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【休み方】寝ても疲れが取れないあなたを救う、最高の休み方

ジチタイワークス「公務員ライフを楽しむためのバラエティ増刊号」とは?
社会の難題に立ち向かう公務員の皆さんに、ちょっとした安らぎの時間を提供したい。そんな思いから、編集室では「公務員のためのバラエティ班」が密かに活動中!疲れたココロとアタマを休めながらも、公務員ライフを少し楽しく、豊かに感じられる……そんな多彩なコンテンツをお届けします。
※下記はジチタイワークス バラエティ増刊号(2026年1月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
休みは取れているし、残業も少ない……それなのに疲れているのはナゼなのだろうか。謎を解くために、「休み方」を約20年間考えつづけてきた専門家の片野さんにインタビュー。月曜から高いパフォーマンスを発揮するための「最高の休み方」とは?


一般社団法人日本リカバリー協会
代表理事
片野 秀樹(かたの ひでき)さん
博士(医学)。株式会社ベネクス執行役員。休養に関する社会の理解を深め、リテラシー向上を目指して啓発活動に取り組む。科学的な知見にもとづいた休養法を伝える著書は、累計20万部を突破。(令和7年10月時点)

「あなたを疲れから救う休養学」東洋経済新報社
昔のような「余白」がなく疲れを感じる人が増えている。
なぜこれほど疲れている人が多いのかというと、背景には、時代の変化とともに余白が失われている現状があります。昔は携帯電話がなかったので、例えば営業の合間の移動時間に本を読んだり、うとうとしたり、早めに訪問先に着くと喫茶店で休むこともできました。余白があるから、オンタイムとオフタイムのバランスが取れたのです。
ところが、今は違います。オンライン会議が増え、移動しないで済んだ時間を仕事で埋めてしまうのです。わずかな空き時間もメールを打ち、カフェでも資料作成をする。つまり朝から晩まで余白がなく、疲弊してしまうのだと考えられます。
余白は本来、心身のバランスを取るために欠かせないもの。でも、日本人には「休むことはよくない」という意識が根強くありますよね。まわりの顔色をうかがい、自分だけ休むのは申し訳ないと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
「オフ・ファースト」の発想で先に休んでおくことがカギ。
最近では、タイパという言葉もよく使われます。時間の余白があったら埋める方がいいという発想です。その結果、つい「残業してでも仕事を終わらせよう」と、オンタイムを引き延ばしてしまう人も少なくありません。でも、オフタイムを圧縮したことで心身の回復が不十分になると、翌日の生産性も低下します。ですから、もっと休むことにポジティブになってもらいたいのです。
多くの人は、週の始まりを月曜と考え、金曜まで何とか乗り切って週末に休む感覚だと思います。でも、私は「オフ・ファースト」の発想で、オフを先に考えてくださいと伝えています。週の始まりを土日からと捉えて、先に休んでほしいのです。どのように過ごせば、最高のパフォーマンスが発揮できるのか、オフと向き合うことが大切だと考えています。
疲労感を自覚していても覆い隠して無理をしがち。
よく「疲労がたまった」といいますが、実は「疲労」はたまるものではありません。活動によって一時的に能力が下がった状態を指します。体や頭を使いすぎると動きが鈍くなり、体や脳が不快感という形で危険信号を出します。私たちはそれを「疲労感」として認識するのです。
本来なら、このサインを素直に受け止めて回復するまで休むのが理想です。けれど、使命感や責任感、あるいはカフェインなどで不快な感覚を覆い隠し、働きつづけてしまう人も少なくありません。すると、集中力や判断力が落ちて成果が出にくくなり、残業が増えてさらに「疲れが取れない」という悪循環に陥ってしまうのです。
もちろんサインを自覚したからといって、簡単に休める社会でないことは理解しています。でも、「今、体や脳からの声に向き合っていないかもしれない」と気づくことが、休み方を変える第一歩なのです。
「だらだら寝て休む」から活力を生み出す休み方へ。
休むと聞くと、寝ることだと思う人も多いでしょう。休日は昼や夕方まで寝ている人もいるのではないでしょうか。でも、寝れば回復するというのは小さい頃の感覚です。年齢を重ねると寝るだけではリセットできず、主体的にどう休むかを考える必要があります。そこで私が提唱している休み方が、活力を高める「攻めの休養」です。
人の一日は「活動→疲労→休養」のサイクルで動いていますが、この流れでは約8割の人が、疲れが取れないと感じています。というのも、活動の対義語は休養ですが、疲労の対義語は休養ではなく活力だから。要は、活力が欠けているのです。休養によって活力を取り戻し、そのエネルギーをもって次の活動に向かう、つまり「活力を加えた休養」こそが、持続可能なサイクルなのです。
余白が少ない現代社会では、休養リテラシーが問われています。自分に合った休み方をマネジメントし、オフ・ファーストで積極的に攻めの休養を取る。そうすれば、翌週の仕事で最高のパフォーマンスを発揮できることでしょう。


