【セミナーレポート】『AI議事録システム』を活用した業務効率化セミナー ~誰にでもすぐに取り組めるDX推進で業務時間の大幅削減へ~
自治体業務の様々な場面で、ICTシステム導入によるDXが進んでいます。これまでは手作業で行われていた議事録作成においても、「AI音声文字起こしツール」導入によって業務を大幅効率化し、議会・庁内の会議などの情報資産を迅速かつ確実に保存・管理しようとの動きが盛んになりつつあります。
そこで今回は、革新的な技術でコミュニケーション関連のソリューションを提供している時空テクノロジーズ代表の橋本氏、同ソリューション導入により議事録作成のDXを実現した、塩尻市の小澤氏、横山氏、館山市の登倉氏に、『ログミーツ』を活用した業務効率化事例について報告してもらいます。
概要
◼タイトル:『AI議事録システム』を活用した業務効率化セミナー ~誰にでもすぐに取り組めるDX推進で業務時間の大幅削減へ~
◼実施日:2021年11月25日(木)
◼参加対象:自治体職員
◼参加者数:152人
◼プログラム
(Program1)
AI音声文字起こしがもたらす会議の生産性革命とメモからの解放
(Program2)
導入自治体の事例紹介(塩尻市・館山市)
(Program3)
塩尻市×館山市×時空テクノロジーズによるトークセッション
AI音声文字起こしがもたらす会議の生産性革命とメモからの解放
1時間の会議で話される情報量は、約2万文字にもおよぶ。その情報を必死にメモしたり会議音源から文字起こししたりする作業は、時間の損失以外の何ものでもない。とは言え、文字にしなければ情報資産の消失につながる。会議や記録など、全ての対話シーンのあり方を変えるだけでなく、組織がDXの概念に慣れる“入口”にもなる「AI議事録システム」について、時空テクノロジーズの橋本 善久 氏が解説する。
<講師>
株式会社時空テクノロジーズ
代表取締役CEO
橋本 善久 氏
プロフィール
東京大学工学部卒。セガでゲームディレクターや技術ディレクター、スクウェア・エニックスにてCTOを務め、家庭用ゲームやゲームエンジンを数多く開発。2014年に独立、ライブエンタメやVR/ARソフトなどを手がけ、ログミーツのサービス設計・マーケティング・顧客支援も推進する。ライフイズテック取締役を兼務。
膨大な情報量の文字起こし作業を大幅効率化
1時間の会議で話される情報量は、文字数にすると約2万文字、早口だと約2万4,000文字で、2~3人で話すと2万8,000文字くらいに達します。原稿用紙にすると約60枚分ですから、1分間に原稿用紙1枚分の文字が、情報として発生していることになります。特に自治体業務では、情報を記録に残したり公開したりする必要があるため、膨大な情報量を文字にする業務負担に悩んでおられる方も多いと思います。これを解決するソリューションとして提案しているのが、「ログミーツ」です。ログミーツは、録音する「レコーダー」と編集する「エディタ」の機能があり、レコーダーは「モバイル版」と「Windows版」の2種類があります。まずは、モバイル版から、詳しくご紹介します。
デバイスには電源とメインとサブの3つのみボタンが付いており、メインボタンを押すとレコーディングを開始します。このデバイスにはSIMカードが入っており、ドコモの携帯電話回線経由で常時音声がサーバーにアップロードされています。メインを再度押せば録音終了なので、誰でも簡単に使用しやすいです。自治体の場合、LGWANの環境下で仕事をしているケースが多いと思いますが、ログミーツは携帯電話回線を通じて、LGWAN回線を迂回してデータをアップロードできます。
現場にいない職員でも同時進行で編集可能
文字起こしの精度を左右するのは、「AIの品質」と「録音の品質」です。両方の品質が良好でないと、文字起こしがうまくいきません。特に、録音品質が重要です。ログミーツは上部にマイクのジャックを差す穴が3つあります。5~6人の会議であれば、ここに市販の小型マイクを1つ付けて録音するだけで、十分に文字起こしをしてくれます。10〜12人くらいの場合は、私たちが推奨しているケーブル付き卓上マイクがあります。これに接続してログミーツから離れた席にも卓上マイクを置けば、うまく録音できます。さらに足りない場合は、ケーブル付きの卓上マイクをもう1つ追加できます。
