【セミナーレポート】GIGAスクールとアフターGIGAのコミュニケーション
令和元年末、文部科学省が「GIGAスクール実現推進本部」を設置して以降、全国の自治体が「児童生徒1人1台コンピュータ」体制に向けた取り組みを進めました。ただ、インターネットを介してデジタル教材などを共用する体制に、セキュリティ上の不安を感じている現場も少なくはないようです。教育現場に特化したICT利活用システムを提供中のHENNGEの専門家たちに、校内・外での安全なICT活用手法について語ってもらいました。
当日の内容を概要版でお伝えします。参加できなかった方は、次回のセミナー開催にご期待ください。
概要
◼タイトル:GIGAスクールとアフターGIGAのコミュニケーション
◼実施日:5月19日(水)
◼参加対象:自治体職員
◼登録者数:34人
◼プログラム
Program1:人が繋がるGIGA時代のセキュリティ
Program2:アフターGIGA 学校と保護者のオンライン化
<Program.1>
人が繋がるGIGA時代のセキュリティ
「GIGAスクール」の開始に伴い、インターネット上の学習教材を活用する機会が急速に増えることが予想されている。ただ、便利な反面、セキュリティ上のリスクが高くなる側面も否定できない。そこで、HENNGEの学校用ICTシステムによる、安全でスムーズなクラウドサービス(アプリ)の利活用法を、紀藤佑允さんに紹介してもらう。
<講師>
紀藤 佑允さん
HENNGE株式会社
法人営業担当
プロフィール
大阪府出身。2012年に関西学院大学を卒業後、国産ソフトウェアメーカーに勤務、自治体向けのソフトウェアの営業に従事。2018年にHENNGEに入社しエンタープライズ層向けの提案を行う。また、教育市場向けのHENNGE Oneライセンスの製品化のプロジェクトに参加、現在は同製品の提案を推進している。
GIGAスクール構想のこれまで・これから
プログラミングや英語が小学校の必修科目になるなど、教育現場では非常に大きな変化が起こっています。これまでの一斉型学習を個別学習・協働型学習に変えていく上で、「デジタル教科書」をどうするかといった議論が行われるなど、デジタル活用にもダイナミックな変化が起きています。
文部科学省の「GIGAスクール構想の整備状況」に関する調査では、全体の97.6%にあたる1,769自治体が、令和2年度内にICT整備を完了しているとのこと。ほとんどの自治体で端末の配布が完了しているので、今後、それをどう活用するかというステージに移行するわけです。これからは、
(1)先生と児童生徒がデジタルで繋がる時代
(2)家からでもリモートで繋がる時代
(3)色々なクラウドサービスと繋がる時代
…だと、当社では考えています。これまでは学校内の端末数が限られていたため、複数クラスが同時にICT授業を行うことはなかなか出来なかったでしょうが、これからは1人1台の端末を持っているため、いつでもICT授業が出来るようになります。自宅からリモートで繋がる時代も目の前で、すでに現在、緊急事態宣言下でリモート授業を行っている学校が多数あります。子どもたち同士や、子どもたちと先生が、ICTによってこれまで以上に繋がっていくわけです。
アフターGIGAで求められる対策とは
これからは“繋がる時代”だという点を踏まえ、今後の教育現場に必要なセキュリティ対策について考えてみます。アプリケーションを制御するMAM(Mobile Application Management)、利用端末の制御やリモートワイプに必要なMDM(Mobile Device Management)については、GIGAスクール構想の中で実装されていることが多いものの、アクセス可能な人と端末を制御する「IDaaS(Identity as a Service)」については未導入で、必要性も認識されていないのが現状です。
クラウドの利便性は、セキュリティリスクと表裏一体です。ID/PWがあれば、場所を選ばず誰でもどこからでもアクセスできるのがクラウドのメリットですが、一方でID/PWが漏洩してしまうと、不正アクセスによる情報漏洩が発生し、フィッシング詐欺、リスト攻撃など様々なリスクが高まるというデメリットがあります。子どもたちが撮った写真や、先生がつくったデータなどが悪用される危険性もあります。
