ジチタイワークス

富山県

富山県議会だより「TOYAMAジャーナル」

“まちを彩る”PR誌をピックアップ。魅力を取材し研究発表していきます。

※下記はジチタイワークスVol.16(2021年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]富山県議会事務局

若い世代向けのテーマ設定やデザインで議会をより身近に感じられる広報紙づくり。

平成28年、選挙権年齢が18歳に引き下げられたのをきっかけに、若者が“政治を自分事”として捉え、政治参加意識を育む”主権者教育”に注目が集まった。しかし、残念ながら、今もなお若年層の投票率は低迷を続けている。このような状況に危機感を抱いた富山県議会は、議会改革推進会議を発足。政治への興味を持ってもらうための一環として、議会活動の周知のあり方を議論した。「様々な案を検討した結果、これまで発行していなかった議会広報紙の発刊が決まりました」と林さん。早速、議員10名を中心に構成された広報編集委員会を結成。編集方針を”高校生など若年層をターゲット”に定め、「TOYAMAジャーナル」の制作プロジェクトが始動した。

掲載内容については委員全員で検討し、編集はかつて出版社で編集に携わっていたことのある委員が主に担当。デザイン面は、その委員推薦のデザイナーの協力を得ながら、たたき台となる新聞型と雑誌型、2種類のプレ号(試行発行)を制作。インターネットや、はがきによる県民へのアンケート調査、グループインタビューなどを実施し、様々な意見を受け付けながら紙面の改善を議論していった。例えば「文字が小さい」といった意見に対しては、ページ数を増やし、文字を大きくするなどで改善したという。

令和3年6月、軽やかな印象のイラストを採用した16ページ構成の創刊号が完成。媒体の特性上、どうしても多くなりがちな文字量をデザインの工夫でカバーしたことで、県初の議会広報紙とは思えないほどのクオリティに仕上がったという。

政治を身近に感じてほしいと、議員自らが熱意を持って執筆。

創刊号の特集テーマは「SDGs」。編集委員の議員が、若年層と座談会を行った際、より関心が集まったテーマであったことから採用された。普段の生活に潜む課題を通じて、取り組みへの意識を促す構成となっている。また、県議会をもっと身近に感じてもらうために、“マンガ”を使って県議会の仕組みを紹介。初回は首長と議会議員を直接選挙で選ぶ「二元代表制」をテーマにしている。議会の核となる各議員の質問ページは、質問に立った議員34名自らが原稿を執筆し、その質疑にそれぞれの思いが込もったコメントも併せて掲載している。「掲載されている企画には、“暮らしと密接につながっている議会活動の中身をもっと知ってもらいたい”という各議員の思いがあります」。

また、配布方法にもこだわったという。他県では、議会広報紙を全戸に配布するケースが多いが、同県の場合、政治に興味を持ってもらいたい若年層を中心に展開。高校と公共施設に集中的に配布するとともに、インターネットを用いた広報活動も連動して実施された。発行後に実施したアンケート調査では「興味がない」「文字が多い」といった声もあったが、「各議会の大まかな意見を表にしたページがあれば、さらによかった!」「どの議員がどんな質問をしているかすぐ分かる」などポジティブな意見も見られた。中間報告では、106件の回答のうち7割以上が「役に立った」と高評価であったという。

「発行をきっかけに、県議会の取り組みを多角的にPRできましたし、政治に対するハードルを下げるねらいにも一定の手応えがありました。政治に無関心な人が多いからといって諦めてはいけないと、改めて実感しています」と語り、すでに来年度に発行予定の第2号の制作に意欲を見せる。

未来を創造する高校生に向け、自ら考えることの大切さを発信する広報紙づくり。政治への参加意識を育む”主権者教育”を浸透させる手法の1つとして、今後も注目を続けていきたい。


制作秘話 01

若年層からできるだけ多くの意見を収集するため、各種インターネット媒体を活用したプッシュ型広告の配信と併せて、アンケート調査を実施。

制作秘話 02

議員のこだわりが詰まったコーナー。二次元コードを読み取れば、一人ひとりの議員が質疑する議会の録画中継が見られ、議会や議員への関心が深まる仕組みに。

制作秘話 03

若者の目を引くように取り入れられたマンガコーナー。二元代表制をテーマに、可愛らしく親しみやすいイラストで制作。かみ砕いた内容を意識し、何度も校正し直したという。

TOYAMAジャーナル創刊号制作の流れ

1.発案・編集委員会の結成

議員10名を中心とした広報編集委員会を結成。議会活動を周知する一環として、初めての広報紙づくりに挑んだ。

2.プレ号の発行

新聞型と雑誌型の2種類を制作。アンケート調査やグループインタビューなどを行い、評判の良かった雑誌型に決定した。

3.創刊・配布

プレ号の改善点をもとに、創刊号を制作。読んでもらいたい若年層に届けるべく、高校や公共施設をメインに配布した。

4.ネット広告で広報

各種インターネット広告を活用し、広報紙を掲載した県議会のホームページをPR。 1 カ月間配信し、約2,330万回の表示回数のうち、約3万6,000回のページアクセスがあった。

5.アンケート調査

6月の発行以降、8月末までアンケート調査を実施。関心度や改善点といった情報を次号に活かすねらい。

 

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