次に、Windows版を紹介します。特徴は、WindowsOSの音を全て拾えることです。さらに複数の機能があることです。いくつかご紹介をさせていただきます。まずはメモが残せる「メモ機能」があり、、会議中に重要なキーワードなどがあれば、入力することができます。また「ブックマーク機能」もあり、重要な発言にはブックマークを付けることで、会議後の振り返りが行いやすくなります。
その他、写真などの画像をドロップ&ドラッグすることも可能で、時刻も記録・保存されるので、会議中に図表等を用いた場合、どのタイミングでどんな画像を表示したか…といった記録も同時に行うことができます。それ以外にもホワイトボードを撮影して保存したり、Zoomで会議中の画面のスクリーンショットを保存したり応用的に活用することも可能です。
追加して「エディタ機能」は、保存した会議等の情報を編集したり検索したり、聞く・読む・共有するための機能です。これらの機能は、ログミーツのIDとパスワードでログインするだけで簡単に使えるようになります。
テキストだけでなく音声や画像も一元管理
議事録等を文字起こしできるのは当たり前で、音声や画像等も同時に残し、それらをすべて一元的に管理できる。これが、ログミーツの強みです。もちろん、会議音声の再生も可能で、再生速度の調整や早送り・スキップ、巻き戻しもできるので、文字起こしされたテキストの修正作業も簡単です。
会議の場に参加していない職員がログインし、音声を聞きながら同時編集するなど、アイデア次第で様々な運用方法が考えられると思います。もう1つ、重要な基本機能として紹介したいのが、ダウンロードしたテキストをWord文書などのデータにすることが可能で、その際は画像も一緒に添付することが可能です。
以上のように、ログミーツ活用によって、議事録作成の業務負担を大幅に低減することが可能です。現在、長野県との実証実験を実施中であり、20箇所近くの自治体に、ログミーツを活用したDX推進の生産性・改善がどのくらいになるか、検証してもらっています。使用後のアンケートを見ると、使い慣れていない職員でも39.3%の時間削減が確認できたとのこと。手作業で書き起こす場合、4~5時間かかっていたものが、ログミーツならば会議終了時点で、文字起こし作業が完了しています。
専門業者に文字起こしを外注すると、1時間あたり2万円弱の費用がかかるのが一般的ですが、ログミーツだと数百円ほどですので、経費も圧縮できます。他にも、部課署内の小さな会議の報告書や、自分用の記録を残すような場合も、ログミーツで録音しながら、簡単なキーワードのメモを残せば、振り返りや検索が簡単です。
現在、多くの企業や自治体に導入してもらっており、トライアルにて使用後、8~9割はご契約をいただいています。なお、本システムはセキュリティに関しても、プライバシーマーク、ISMS、クラウドセキュリティ認定などを取得していますので、安心して利用できます。
導入自治体の事例紹介(塩尻市・館山市)
市長定例記者会見のテキスト化や、議会委員会の会議内容のまとめなどに、「AI議事録システム」を活用中の塩尻市。一方、館山市では、外部の人たちが参加する会議や委員会、会計監査など、発言内容が特に重要な場において同システムを活用し、会議録作成の省力化を実現している。それぞれの自治体の導入・活用の事例を紹介してもらう。
<講師>
塩尻市 CDO(兼)企画政策部参事
小澤 光興 氏
塩尻市役所
企画政策部デジタル戦略課 DX推進係長
横山 朝征 氏
館山市 総合政策部情報課
デジタル化推進室 主事
登倉 佑策 氏
「誰からも喜ばれるスマート都市」を目指して
今年5月、本市では「塩尻市デジタルトランスフォーメンション戦略」を策定しました。地域情報課は、これまでも積極的にICT化に取り組んでおり、例えば平成8年、全国で初めての市営プロバイダサービス「塩尻インターネットサービス」を提供開始。最近では、オンデマンド交通や自動運転などの実証実験を公道で実施しています。
「誰からも喜ばれるスマート田園都市しおじりを目指して」とのDX基本理念のもと、市民に求められるような自治体を目指しています。特徴として、下の表のように「行政DX」と「地域DX」の2本柱で戦略を進めています。CDOの小澤氏を中心に、迅速な意志決定が可能なDX推進体制で、大学・研究機関や民間パートナーなど、本市に関わってくれる企業や住民とともに、DXを進めようという戦略です。
議会委員会や市長の定例会見で大活躍
ログミーツは、主に3種の使用途で活用しています。1つ目は「議会委員会」。以前は委員会の質疑応答をまとめるために、各担当課に書記役がいましたが、ログミーツ導入後は文字起こししたテキストを全庁で共有し、議事録や質疑応答記録としてまとめています。ログミーツに直接関わるのは議会事務局ですが、情報共有することによって全庁の職員にメリットがあるわけです。