このデメリットを回避するのが、IDaaSによるアクセス制御です。許可されたユーザー・環境・端末からのみサービスにログイン出来るようにすることで、不正アクセスによる情報漏洩の危険性を大幅に低減することができます。
もう1つの課題として、“授業時間確保”が挙げられます。当社が教職員様を対象に実施した独自調査によると、ICT機器を利用した授業を実施している先生方の60%近くが2種類以上のコンテンツ(アプリ)を使用しておられ、ほぼ同率の先生方が、授業で利用する端末やアプリのID・パスワードを教師や生徒が失念するなどで、授業開始前に時間を要した経験をお持ちだということが分かりました。今後、教育系クラウドサービスの利用が拡大するのに伴い、この数字はさらに増加するのではないかと思われます。
この課題に対しては、1つのID/パスワードで複数のサービスにログイン出来る「シングルサインオン」が有効です。従来、それぞれのサービスに個別のID/パスワードが必要だったものを、教職員や生徒は1つのID/パスワードで色々なサービスにログインできるようにする仕組みです。
「HENNGE One for Education」の採用事例とライセンス体系
当社の「HENNGE One for Education」の主要機能は、先ほど課題として挙げた不正アクセスを防ぐための“二要素認証”、複数アプリケーション・サービス用のID/パスワード管理を1つにまとめる“シングルサインオン”、それらを運用する“ID管理・AD連携”の3つです。
まず二要素認証は、ID/パスワード以外に任意の要素を組み合わせて、アクセス制御できます。特に“端末制御”は、MACアドレス、IMEI等の端末識別子をもとにして端末を認証するため厳密なアクセス制御が可能です。GIGAスクール構想で多数の採用実績があるChromebookにも対応しています。シングルサインオンについてもSAML認証により、Windows365、Google Workspaceをはじめ170を超えるクラウドサービスに対応しており、今後もさらに多くのクラウドサービスにシングルサインオンできるよう取り組みます。
「Microsoft 365 edition」と「G Suite edition」の2種を準備しており、教育委員会様、小・中・高・大および短大や専門学校などの教育機関を対象に、最低購入および管理者を課金対象としておりますので、例えば教職員数1,000人・生徒数1万人の場合、1,000人分のみの課金で利用頂ける点が特徴です。
GIGAスクール構想により、クラウド活用はますます活発になるでしょう。そのためにも、当社の「HENNGE One」のようなセキュリティ対策が不可欠なのです。
<Program.2>
アフターGIGA学校 と保護者のオンライン化
“児童生徒1人1台コンピュータ体制”のスタートに合わせ、文科省は「学校・保護者間における連絡手段」についてもデジタル化を推進するよう通知を出している。現状、紙媒体の配布や電話でのやり取りが主流である保護者への連絡を、いかにスムーズにデジタル化すべきか、村上雄一さん・ヤームル・オズさんが手法を語った。
<講師>
村上 雄一さん
HENNGE株式会社
ソーシャルイノベーションソリューションセクション
プロフィール
東京都出身。2004年に法政大学を卒業後、重電メーカーに勤務。民間・公共・大学への自動車関連の計測システム部門にて営業を担当。2020年HENNGE株式会社に入社し、営業経験を活かしたCHROMOサービスのPR活動を推進している。
ヤームル・オズさん
HENNGE株式会社
ソーシャルイノベーションソリューションセクション
プロフィール
トルコ・イズミル出身。トルコの大学で日本語を専攻してからトルコの食品会社に勤務。トルコ語・日本語・英語で営業サポート。HENNGEでの仕事が決まって、日本へ引越し。2019年HENNGEに入社し、CHROMOサービスの営業サーポトを推進している。
アフターGIGAで求められるコミュニケーション
令和2年10月、「学校が保護者等に求める押印の見直しおよび学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化の推進」とする文部科学省通知があったことは、皆さんご存知の通りです。具体的なデジタル化の例としては、「保護者向けアンケートのオンライン化」「欠席・遅刻連絡のオンライン化」「お便りのデジタル配信」などが考えられます。
