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【後編】つみたてNISAやiDeCoは後回し!公務員が最優先で取り組むべきお金のハナシ

「将来のために資金づくりをしたいけど、何から手を付けていいのかわからない…」「資産運用したいけど、投資はちょっと怖い」…

元公務員で、現在は公務員専門のファイナンシャルプランナーとして活躍している岩崎大さんに、気になる「公務員のお金」について本企画。

今回は、気になる人も多いであろう「資産運用」について執筆いただいた。

「資産運用はシンプルで妥当な判断にも思えるが、問題もひそんでいると考えます」と岩崎さん。どういうことだろうか?前後編に分けてお届けする。

※この記事は前後編の後編です。前編はコチラ

忘れてはいけない資産運用の「リスク」

「リスク」と聞いて、どんなことが思い浮かびますか。なんとなく「危ない」「怖い」など、避けるべきもの、みたいなイメージかもしれませんね。

資産運用におけるリスクとは、「結果が不確実であること」です。資産運用をすると、お金が増えるかもしれないし、逆に減るかもしれない。この「かもしれない」がリスクです。

また、リスクって「大きい」、「小さい」ともいいますね。リスクが大きいということは、不確実な結果の振れ幅が大きい、ということです。カンタンな例で考えてみましょう。

今、100万円投資したとします。1年後に50万円に減るかもしれない、もしくは150万円に増えるかもしれない。この場合、減ったり増えたりの「振れ幅」が大きいですよね。100万円投資した結果が50万円か150万円なので、リスクが大きい投資と言えます。

一方、100万円投資した結果が、99万円か101万円だった場合はどうでしょう。さっきの例と比べると減ったり増えたりの「振れ幅」が小さいので、リスクが小さい投資と言えます。

リスクが大きい投資でも平気な人もいれば、リスクが小さい投資ですら不安で仕方ない…という人もいます。どれくらいのリスクに耐えられるかを「リスク許容度」といいます。

自己のリスク許容度を超えた資産運用は、生活の質の低下を招いたり、コンプライアンス違反につながるおそれがあったりします。例えば、「値動きが気になって安眠できない」「勤務中にアプリで株価を逐一チェックしてしまう」などです。未来のために行うはずの資産運用で、現在の生活が脅かされるような事態は避けたいところですね。

また、リスクの振れ幅は通常かたよりません。100万円投資して、減っても99万円だけど、増えたら200万円だよ、のような「おいしい投資」は無いと思っておきましょう。不安をあおって「おいしい投資」にハメ込むのは詐欺の常套手段なので気をつけてくださいね。

資産運用を行うということは、今使えるお金を消費せずに、未来に賭ける行為です。あえてネガティブな表現をすれば「未来のために今を犠牲にする行為」とも言えます。

未来も大切ですが、今はもっともっと大切です。今が破綻していたら、そもそも未来なんて訪れませんよね。今の収支に問題があれば、資産運用なんてしている場合ではありません。目の前の収支改善が緊急課題になってきます。
 

資産運用を検討するのは最後の最後でいい

第1回の記事でも触れましたが、公務員の給与は民間企業の給与水準に均衡させること(民間準拠)が基本です。平均的な暮らしは実現できるように給与設計されています。

なので、貯金がほとんど増えない…という場合は、どこかにお金を使いすぎているかもしれません。そんな状態で資産運用を始めるのは、やめておきましょう。

まずは落ち着いてライフプランをしっかりつくり、現在の家計に問題はないか、課題の把握に努めましょう。問題があれば解消するにはどうしたらいいか考え・実行する。このような改善ステップを積み重ね、資産運用へ進んでいく、これが結局資産づくりの最短ルートです。

ライフプランを立ててみて、「貯蓄のみでも問題が無さそうだし、まずは堅実に貯蓄を積み上げていこう」というのも1つの戦略ですし、「もっとリスクは取れるかもしれないけど、自分の性格上これくらいにとどめておこう」というのも立派な投資戦略になります。

このような意思決定のプロセスを経て、余裕資金の範囲内で資産運用を行えば、たとえ運用がうまくいかなくても、生活の破綻は避けられますよね。

こういった考え方の土台・幹の部分をガッチリつくっておかないと、「iDeCoは始めないと損らしい」「米国株インデックスが良いって聞いたよ」「高配当株もオススメみたい」「これからは仮想通貨だ」といった、枝葉の情報に翻弄されてしまう危険性が高まります。

なぜなら、そういった情報のほうがセンセーショナルで目につきやすく、情報発信者側としても好都合だからです。インターネットやSNSを舞台に、資産運用についての刺激的な情報は、今、この瞬間も縦横無尽に飛び交い、拡散され続けています。

枝葉末節の情報に惑わされず、しっかりライフプランニングを行い、自分なりの投資戦略(運用する・しないも含めて)を組み立てていきましょう。

まとめ

それでは、今回の内容のまとめです。

・2,000万円問題は気にせず、自分の数字を考えよう。

・不安をあおった販売手法に気をつけよう。

・資産運用は最後でいい。収支把握やライフプラン作成を優先しよう。

 

「資産運用の前にライフプランをつくろう」と繰り返しお伝えしましたが、あくまで計画は計画。当然、未来は何が起こるか分かりません。プランどおりに進む人生も味気ないですよね。だからこそ人生は面白く、ままならないのだと思います。

ですが、「じゃあライフプランなんて不要なんだね」というのは違います。第34代アメリカ合衆国大統領のドワイト・D・アイゼンハワーという方が、「計画それ自体に価値は無いが、計画づくりは不可欠である」という言葉を残しています。

ライフプランに置き換えると、作成したライフプランそのものよりも、作成過程=ライフプランニングに大きな意義があるということです。

ライフプランニングを通して、漫然と暮らしていたら意識することも無かったお金の流れを冷静に把握し、主体的にお金をコントロールするためのスキルを身につけることができます。

お金について考えることは、人生について考えること、幸せや不幸について考えることと同義です。その意味で、ライフプランニングは自己の価値観を磨く重要な取り組みだと言えます。

今回お伝えしたような考え方を、公務員時代の僕は学んでいませんでした。すぐに成果が出るといううたい文句の投資手法に手を出して、失敗したこともあります。

「失敗は成功の母」ともいいますが、リカバリーできる程度の失敗に限ります。適切なマネーリテラシーを身につけることで、致命的な失敗は避けることができるはずです。

現役の自治体職員のみなさんにとって、今回の記事が資産運用を考える際のヒントになればうれしいです。


岩崎 大(いわさき・だい)

公務員専門FP事務所代表。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP®。

1984年生まれ。熊本県出身。自治体職員として、生活保護・地域おこし・防災・選管・児童福祉などの業務に携わる。在職中にFP資格を取得し、2017年に退職・独立。公務員世帯に特化した独立系FP事務所を運営中。

ブログやメルマガ、YouTubeなど各種メディアで「公務員にとって本当に役立つお金の知識や情報」を発信中。YouTubeチャンネル「公務員専門FP」はチャンネル登録者7,000名(2021年10月時点)。
 

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