脳と体の健康維持アプリを活用した高齢者支援の実証実験をスタートさせた八王子市。導入の背景には、限られたリソースで全ての高齢者の健康を守る難しさがあった。この課題を改善するというアプリについて、担当者から話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.17(2021年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社べスプラ
既存制度の限界を迎えた今、ICTの活用で現状打破する。
平成27年に東京都初の中核市となった八王子市。都市として発展を続ける一方、高齢者の占める割合が人口の約27%(令和3年10月時点)に達するなど、全国の例に漏れず少子高齢化が進んでいる。その中で同市は、高齢者支援の取り組みとして、「ベスプラ」が提供するアプリを活用した実証実験をスタートさせた。
取り組みの原点は、平成20年度より実施していた「高齢者ボランティア・ポイント制度」にある。この制度は、ボランティア活動に参加した高齢者にポイントを付与し、市内で使える商品券などに交換する仕組み。社会活動への参加を促し、心身を活性化させ、介護予防へとつなげることが目的だ。
しかし運用面がデジタル化されておらず、煩雑な作業が職員の負担になっていたという。また、利用する高齢者の数に比例してポイント原資がかさむことが対象者拡大のネックになっていた。同市の辻さんは「私たちのミッションは、15万人の高齢者の健康を守ることですが、このままでは規模拡大や制度維持に限界がありました」と語る。
脳科学にもとづいたアプリで認知症・介護予防をサポート。
持続可能な制度にする方法を模索する中で出合ったのが、同社開発の「脳にいいアプリ」だ。きっかけは、関東経済産業局主催の「ガバメントピッチ」。自治体が抱える医療や介護などの課題を、ヘルスケアベンチャー向けに発表するこのイベントに同市が登壇。複数の企業から解決策の提案を受けた中の1つだった。「導入の決め手になったのは、アプリが信頼できる成果を上げていて、かつ私たちが目指している取り組みにマッチしたことです」。同アプリは、これまで人の手に頼っていたポイント管理・付与業務を、アプリ内の仕組みで自動化できるため、大幅な業務の効率化につながる。
また、従来のボランティア活動への参加に加え、目標歩数の達成、健康的な食事の記録、脳トレゲームなどでもポイントをためることが可能。これは“運動・食事・脳刺激・ストレス緩和・社会参加”といった認知症予防に効果的とされる行動を促すことにもつながるという。アプリ改修にかかる費用も同社負担のため、導入による追加コストがかからないのも大きなメリットだ。「脳トレや歩数計など単体の機能を持つアプリはほかにもありますが、幅広い分野にアプローチできることやコスト面が魅力的でした」。
アプリ利用に向けた住民説明会を実施すると、想定以上に登録希望者が集まった。説明会参加者からは“面白いから知人にも紹介したい”という声も上がり、これまで関心のなかった層への展開も期待できそうだ。
発展可能な支援制度に向け実証実験で見据える未来。
これを機に同市では、制度そのものも発展させ、高齢者が自ら健康を守る習慣づくりを目指すという。アプリを提供する同社も「高齢者の健康維持についてはどの自治体も課題があります。このアプリを通して自治体にコストをかけない仕組みを提供することで、多くの人の役に立てると考えています」と意気込む。
まずは、実証実験1年目のうちに将来に向けた運用面の課題や改善の余地を探ることが目標。また、今後ポイント原資については、広告収入や協力企業との連携を通して、運用経費を必要としないモデルを構築する予定だという。「対象者数とコストが比例しないこの高齢者支援モデルは、様々な分野に展開できるはずです。まずは、利用者の健康をトータルでサポートするアプリとして発展させていきたいですね」と期待を寄せる。官民協働での新たな支援の仕組みづくりに、今後も注目したい。
八王子市でのアプリ×ポイント制度概要
アプリで既存制度をバージョンアップ
●アプリ導入で担当職員の手作業が減り、業務負担の軽減に!
●ポイントがためられる活動の幅が広がり、これまで無関心だった層にも展開が可能に!
八王子市
福祉部 高齢者いきいき課 主査
辻 誠一郎(つじ せいいちろう)さん
科学的アプローチにより開発された脳と体の健康維持アプリで高齢者支援。
アプリ導入のメリット
1.自治体のコストが軽減される
アプリ運用にかかるコストは発生せず、利用者の増減に左右されない支援モデルを構築可能。少子高齢化が進む中でも、継続的に利用でき、既存の支援施策とも併用しやすい。
2.データの分析で効果が定量的に分かる
アプリ登録者の利用状況データを活用し、健康情報や活動量の変化、認知機能テストの点数などを運営側で分析。これにより、健康維持や認知症・介護予防の効果を定量的に測定できる。デジタルデータのため、収集が容易で、導入成果の判断にも役立つ。
3.操作は簡単!高齢者も楽しく参加できる
AI搭載のため、普段の活動を学習し個々に最適なメニューを提案。楽しみながら無理なくポイントがためられるような工夫がされている。また、高齢者でも簡単に操作できる設計で続けやすい。
“脳にいいアプリ”の強み
脳科学的な視点から認知症・介護予防にアプローチ
認知症研究における世界的権威のカロリンスカ研究所が実施した研究※をベースに、アプリを開発。認知機能検査の点数などで効果測定を行っており、科学的エビデンスにもとづいてサービスが提供されている。
※食事指導・運動指導・認知トレーニング・生活スタイル指導などを組み合わせることが、軽度の認知機能障害進行の抑制に有効であることを世界で初めて証明した研究
アプリユーザー数は全国10万人以上
現在、一般向けにリリースされている脳にいいアプリのユーザー数は約10万人以上(ベスプラ社調べ)。蓄積された利用者データがすでにあるため、運用に対する知見が豊富。
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