これに対し、教育委員会様が抱えている課題を当社独自のアンケートでお尋ねしたところ、今年1月時点で約24%の教育委員会様から「すでに対応している」との回答があった一方で、残る76%は「対応を検討中」「対応できていない」状況であることが分かりました。
さらに、現状の保護者向け連絡手段は「紙」が約54%、「一斉メール送信」約33%、学校HPなど「WEBサイト」約13%と、情報伝達手段が限られており、欠席連絡手段に関しても約77%が「電話」、8%弱が「連絡帳」と、未だアナログな連絡手段が多いのが実態のようです。保護者とのコミュニケーションの課題については、「一方通行であること」「送り分けができないこと」などが全体の70%以上を占めていました。
クラウドサービスで快適・スピーディな情報配信を実現
当社の「CHROMO(クロモ)」なら、多くの教育委員会様が抱えている課題を解決できます。電子メールは送信してから宛先へ届くまでの間に、インターネット上の様々なポイントを中継するため、遅延や情報漏洩、なりすましなどの危険性が多く含まれています。中継点で迷惑メールと誤判断され、重要なメールが届かないケースもあります。その点、CHROMOは、インターネット上の通信リスクを回避しつつ、エリアポータル(利用者専用WEBページ)へ即時配信し、EメールをはじめLINEなど、使い慣れたサービスで通知を受け取ることができるため、操作も容易です。
教育分野向けの主な機能は“アンケート配信”“保護者からの欠席・遅刻連絡を確認”“メッセージ(お知らせ配信)”の3つです。従来は紙で作成し、回収後はデータの打ち込み・集計作業が必要だったアンケートですが、CHROMOではオンライン上で簡単にアンケートを作成し、リアルタイムに集計までできるので、作業負担を大幅に軽減できます。
次に欠席・遅刻連絡のオンライン化。保護者様側は、ご自身のスマートフォンで簡単に子どもの欠席・遅刻を連絡することができるほか、欠席・遅刻の履歴を確認し、家族間で履歴共有することが可能です。学校・教育委員会側でも、保護者からの欠席・遅刻連絡をPCで一元管理できます。
お知らせ配信も、印刷・配布の手間を削減できるほか、生徒を経由した従来の伝え方より確実に届くため、伝わっていないことへの不安を払拭できます。メッセージ作成は電子メールと同じ感覚で、送信先は登録された任意のグループを選択するだけです。添付ファイル等は1度に10MBまで送付可能で、保護者様側も、普段使用しているスマホ等でメッセージを受け取れるため、見逃しがありません。学校単位はもちろん学年別、学級別、部活動別などの「送り分け」配信が可能で、例えば「本日欠席した生徒の保護者」だけにメッセージを送ることもできます。
実際に導入しておられる自治体の教育委員会様からは、「配布から回収・集計に非常に時間がかかるアンケートが、オンラインで行うことで簡単に集計まで行えた」「欠席・遅刻連絡をオンライン化したことで、朝の忙しい時間帯での電話対応がかなり減った」など、ご好評をいただいております。
校内だけでなく校外ICTも一括対応
CHROMOはクラウドサービスなので、学校内からだけでなく校外からも利用可能です。ある教育委員会様では、修学旅行でもCHROMOを活用。旅行先での生徒たちの日々の様子を写真付きでメッセージを送り、最終日には渋滞状況に合わせ、学校着時間をお知らせするなどで、保護者様との連絡や到着予定時刻の報告がスムーズになりました。
生徒を経由せずに保護者様に直接資料を送ることができるので、給食の献立表をPDFにしてCHROMOで送付し、「夕飯の献立を考える際の参考になる」など保護者様から好評を得ている事例もあります。また、前述した送り分け機能を活用し、学校内でコロナ感染者が発生した際、PCR検査を受ける・受けない、濃厚接触者グループとそうでないグループによって送信メッセージの内容を変え、適切な送り先を選択することで憶測や風評被害を抑えたとの事例もあります。緊急事態宣言発出後、休校の連絡等も迅速に行えたとのことです。
保護者様のCHROMO利活用開始は、学校・施設から渡された手順書の二次元コードから簡単に登録できます。専用ポータルサイトにアクセスできないガラケーご利用の場合も、代理登録を行います。
なお、学校・教育委員会様と保護者様向けのサポートセンターを設置しておりますので、電話やメールでの問い合わせはお気軽にどうぞ。
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