは検証してやり直し、よりよいものに改善していく。この考え方と行動が、徐々に庁内に浸透していると感じています」。
成功体験が原動力となり、好循環がまわりはじめる。
同市の姿勢を象徴するような活動がある。令和7年に行われたデジタル防災訓練だ。LINE公式アカウントを活用した市民参加形式で実施され、内容は避難所外の避難者把握や支援物資の搬送、避難所へのデジタルチェックインなど。参加した市民からは“操作が簡単で安心だった”といった声が寄せられたという。「避難所外を含めた避難者の一斉把握などは、従来のアナログ手法では不可能でした。オンライン手続きの推進だけでは単なるデジタル化に過ぎませんが、デジタルだからこそ、従来できなかったことができるようになる。まさにこれがDXのなせる業だと感じています」。
同市のLINEは今も友だち登録者が増加しており、手続きも追加されつづけている。これまでの経過を振り返り、中小路さんはこう総括する。「デジタルでできることが増えたら、使う人も増えます。それをリードするのは市の職員で、大切なのは、小さな成功体験の積み重ね。庁内で起きたチャレンジが市民の利便性を高め、職員の仕事もしやすくなったとしたら“うちの課もやってみよう”という動機付けになり、取り組みが波及していきます。その繰り返しでよい循環がまわっていくのではないでしょうか」。
10万人を超える登録者と、100以上のオンライン手続き。その中で得た市民の声や、職員の挑戦が残した成果は、未来へつながる資産になっていくだろう。

市民に愛される
オンライン手続きのつくり方Q&A

総合政策部 デジタル戦略課
課長 井手 竜太(いで りゅうた)さん
LINE上の手続きを増やすにあたり、市長からは“他自治体との比較だけでなく、民間サービスと比べて考えよう”という助言がありました。確かに、市民は行政サービスを受けるときに自治体同士を比べたりはせず、“民間企業のECサイトでは何度も住所を入力することはないのに”といった捉え方をするはず。私たちが目指すべきなのはそうした声に応えることだと考えつつ、より便利な仕組みがつくれるように取り組んでいます。私たち職員の工夫や頑張り次第で、市民の反応が目に見えて変わることが最大の醍醐味です。
Q1. LINEを活用するにあたりGEを選んだ理由は?
A. 市民の利便性を重視した結果です。
市民にとって最も使いやすいサービスは何かを検討し、以下の点が決め手になりました。
- 職員側で機能の追加・修正がすぐに行える
- プッシュ配信を活用できる(予約前日のリマインドや災害情報伝達など)
- 住民への個別連絡や情報受け取りが可能(位置情報や画像などの情報を受け取れる)
- 定額制なので手続きの数を増やしても金額の負担が増えない
Q2. 登録者が多いだけでなく利用率が高い要因は?
A. 機能の改善を続けているからだと思います。
各手続きは一度リリースして終わりではなく、市民の声や利用率などの反応を見ながら改善を重ねています。代表的な例が「ジャブジャブ池」という水遊び施設の予約機能。年間5,000人以上が利用する人気施設で、リリース後に2回の機能改善を行っています。

Q3. もともとデジタルに詳しい専門職なのですか?
A. いいえ、デジタル分野での経験はありませんでした。
令和3年に現在の課に異動して初めてこの分野に触れました。ボットエクスプレスのサポート担当や機能テンプレートのおかげで前進できています。現在は「かんたんAI検索」機能を準備中。市民が“ひとり親家庭への支援”といったキーワードを入力するだけで、各種支援を検索できるようになります。制度名や補助金名を知らないと検索が難しいという現状の問題を解消していきたいです。

Q4. 各手続きの所管課との調整が大変では?
A. 簡単ではないですが、異動者がDXを広げています。
所管課それぞれの事情があるので調整は丁寧にやっていますが、自然発生的に生まれた手続きもあります。前述のジャブジャブ池予約機能を一緒につくった職員が、異動先で放課後児童クラブの担当となり、その申請をLINEに実装したのです。成功体験を得た人が、次の部署にもDXの種を広げていく。各課が同じシステムを使えるからこそですね。
部署間の調整はどの自治体でも共通の課題だと感じます。まずは庁内の困り事を整理し、タイミングが来たときに提案できる材料をもっておくようにしています。GEでは他自治体の様々な手続きがコピーできるので、材料として役立ちますよ。そして共感してくれる人と始めることが、DXが動き出すきっかけになると思います。ともに頑張りましょう。

ここが知りたい!
自治体からよくある質問Q&A

ボットエクスプレス
仁志出 彰子(にしで しょうこ)さん
Q1. セキュリティ体制はどうなっていますか?
A. LINE上でやりとりされたデータはISMAP登録クラウドに格納されます。
データはLINEのサーバーを介さずセールスフォースのデータセンターに保存。ISMAP登録済みで政府の監査も受けています。職員ごとのアクセス制御も可能です。
※ ISMAP=Information system Security Management and Assessment Program(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度
Q2. 職員だけで機能を開発できるか心配です。
A. AIに指示するだけで複雑な予約機能が開発できるようになりました。
条件の複雑な施設予約や検診予約などの機能開発を、GE専用AIが職員の代わりに行います。今後もAIで開発できる機能を増やす予定です。
※AIオプションの契約が必要
Q3. 他事業者のLINEサービスを利用中なので、切り替えるのが難しいのでは?
A. 同じアカウント内で共存が可能です。
他事業者のサービスで運用しながら、当社独自の手続きや機能を追加できます。既存ユーザー数などに影響はなく、切り替えの場合も追加費用は発生しません。
Q4. 専用アプリや総合アプリの導入を検討中ですが、それらとLINEとの違いは何ですか?
A. 住民への普及のしやすさです。
LINEはすでに幅広い年齢層が普段使いしており、ダウンロードしてもらうハードルがないため、普及しやすいのが強み。双方向のやりとりもスムーズです。






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