議会室は議員一人一人にマイクがあり、音響設備も整っているため、精度の高い文字起こしができています。また、部会等の小さい会議でも、すぐに協議内容を確認したいというニーズに対応できています。
2つ目は「市長定例記者会見」。定例記者会見では担当者が、市長と記者との質疑応答を記録・共有したいと思っていましたが、マンパワー不足で実現できませんでした。しかし、ログミーツ活用により全庁的な共有が可能になったのです。市長の談話は少々聞き取りづらかったため、正確な文字起こしのためにマイクの位置を工夫するなど試行錯誤を重ね、実用精度まで上げることができました。
3つ目は「ポータブルアンプとの組み合わせ」です。会議室には音響設備があるのが前提でしたが、音響設備が無い部屋での会議を正確に文字起こしするため、ポータブルアンプを導入。ログミーツに対応したポータブルアンプを接続させて利用しています。
20〜30人規模の会議は、役所ではよくあることと思います。これまではICレコーダーで録音し、それを職員が聞きながら何時間もかけて文字起こししていましたが、ログミーツ導入により高性能な文字起こしが可能になりました。指命されて発言する「進行型会議」との相性が非常に良いことが判り、担当課の職員に感想を尋ねたところ、「これはみんなで使うべきだ、削減できた作業時間は半分どころではない」と、喜びの声を聞くことができました。
館山市ではオンライン教養講座の文字起こしにも
館山市は昨年度開催した幹部職員会議で、「ICT化の推進」を議題に取り上げました。少ない職員でも、住民サービスが確実に遂行できる体制を整えることが目標です。昨年9月に開催されたIT展示会で「ログミーツ」を知り、事前トライアルが決まりました。トライアルでは5人ほどが参加する会議や外部事業者との工事の打ち合わせ、庁内の出納状況の定期監査などで活用し、各部署に効果を実感してもらいました。その結果、庁内全体でログミーツの話題が全庁的に広まり、複数部署から本利用に向けた問い合わせが入る様になりました。
ただ、出席者の人数に対しマイクなどの集音機材能力が不足しているという問題が浮上。音声をクリアに拾うことが難しく、文字起こしの精度も落ちてきました。そこで時空テクノロジーズ社に相談したところ、卓上ワイヤレスマイクを紹介してもらい、ログミーツとの同時導入が決まりました。当市の場合、各コントローラーの脇とマイクの下の方、ログミーツを接続するライン入力のジャックのそばにもテープラベルを貼り付け、対応が分かるようにしています。
各部署での初回利用時には、私ども職員が設定のデモンストレーションをしましたが、以降は機材のみの貸し出し、後は使用部署に任せている状況です。マイクシステム本体とそれぞれのマイクの接続がワイヤレスで行えること、充電式なので機材を展開しても配線がほとんどなく、スッキリしている点もありがたいと思います。
市議会や協議会のような、やや規模が大きくフォーマルな会議でも、マイクシステムを稼働して自動文字起こしができるようになりました。それでは、2時間の議事録の文字起こしに10時間以上かかっていたものが、ログミーツ導入により半分~1/3程度の時間に短縮。その分の時間を業務や住民サービスに使えるようになり、人的資源の最適化、業務の効率化、サービスの向上が図られると期待しています。
本利用から半年ほど、音響機器の増築からは2カ月足らずですが、コロナ禍以前から行っていた教養講座をオンラインで同時開催し、文字起こしもやってみようと計画しているところです。年明け以降の実現に向け、準備を進めています。
塩尻市×館山市×時空テクノロジーズによるトークセッション
議事録システム「ログミーツ」の開発元である時空テクノロジーズ社の橋本さんと、実際にシステムを導入・活用している塩尻市の小澤さん、横山さん、館山市の登倉さんによるトークセッション。セミナー参加者の質疑にも回答しながら、「導入の決め手」「使い方事例や機能」について語ってもらう。
スモールスタートが可能で費用対効果も出しやすい
橋本:導入に至った決め手や費用対効果については、いかがでしょうか。
小澤:導入のきっかけはやはり、文字起こしの時間が実際の会議よりはるかに長いという課題を抱えていたことです。議会事務局で他社の文字起こしツールを複数使ってみましたが、なかなか“コレだ!”というものには出会えませんでした。ログミーツは全くコンセプトが違い、横展開が容易で本体だけでも問題解決できるなど、色々な要素の中で導入を決めました。
