地域で生まれた赤ちゃんに絵本と読み聞かせ体験を贈る事業は、すでに全国の自治体に広がっている。市販品の活用が一般的だが、さらに伊達市では、1冊ずつ内容が異なる「パーソナル知育絵本」の追加導入をスタート。その理由を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.15(2021年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]NTT印刷株式会社
好評の事業に加えて新しい取り組みに挑戦。
同市では以前から、子どもの想像力・表現力・語彙力の向上に、絵本の読み聞かせが大きく貢献することに注目。親子のコミュニケーションを増やすきっかけにもなることから、生後4カ月検診時に対象となる子どもに絵本をプレゼントする取り組みを行っていた。
0歳児への絵本プレゼントは例年配布率がほぼ100%で、保護者からも好評を得ている。そこで、成長が著しい幼児期に、行政として読み聞かせの機会をさらに創出するべく、追加事業を検討。ほかの自治体の導入事例もあったことから、令和3年度よりパーソナル知育絵本を活用する方針が決まった。
子どもの名で主人公が登場するオリジナル仕様の絵本を配布。
パーソナル知育絵本は、WEB注文の際のプロフィール入力により、主人公を子どもの名前にしたり、子ども本人の好きなものを登場させられる、“世界に1つだけ”の絵本だ。また、「NTTコミュニケーション科学基礎研究所」の研究データをもとに、“赤ちゃんが早く理解できる言葉”や“もうすぐ話せそうな言葉”が出てくるため、子どもが興味を持ちやすいという。
計画当初、絵本の配布は2回の予定で、1歳6カ月検診でパーソナル知育絵本を配布、3歳6カ月検診で市販の絵本を配布する予定だった。しかし、検討を重ねた結果、パーソナル知育絵本を1歳、2歳、3歳になる子どもを対象に合計3回プレゼントする方針に変更された。「それぞれの年齢に合わせたラインアップが用意されており、子どもの成長を考えたときに、この本なら、2歳での配布もあった方がいいのではという意見があり追加しました。子育てのツールとして、日常的に繰り返し使っていただきたいという思いがあります」と、同市の岡さん。
1~2歳対象「すきなもの」は注文時に好きなものを入力。2~4歳対象「なまええほん」は名前を使って文字に親しむ内容。
また、親が読んであげやすいことも、この絵本の魅力だという。いつものように子どもの名前を呼んで、子どもが返事をしながら物語が進んでいく。「読み聞かせというコミュニケーションの中で自分の名前や好きなものが出てきたら、子どもはその絵本に特別な興味を持つでしょう。また、子どものための世界に1つだけの絵本を通じて、親が読み聞かせに興味を持てることも導入の決め手でした」と、岡さんは語る。
伊達市のパーソナル知育絵本お渡し方法
自治体のメッセージも込めた愛情あふれる子育てツール。
同市から対象家庭に注文チケットを送付し、各家庭でWEBから注文をすると、できあがった絵本が自宅に届く。WEBで注文を管理するため、データ集計やアンケートの実施など、従来難しかった配布後の効果を数字で確認し、事業評価につなげることが可能なのも、この絵本にするメリットだという。
また、パーソナル知育絵本は自治体ごとのカスタマイズができる。同市では、最後のページにオリジナルのメッセージを入れて、自治体が事業に込めた思いも伝えている。
注文チケットを各家庭に送付する際には、市内の図書館や地域の図書室の案内などを同封する予定。図書館(室)に足を運んでもらうことで、親子が様々な本に親しむきっかけづくりにもしたいという。
「子どもの豊かな心の成長と、親の愛情が醸成されることを願っています」と板垣さん。子どもが大人になって絵本を読み返したときに、親だけでなく地域からも愛情を受け、大切に育てられてきたことを知るきっかけになるだろう。
伊達市 こども部 こども未来課
左:岡 景子(おか けいこ)さん
右:板垣 厚志(いたがき あつし)さん
子どもの名前を呼びながら物語が進む仕掛けの詰まったオリジナル絵本。
パーソナル知育絵本の魅力
一般的な絵本との違い
●保護者からのメッセージが入れられる
●事業としての効果を確認しやすい
●読み聞かせしやすい本のつくり
1.ほかにはない子どもが主役の絵本
注文時にパーソナルな内容を入れてつくるので、主人公の名前や性別を子ども本人にできる。後からでも誰にもらった絵本かが分かる。
2.親や自治体からの愛情が伝えられる
名前の由来やメッセージなど、オリジナルの情報を入れられるので記念になる。表紙などに自治体のキャラクターを入れることも可能。
3.読み聞かせしやすい本のつくり
子どもの名前を呼んだり、返事をしたり、コロナ禍で自治体主催の読み聞かせ会ができない状況でも、各家庭で活用しやすい。
4.満足度調査で事業評価につながる
WEBで注文する仕組みなので、データ集計のほか後日アンケートにより満足度調査や意見集めもしやすく、事業としての効果が測れる。
導入実績
北海道東神楽町、鷹栖町、新十津川町/福島県川俣町/長野県中野市/徳島県鳴門市/鹿児島県錦江町/沖縄県恩納村
もっと本に出会える仕掛けも
研究データをもとに開発された、子どもの興味と発達に合わせた絵本を検索できるシステム「ぴたりえ」も販売中。図書館での活用など、詳細は右記へお問い合わせください。
お問い合わせ
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