インバウンド集客を狙う上で、最大のターゲットである中国。しかし各自治体が行っているプロモーションは本当に十分な効果を出せているのだろうか? 中国向けのプロモーションに特化したオーエスの取締役・高橋 由彦さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークス観光・インバウンド号Vol.2(2019年9月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社オーエス
生活インフラとして強い独自性を持つ中国のSNS事情
訪日旅行者数がトップを占める中国。日本での消費額もインバウンド全体の3分の1を占める。今や自治体でも中国向けのプロモーションは欠かせないが、その施策の多くが十分ではないと高橋さんは語る。原因は、中国独特の情報収集と拡散プロセス、つまりSNS環境だ。
中国で使われている主なSNSとして、Weibo(微博)、WeChat(微信)などが挙げられるが、中でもWeChatはユーザー数10億人、普及率も約9割(※)という圧倒的なシェアを誇る。人気の秘密はその利便性で、メッセージの交換や情報共有のほか、ビジネスユース、公共料金の支払い、ショッピングと多彩な用途を持ち、すでに中国の生活インフラと化しているからだ。
しかしほとんどの自治体はWeiboにもWeChatにも入り込めておらず、中国の人々にリーチできていない。Webサイトやパンフレットの作成も無駄ではないが、こと中国に関してはSNSを絡めたデジタルマーケティングが不可欠だと高橋さんは強調する。
結果を出すには“相手を知ること”から
また、こうした現地理解に加え、ツールの特性を知ることも重要だ。「Weiboは不特定多数に発信するオープンなSNSで、Facebookやtwitterに似ています。WeChatは繋がりあった人たちで情報交換するクローズなSNSで、LINEに近いものです。この特性を理解してはじめて、それぞれの持ち味を生かしたプロモーションが可能になります」。
さらに、インバウンド向けの戦略は長期的に行うのが成果に繋がる道だ。単発のプロモーションは瞬間的な効果が得られる反面持続せず、同じことを繰り返す結果に陥ってしまう。年間で何をどのように進めるかというプランを、予算と課題に合わせて設計し、継続していくことが必要とされる。
ツールのフル活用で10億人市場の囲い込みへ!
中国のSNSは、運用時においても独自性を生かすことができる。その代表的なものがKOL(=Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーによる情報拡散だ。口コミ情報を重要視する中国では、確固たる信頼と強い発信力を持つKOLを活用することで、情報伝達力は飛躍的に上がる。また、WeChatの「ミニプログラム」も利用価値が高い。これは簡潔に言うと「アプリの中にあるアプリ」で、WeChat上でホテルの予約やイベントのチケット購入が可能になる。ダウンロードの必要もない上、データを収集して傾向分析もできるという優れものだ。
人気SNSで露出を高めることが成果に繋がり、そこで獲得したフォロワーは以後の資産にもなる。こうしたSNSを使ったプロモーションは、旅行者の波に合わせて実施する必要があり、自治体にできることには限界がある。「結果を出すためには、豊富なノウハウとデータを持つプロへの委託がおすすめです。変化の激しい市場だからこそ、我々にできることも多くあります」と高橋さんは語ってくれた。
※出典:総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)より
オーエスが調査したWeiboに関するデータの例(47都道府県 Weiboフォロワー伸び率調査結果)。オーエスは豊富なデータをもとに中国・日本双方の視点で分析し、施策を打ち出す。
株式会社オーエス インバウンド事業部 取締役 高橋 由彦さん
(広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援に関する専門家派遣事業 中国市場専門家、一般社団法人日本地域広告会社協会(JLAA)観光マーケティング実務責任者)
中国SNSを知り尽くしたマーケティングで課題解決!
中国インバウンド向けプロモーションを専門とする株式会社オーエス。
日本流ロジックから脱却した現地目線のPR手法で、中国向けSNSにおいて多くのフォロワーと「いいね!」を増やし続けている。
中国SNS「Weibo(微博)」と「WeChat(微信)」の対照的な特徴
中国に向けた自治体プロモーション実績
○長崎県 中国SNSを活用した観光PR
長崎県の「平成30年度中国向けPR事業業務」を受託し、県内の観光スポットや体験型コンテンツ、グルメやご当地キャラなどをWeiboで拡散。中国人目線での「長崎フォトジェニックキャンペーン」も実施し、9カ月でフォロワー1万人増を達成した。
成果
●フォロワー数:193%達成 ●総閲覧数:241%達成
○東村山市 KOLによる情報発信
東村山市は、中国・蘇州市と友好交流都市でもあるため、同市出身で約500万人のフォロワーを持つKOLの林萍(リンピン)さんを起用。前日の予告投稿、菖蒲まつり会場からのライブ配信、イベント後の投稿と全3回の情報発信を行った。
WeChatミニプログラムが生む効果
普段と変わらない利便性で中国人の満足度が向上!
WeChat内で稼動するアプリ「ミニプログラム」は、自治体が投稿した情報の閲覧から、すぐに宿泊予約やチケット予約などの消費行動へ移ることができるツール。ユーザーにとっては高い利便性が魅力で、情報を提供する側にとってはユーザーの囲い込みがスピーディーに行えると同時に、マーケティングデータを収集できる貴重な場にもなる。
キャンペーン
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