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活動内容に合わせた効率的な照明
各業界で働き方改革が求められている昨今、自治体も業務改善に取り組んでいる。奈良県では“職員の健康第一”を掲げて様々な改革を行う中で、職場環境の改善にも着目。照明を替えて、快適で働きやすい雰囲気づくりを目指している。
※下記はジチタイワークスINFO.(2024年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]パナソニック株式会社エレクトリックワークス社
長時間労働の是正や、多様なニーズに対応した制度の導入など、各自治体で働き方改革が進んでいる。同県ではメンタルヘルスの不調による休職や、若手職員の離職が多い状況を改善しようと、心身の健康維持を主とした改革を強化中だ。「公務においても職員の健康第一を徹底できるか。これをやり切る必要があると考えました」と、副知事の湯山さんは語る。
「人口が減り、採用が簡単ではなくなった今、働きやすい環境づくりは大事です。一般的に官公庁というと、上意下達や縦割り組織などの堅いイメージをもたれやすいと思います。実際に当県も、日々の難しい仕事に追われ、新しいことに挑戦できるような雰囲気はつくりづらい状態でした」。
同県の働き方改革に関連する取り組みは多数だ。定時になると全職員のパソコンが強制終了するシステムの活用や、心身の不調による休職者がスムーズに業務に戻るための職場復帰支援プログラムなどがある。「限られた時間の中で効率よく仕事をするには、快適な職場環境をつくる必要があります。
また、近年は官民連携の事業が増え、自治体にも時代の変化に応じたクリエイティブな仕事が求められる側面も。官公庁を含めた日本のオフィスは、無機質な照明が空間全体を均一に照らす形が一般的でしょう。職場の雰囲気が働き手に与える影響は少なからずあると感じ、内部を改装して照明を替えることにしたのです」。様々な策を講じる中で、“働く時間の充実”にも目を向けたという。
導入したのは「パナソニック」が手がける、「メリハリ照明」。令和5年3月以降、庁内の一部の執務室とオープンスペースの照明を先駆けて一新した。広範囲を明るくするライン照明や、机上のみを照らすスポット照明など、複数種類を組み合わせて照度を調整。集中しやすい場所やリラックスして話し合いができる場所など、名前の通りメリハリのある空間をつくる。
ダクトレール対応機種なら、机の配置などに合わせ照明の場所も自由に調整が可能だ。「どんな職場を目指すのかを共有し、スムーズに進めることができました。思っていた雰囲気の空間になったと感じますし、現場の職員や来庁者にも好評です」。
所属課を問わず様々な職員が業務やミーティングなどに使うという地下のオープンスペースには、快適な環境をつくるための工夫が盛り込まれている。明るさにメリハリを付けるだけでなく、音楽とともにプロジェクターで壁に自然の景観を映し出す装置も導入。地下では自然光が入らないため、少しでも外の空気に触れている気分になれるようにと、デザインされているそうだ。

湯山さんは総務部長だった令和3年当時から、職場環境の改善に力を入れている。「新しいことをしたというよりも、“職場環境”という潜在的な課題を表に出して、取り組んだ事例だと思います。何かを変えるときは多少の障壁が生じるものですが、中途半端にではなく一気に進めることがポイントです」。
一連の動きは庁内での合意はもちろん、議会などを通して住民に説明し、条例や計画にも反映されている。目的や理由をしっかりと共有することで合意形成が円滑になり、複数の施策をスピーディに進められているようだ。
「働き方改革の中で、オフィス環境に投資しようという発想にはなりにくいかもしれません。しかし、職員の健康と職場環境が整わなければ、サービスの質も向上しないでしょう。職員の先にいる住民のことを考えて、そのためにどう働くのか、という点を改善しつづけていきます」。健康第一の徹底で、よりよい行政への好循環を目指す改革は、他自治体の参考になるのではないだろうか。
奈良県 副知事
湯山 壮一郎(ゆやま しょういちろう)さん
楽しいアイデアが明るい環境をつくり出す。
開放感があり、風通しのいい雰囲気に。明るさが必要な部分だけを集中して照らすため、節電にもつながる。

ダウンライト型プロジェクター「バイオシャドー」。木漏れ日や水面などを映し出す。
サービス提供元パナソニック株式会社エレクトリックワークス社

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