軽い運動や新しい刺激など、あえて軽い負荷をかけることで、筋トレの「超回復(※)」のように、回復の過程で心身の基礎力が向上。次の活動へのパフォーマンスが高まるという。
※トレーニングによって一時的に低下した筋力が、適切な休息と栄養によって元のレベルを超えて向上する現象
活力を高める7つの休養モデル
自分に合う休養方法を意識的に選ぶことが大切。
休養には大きく分けて、「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」があるという。片野さんは、この3つをベースに細分化した7つの休養モデルを提案している。
「どれかを単独で取り入れても効果はありますが、組み合わせることでさらに活力を高めることができます。より充電できる感覚ですね」。
そして重要なのは、無意識に取っていた休養行動を、意識的に選ぶことだという。「これまで意識せず行ってきた休養の中で、これをすると疲れが取れたと感じるものが、誰しも一つや二つあるのではないでしょうか。それこそが自分に合った休養行動です。その行動を意識的に取ることで、同じように回復できる再現性が生まれ、活力を高めることにつながるのです」。
生理的休養

休息タイプ
体を動かさず、エネルギーをできるだけ消費しない休養。イメージしやすい基本の休み方で、昼寝を含む睡眠や休憩などがある。

休息タイプ
体を動かさず、エネルギーをできるだけ消費しない休養。イメージしやすい基本の休み方で、昼寝を含む睡眠や休憩などがある。

運動タイプ
散歩やスクワットなどのように、軽く体を動かす休養。血液が体内で巡り、活動によって生じた老廃物が排出されやすくなる。

運動タイプ
散歩やスクワットなどのように、軽く体を動かす休養。血液が体内で巡り、活動によって生じた老廃物が排出されやすくなる。

栄養タイプ
体にやさしい食習慣や、食べない時間をつくって消化器を休める休養。こってりしたものや甘いものを控え、回復力を高める。

栄養タイプ
体にやさしい食習慣や、食べない時間をつくって消化器を休める休養。こってりしたものや甘いものを控え、回復力を高める。
心理的休養

親交タイプ
人や動物、自然などと交わり、心を安らげる休養。親しい人との会話やハグ、ペットとの触れ合いや森林浴などでストレスを解消。

親交タイプ
人や動物、自然などと交わり、心を安らげる休養。親しい人との会話やハグ、ペットとの触れ合いや森林浴などでストレスを解消。

娯楽タイプ
自分の好きなことを楽しむ休養。映画や音楽、読書などで気分転換を図る。ただし、朝までドラマを見るなど、度を超えないよう注意。

娯楽タイプ
自分の好きなことを楽しむ休養。映画や音楽、読書などで気分転換を図る。ただし、朝までドラマを見るなど、度を超えないよう注意。

造形・想像タイプ
料理や日曜大工などの創作活動、または黙想や空想で心を整える休養。思考を整理し、ストレスを切り離すことでリフレッシュできる。

造形・想像タイプ
料理や日曜大工などの創作活動、または黙想や空想で心を整える休養。思考を整理し、ストレスを切り離すことでリフレッシュできる。
社会的休養

転換タイプ
身のまわりの環境を変える休養。旅行はもちろん、デスクの整理や好きな色の服に着替えるなど、手軽にできることでいい。

転換タイプ
身のまわりの環境を変える休養。旅行はもちろん、デスクの整理や好きな色の服に着替えるなど、手軽にできることでいい。
\ 日常の行動の中で気軽に組み合わせてみよう /
休養タイプを知っておくと、自分から休みを取りに行く「攻めの休養」が可能に。効果を高めるために、できるだけ組み合わせてみよう。
栄養タイプ 温かいスープを飲んでほっと一息つく
+ 娯楽タイプ 好きな音楽を聴きながら料理を楽しむ
+ 造形•想像タイプ 冷蔵庫にある食材でオリジナルの一品に
+ 親交タイプ 子どもに声をかけて一緒につくる
