非認知能力(意欲や向上心など)を育むことは、子どもたちの将来や人生を豊かにし、自らが望むキャリアの実現をサポートするという。“自己肯定感の向上”を軸とした授業プログラムを提供する「道々楽者」の佐藤さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.15(2021年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社道々楽者
教育現場の経験で見えてきた自己肯定感を高める答えとは。
AIの進化やグローバル化など、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化している。未来の予測が困難な時代で生き抜くには、正解のない問いに答えを定め、主体的に行動する能力が必要となる。そこで注目を集めているのが“非認知能力”だ。
非認知能力とは、IQや学力テストでは数値化されない力で、意欲や向上心、粘り強さやコミュニケーション能力などを指す。この力を育むには、子どもたち自身で自己肯定感を高めることが必要だ。ところが各調査で浮き彫りになっているように、日本の子どもたちは諸外国と比較し、自己肯定感が低い傾向にある。プロの写真家として、高校の特別専門講師を務めてきた佐藤さんもその状況を痛感し、何が必要なのかを考え続けてきた。そして10年間現場に立つ中で見えてきたのが、“自分のことを深く理解すること”の重要性だという。
「卒業制作で自由課題を出すと、自分が何をつくりたいのか、そもそも何が好きなのかが分からないと悩む生徒が多い。自分のやりたいことに気づくには、まず自分はどういった人間なのか知ることが大切だと考えました」。そんな生徒とのやりとりで得た経験を活かして開発されたのが、授業プログラム「マイドキュメンタリー」である。
自分と向き合う授業「マイドキュメンタリー」
ワーク方式の授業を通じて客観的に自分を見つめる。
同プログラムの構成は、今・過去・未来の3ステップ。まず、自分の長所や個性を捉えて“今”の自分を肯定し、次に、何を頑張ってきたのか“過去”を掘り下げ、当時の気持ちを振り返る。それらを根拠に、やりたいことや挑戦したいことなど、“未来”を見い出し、自分エピソードをまとめていく。その際、同社が開発した卒業アルバム制作ツール「オリアル」も活用。自分で選択した写真が記憶のトリガー(引き金)となり、より深い振り返りを実現させるという。授業はゲーム感覚の10秒自己紹介から始まり、主にワーク形式で進め、最後に発表を行う。個人でのワークに加え、ペアやグループワークも取り入れているのが特徴だ。
「自分を主観的に見るだけでなく、人と話をしながら客観的に理解を深めていく過程が大切です。発表したことに対してまわりからいいねと言ってもらえたり、さらに良い発表になるためのアイデアをもらえたりすると、人とのつながりを実感し、認められているという達成感を得ることができます」。
自分を掘り下げる経験が社会に踏み出す一歩となる。
協力校で行われた実証実験の授業では、子どもたちが自分なりに考え、楽しむ様子が見受けられた。授業後のアンケートにも「自分に自信が持てるようになった」などの前向きな感想が記され、その理由として「友達がいいところを言ってくれたから」という点を挙げる子どもが多かったという。
「アンケートの回答にあるように、子どもたちが自分のことを堂々と話せるようになるのは、自己理解が進み、自分を受け止められた証。いわば社会に対して、一歩踏み出せたということだと思います」。さらに、先生からも「総合学習の時間などを使い、1年間かけて取り組む価値があると感じる」といった声が上がったという。
このプログラムの本格始動は、今年度から。令和2年度はコロナ禍による臨時休校で、授業時間が大幅に減ってしまった。「そんな中でも時間をつくり、実証実験に参加していただけたことから、意義のあるプログラムであることを実感しました」と佐藤さんは自信を見せる。すでに都内の公立小中一貫校でも導入が決定しており、「義務教育の最後にふさわしい」と期待を寄せてくれているという。
模索が続く日本のキャリア教育。課題も多い中で佐藤さんが目指すのは、「マイドキュメンタリーが、日本の子どもたちが人生で1回は経験するプログラムになること」だという。
道々楽者 代表取締役
佐藤 太志朗(さとう たいしろう)さん
“自己”を振り返り理解するプログラムがキャリア教育の一助に。
マイドキュメンタリーの流れ
1.個人ワーク
●これまでの学生生活を振り返る。
●今の自分にどうつながっているか考えて、エピソードを選択する。
2.ペア・グループワーク
●仲間とエピソードの共有と共感。
●エピソードについてペアやグループで意見交換を行う。
3.講義
●内容のまとめ方やオリアルの使い方を先生が説明する。
4.個人ワーク
●写真の選択とキャプションの作成。
5.グループワーク
●プレ発表と意見交換を行う。
●プレゼン前のブラッシュアップと発表準備をする。
6.発表
●プレゼンテーションを行う。
授業に参加した児童生徒・教師たちの声
※実証校での授業後アンケートより抜粋
【生徒の声】
■昔の自分を振り返ることで、「この時がんばってたな。じゃあ、これからもこうしよう」と感じ、将来に向かってがんばることができるようになった。
■みんなのいいところを前よりも知れた。
■あきらめないくせがつくようになった。自分の良いところを素直に言えるようになった。
【教師の声】
■10秒自己紹介もとても盛り上がり、楽しそうな反応だった。
■タイムスケジュールがあったことにより、時間配分が分かりやすく良かった。
■本校用にワークシートをつくっていただいたので、とてもやりやすかった。
授業内で使用する「オリアル」の特徴
パソコンやタブレットを使い、生徒一人ひとりがオリジナルのアルバムをつくれるシステム。WEB上で写真の選択や配置ができ、使いたい写真をアップロードして掲載することが可能。ブラウザシステムを使用するため、専用ソフトは不要。操作も簡単で、使いやすい。
マイドキュメンタリーを無料体験しませんか?
教育委員会からの問い合わせに限り、各学校への無料体験(4コマ/計4時間)をご案内しています。キャリア教育授業をさらに充実させるツールとして、ぜひご活用ください。詳細・お申し込みは、右記の二次元コードよりご確認いただけます。
※導入推奨課:教育指導課・教育推進課など/募集自治体数:先着10自治体を予定