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校務DXで働く環境を整備し、教職員の負担軽減を目指す。

校務情報ネットワークシステムの更改
令和元年のGIGAスクール構想により進められてきた教育のデジタル化。その見直しにいち早く着手したのが杉並区だ。従来のネットワークを再構築し、学びを支える基盤と、教職員にとって働きやすい環境の整備に取り組んでいるという。
※下記はジチタイワークスVol.41(2025年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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杉並区
教育委員会 事務局 庶務課
主査 藤巻 亘(ふじまき わたる)さん

杉並区
教育委員会 事務局 庶務課
主査 関根 久哉(せきね ひさや)さん
時代に合った施策でデジタル化を進め先進的な安全対策で通信網を再構築。
同区では、国のGIGAスクール構想を受け、児童・生徒に1人1台の端末配備や通信環境の整備を進めてきた。令和6年に定めた「杉並区立学校教育情報化基本方針」にもとづき、学校のデジタル化をさらに加速。その一環として、セキュリティの安全性を高めるゼロトラスト方式を導入し、校務情報ネットワークシステムの再構築に着手しているという。
背景には、教職員の働き方を改善する意図があるようだ。「セキュリティ上の理由から、インターネットに接続可能な“学習系端末”と、外部アクセスが制限された“校務系端末”の2種類を使い分けていました。しかし、学習指導と校務は密接に関係しており、データの連携は不可欠です。そのため、USBメモリを使ってデータ移行するなどの手間が生じていました。また、個人情報を扱う校務系端末は、職員室など限られた場所でしか利用できず、残業の一因になっていたのです」と関根さん。
教職員がメールアドレスをもっていないことでも不都合が生じていたという。「代表アドレスしかないため、外部からのメールは印刷して配布していました。研修や出張のときはファックスでのやりとりとなり、コミュニケーションが取りにくかったですね」と振り返る。
こうした課題を踏まえ、令和5年に公募型プロポーザルを実施。旧環境の課題を理解し、ゼロトラストモデルへの道筋を分かりやすく示した「NTT東日本」のプランを採用した。「回線の増速を含む総合的な提案で、導入後の働きやすさがイメージできました。他自治体での実績も豊富で、同社グループによる一体的なサポートにも期待しています」。



段階的にシステム移行を進め現場の負担をなるべく抑える。
令和6年度から始まった事業では、まず現場の要望が強かった通信速度の改善に着手した。「授業や集会では、子どもたちが端末から同じサイトに一斉にアクセスし、教材動画やYouTubeを見ることがあります。現行の1Gbps回線では大規模利用による負荷に耐えることが難しく、課題となっていました。改善には機器やコストの増加が伴うと聞いていましたが、同社の回線サービスであれば低コストで増速できると知り、魅力を感じました」と藤巻さん。10Gbps回線を敷設後、同社が区内の62校で通信速度の測定やセキュリティ調査を行い、文部科学省の基準を満たしていることを確認。以降、教材につながらないといったトラブルは聞いていないという。
今回の取り組みでは、学習系と校務系のネットワークを連携させ、より使いやすい環境にすることが目標だった。「サーバーが学校内外に分散していて保守管理も複雑だったため、この機会にシンプルにしたいと考えました。同社も同じ考えでしたが、一気にシステムを切り替えると現場の負担が大きくなる。そのため、段階的に移行する計画を提案してもらい、現場が徐々に慣れるよう配慮しながら進めることにしたのです」。こうした方針のもと、令和6年度後半から順次、各種サーバーのクラウド化に取りかかった。「一つずつ作業を進めることで学校との接点が増え、相談や確認もしやすくなりました。作業計画や、使い方の変化を順を追って示せたことで、現場の理解も得やすかったと思います」。
端末の“1台化”で効率を高め職員室外での使用も可能に。
事業が進むにつれ、困難にも直面したという。「全国的に見ても先進的な取り組みだったため、想定外の障害も発生しました。ですが、同社の対応は的確で、課題の特定から解決までスピーディでした。そのおかげで大きな混乱もなく、安心して進めることができています」と藤巻さん。また、学校現場に“ゼロトラストの概念”を伝えることにも苦慮したという。「先生たちに、取り組みの全てを理解してもらうのは難しいです。全体像は共有しつつも、“メールの使い方がどう変わるのか”といった具体的な説明をすると納得してもらいやすかったですね」。
試行錯誤を重ねながら運用を開始し、教職員の端末は1台に集約された。職員室以外でも校務処理が可能となり、教職員の負担も軽減される見込みだ。さらに、静脈認証を採用したことで、端末を紛失しても不正なアクセスをブロックでき、従来以上にセキュアな環境になっているという。
運用開始と合わせ、ヘルプデスクも同社に一本化された。関根さんは「これまで問い合わせ窓口が複数あり、どこに連絡すればいいか調べる必要がありましたが、これからは迷うこともありません。全体をサポートしてもらえるので、解決もスムーズになるでしょう」と安心する。

※1 SASE=Secure Access Service Edge(ネットワークとセキュリティの管理を統合し、クラウド上で提供する仕組み)
※2 IDaaS=Identity as a Service(クラウド上でID認証とアクセス管理を行うサービス)
メールやWEB会議ツールでコミュニケーションが広がる。
今回の校務DXで、教職員全員にメールアドレスが付与された。旧環境でも、校内だけで使える連絡手段はあったが、これからは校外との連絡も円滑になり、連携しやすくなる。「私たちも、メールで先生一人ひとりとつながることができるようになります。林間学校や研修などで教職員が学校を離れるときのやりとりもラクになるでしょう。また、コミュニケーションツールが使えるようになるため、教職員の業務連携も活性化されるのではないでしょうか。これからの展開が楽しみです」。端末の機能を使いこなせるよう、今後は現場のモチベーションが上がるような研修や具体的な活用方法を提案していきたいという。
端末の“1台化”に合わせ、校長の許可があれば持ち出し可能になるなど、働きやすい職場づくりも順調に整いつつある。「ある程度自由に使えるようになったことで、先生同士が学び合う環境が生まれるのではと期待しています」と関根さん。
校務DXで働き方改革が進み、教職員のデジタルスキルが向上すれば、子どもたちの学びにもよい影響をもたらすだろう。同課では今後も、学びの場にふさわしい環境づくりを進めていくそうだ。

共同調達で校務DXを進める秋田県の事例

ICT活用で実現を目指す次代の教育
文部科学省では、誰もが幸せになる教育の実践を目指している。同省が描く未来像を達成するため、同社はICTで学校現場を支援。自治体や学校のニーズに応じたサポートを進めている。



NTT東日本の強み
未来を見据えた幅広い提案と豊富な経験
文部科学省や総務省、自治体とともに教育分野のDXを数多く手がけてきた実績をもつ同社。自治体側の要望を踏まえた上で将来像を描いた幅広い提案が可能で、グループ会社と連携した総合力も期待できる。
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