登倉:ログミーツを知ったIT展示会では、他社の議事録システムも展示されていましたが、高額なライセンス料が必要だったり1ユーザーごとに課金されたりと、財政的負担が大きかった。ログミーツは、スモールスタートでの導入が見込める点が導入の決め手になりました。
橋本:ありがとうございます。月額1万円からスタートできて、使用時間ごとの段階制プランで提供しております。端末は1台2万9800円の買い取りですが、現在、リースプランの準備も進めています。ウィンドウズのアプリケーションは、無料で何台でもインストールし放題です。モバイル端末のSIMカードについては、定額と時間超過に含まれます。出荷時にセッティングが終わっていますので、簡単に使い始めることができます。
アフターサービス体制も魅力の1つ
橋本:セミナー参加者から「何時間くらい利用するケースが多いですか」との質問をいただいています。契約いただいた自治体を例に挙げると、県庁規模で200~500時間、市役所の場合は100~200時間が多いです。町規模なら100時間、村だと20~50時間が多いようです。「組織の規模に比例する」ということですね。ログミーツはモバイル端末があり、これで対面会議をカバーしやすいことと、モバイル端末からマイクを拡張しやすいので、録音品質を保ちやすいこと、さらにウィンドウズのアプリもあることが大きな特徴です。対面でもオンラインでも、しっかり文字起こしできます。
登倉:私たちからは、5秒送りや10秒送りの機能が欲しいとリクエストし、後日対応してもらいました。サポート体制がしっかりしているのはありがたいことです。ログインすると「アップデートがあります」と頻繁に表示されていて、「また何か変わったな」と、ワクワクします。
横山:そうですね、どんどん更新されていることが実感できます。端末はとにかくシンプルで、ボタンを押せばスタートできます。一番大事だと思うのが、話した内容が端末画面にすぐに表示されることです。説得力があり、他の職員に紹介した際もすぐ納得してもらえました。金額についても、係長である私の権限で進められそうな設定でした。
橋本:はい、スタートしやすい価格設定にしており、費用対効果も感じられると思います。文字起こしの表示窓は、私たちも重要と考えており、プレビューとして確認でき、楽しそうに見える演出効果を工夫しました。
「やれる金額」から成功事例を増やしていく
橋本:「庁内で普及させるために気を付けていることは」という質問が来ていますが、いかがでしょうか。
登倉:システムそのものが複雑だと、最初に使い始める部署の職員が、他職員に説明できるように理解するまでに時間がかかってしまいます。ログミーツの使用法は簡単で、私たちの負担が少ない上に現場もすんなり導入できるので、庁内全部に浸透させやすいと思います。
小澤:私たちは導入後、庁外にも広く展開したいと思いましたので、長野県庁へ紹介しました。県庁で一部使ってもらったところ、非常に好評で、他の自治体にも紹介せねば…という運びになりました。折しも長野県ではDXの推進協議会を設置していたので、県庁からそこに紹介してもらい、20ほどの団体で使ってもらっています。
横山:庁内の展開については、各課のニーズをどれだけ掘り起こせるかが重要です。先ほど紹介した3つの事例については、「ジチタイワークスのチラシを見て、来月会議があるので使えるだろうか」との問い合わせが向こうから入ってきました。今後、成功体験をもっと庁内に広めていきたいです。
橋本:「他社製品で検討したが、高額で予算確保が難しかった」との質問が来ましたが、他の自治体向けにアドバイスはありますか。
横山:ログミーツは複数の料金体系から選べるので、まず、やれる金額で試してみてはいかがでしょうか。スモールスタートでやってみて、実績ができると広がりやすく、どんどん使う部署が出てきたら予算を増やす展開がスムーズだと思います。
橋本:「モバイル端末とウィンドウズ版との同時利用は可能ですか」との質問が来ていますので、これは私がお答えします。次の図のように、1つのIDに対して複数の端末やアプリを同時利用することが可能です。IDを分けて2つのID(メールアドレス)で、例えば1人はアプリ1つと端末1つ、もう1人はアプリ2つと端末3つ…などの使い方もできますし、もっと多くのIDを使って繋ぎ方も自由に変更できます。
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