+ 運動タイプ 近くの公園まで歩いて飲む前に体を動かす
+ 転換タイプ ダイニングではなくベランダに出て飲む
+ 休息タイプ 食後はソファでまったりリラックス
▶▶▶自分の工夫次第で、休養の効果をより高めることができる
自治体職員に聞いた!いい休日の過ごし方
アンケートでは、複数の休養タイプを自然に組み合わせている人も多く見られた。自分に合った休養スタイルを見つけて、心と体をリフレッシュしよう。

働き方改善や職場の環境づくりを進めるあなたへ
組織が休養を取りやすい環境を整えることも重要
人がストレスを感じる要因の一つに、自分のペースを乱されることがあります。自治体職員の仕事は割り込み業務が多く、計画通りに進めにくいのが現実ですよね。するとストレスがたまりつづけて慢性的な疲労へとつながり、集中力低下、ミスの増加など、組織にとって大きな損失を招きます。

経済産業省の資料によると、働く人1人当たりの年間の健康関連総コスト(※1)は約72万5,000円(※2)。そのうち約8割は「何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態」によるもので、さらにそのうち約4割は疲労関連によるものとされています。つまり、疲労のマネジメントを怠ることは、組織の生産性を下げる要因にもなるのです。
病気になる前のサインは3つあり、発熱と痛み、そして疲労です。疲労もれっきとした危険信号ですが、社会的にはあまり理解されていません。「39度の熱があるから休みます」「ぎっくり腰で立ち上がれないから行けません」は言えるけれど、「疲れているから休みます」は言いにくいでしょう。でも、疲労感を覆い隠したまま働くと、病気になりかねません。「過度に疲れている=休むべき状態」という認識を組織全体で共有し、適切に休養できる環境を整えることが大切です。
休養は決してサボることではありません。攻めの休養によって心身をリセットすれば、仕事の効率や質を高めることができるのです。個人の意識改革も必要ですが、組織が休養の大切さを共有し、安心して休める文化を育てることが、持続可能な働き方の一歩になるでしょう。
※1 企業が従業員の健康のために負担する費用の年間総額
※2「 企業の『健康経営』ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版) 」より

経済産業省の資料によると、働く人1人当たりの年間の健康関連総コスト(※1)は約72万5,000円(※2)。そのうち約8割は「何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態」によるもので、さらにそのうち約4割は疲労関連によるものとされています。つまり、疲労のマネジメントを怠ることは、組織の生産性を下げる要因にもなるのです。
病気になる前のサインは3つあり、発熱と痛み、そして疲労です。疲労もれっきとした危険信号ですが、社会的にはあまり理解されていません。「39度の熱があるから休みます」「ぎっくり腰で立ち上がれないから行けません」は言えるけれど、「疲れているから休みます」は言いにくいでしょう。でも、疲労感を覆い隠したまま働くと、病気になりかねません。「過度に疲れている=休むべき状態」という認識を組織全体で共有し、適切に休養できる環境を整えることが大切です。
休養は決してサボることではありません。攻めの休養によって心身をリセットすれば、仕事の効率や質を高めることができるのです。個人の意識改革も必要ですが、組織が休養の大切さを共有し、安心して休める文化を育てることが、持続可能な働き方の一歩になるでしょう。
※1 企業が従業員の健康のために負担する費用の年間総額
※2「 企業の『健康経営』ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版) 」より














