国が推進する「GIGAスクール構想」にもとづく環境整備が、全国各地で急速に進められている。しかし、運用や管理法に頭を悩ませる学校は多い。その課題と解決のヒントについて、ヨコモリ電池屋コーポレーションの上保さんと市倉さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.13(2021年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ヨコモリ電池屋コーポレーション
コロナ禍で前倒しになった端末整備のスケジュール。
ICTを基盤とする先端技術を、教育の場にも取り入れることで、“公平かつ創造的な教育”の提供を目指すGIGAスクール構想。政府は当初、その土台となる“1人1台の端末(タブレットPC)”の整備を、令和5年度までの完了を目標に進めていた。
しかし、コロナ禍によって発せられた臨時休業措置などによって状況は急変。教育現場は早々に、ICT環境が必須とされるオンライン授業などへの対応を迫られることになった。政府もこれを受け、端末の整備計画を前倒し。交付金の給付などによって、迅速な整備の後押しをしている。
このような背景もあり、1人1台の端末化は急速に進みつつあるが、早くも“次なる課題”が出てきているのだという。GIGAスクール構想では、端末の導入や通信環境の整備に目が向きがちだが、意外と見落としがちなのが管理設備。1人1台が当たり前になれば、当然、教室での充電が必要になり、また、それらの保管設備も準備せねばならない。この点について、現場ではどんな問題が起きているのだろうか。
設置後に気付くことが多い、“保管庫”の大きさ。
現在、浮かび上がっている課題について、GIGAスクール構想向け「タブレットPC充電保管庫」を取り扱う同社の上保さんは、「まず、端末の管理スペースの問題です」という。
薄型のタイプが多い端末とはいえ、1クラス分(40台目安)を収納するだけでなく、充電まで行うスペースとなると、それなりの広さが必要になる。「弊社も、充電が可能な保管庫を販売していますが、設置する際、教職員の皆さんは、その大きさに驚かれます」と語る。ただでさえ教室には物が多い。ましてや現在はコロナ対策で机を離し、空きスペースが減っている状態。やむを得ず配膳台などを教室の外に出すなど、対応に苦慮している学校も多いそうだ。
この課題に対し、「弊社では、文部科学省が提示する標準仕様書に準拠した上で、その学校のニーズに応じた製品づくりを行っています。これにより課題解決をサポートしたい」と語る。その一例が、保管庫を「教台」と一体化させることで省スペース化を図った製品(左項・上欄参照)だ。また、どうしても設置スペースが足りない場合は、端末の台数や教室の広さなどに合わせてサイズ調整の相談にも応じているのだという。
ヨコモリ電池屋コーポレーション 企画開発部
左:上保 未優(うわぼ みゆ)さん
右:市倉 丈寛(いちくら たけひろ)さん
省スペース化が可能なタブレットPC用充電保管庫
教育現場に合わせた専用仕様なので安心
“電池屋”として、長年積み上げた技術力とノウハウによって開発されたのが「タブレットPC充電保管庫」だ。教育現場向けとして、安全性や使い勝手を重視した特別仕様となっている。
一体化でコンパクトに!
GIGAスクール構想標準仕様充電保管庫シリーズ
■輪番充電タイマー
■OAタップ付き
■鍵付き扉(両扉・片扉)
■4面放熱孔
■背面パネル開閉可
■専用キャスター
テレビ台兼用充電保管庫
【PC-CABI-42-W-TV】
ポート:42ポート/電源100V-240V(50Hz/60Hz)
材料:スチール/天板(木)収納棚:(21台×2)
※テレビ台は付属しません
※重量サイズはテレビ台に準じますので、お問い合わせください
教卓兼用充電保管庫
【PC-CABI-22-W-DE】
ポート:22ポート/電源100V-240V(50Hz/60Hz)
材料:スチール/天板(木)収納棚:(11台×2)
※重量サイズは、お問い合わせください
教育現場ならではの課題に対応、安全で便利な製品を提供する。
保管庫の“固着”や“移動”に関しても課題があるという。GIGAスクール構想では、充電保管庫を、壁面もしくは床などに固着することが基本条件となっている。「高さ調整が可能な固定脚で、しっかり固着できるのが本製品の特徴の1つです。加えて、地震対策用として、L型金具で固着することも可能です」。また、移動させることを想定し、ストッパー付きのキャスターも用意しているという。
これに加え、安全面にも配慮がうかがえる。「児童生徒がぶつかる可能性もあるので、本体の角を覆っています。また、充電による熱を放出する放熱口を小さくし、子どもの小さな手でも入らないようにしました」と、細部へのこだわりにも自信をみせる。
さらに、大量の端末をタイマー式で順番に充電する「輪番充電方式」を採用。各学校の電気設備に適した使用量になるよう、安全にコントロールすることが可能だ。
保管庫の必要性を感じながらも、まだ導入できていない学校もあるだろう。導入を決める前に、端末の数や置き場所、安全面にも着目して、しっかり選ぶ必要がありそうだ。
設置場所に応じてのカスタマイズも自由自在
スペースが限られている教育現場への設置は、既製品のみでは対応できないケースが多い。そんな課題を同社では、カスタマイズで解決している。スペースに応じて、11ポートや44ポート化することも可能。「掃除用具入れの横に置けるサイズにしたい」そんな細かい要望も相談できる。安心の国内生産なのも特徴だ。
納期短縮化などの相談可状況に合わせ柔軟に対応
国の交付金などを活用して、各種の製品を導入する場合、条件となることが多いのが導入完了の期日指定だ。しかし、一般市販化されていない製品の場合、仕様の決定から設置まで、想定以上に時間がかかる場合も多い。同社の場合、たとえ短い納期になるとしても積極的に解決を試みるという。このような臨機応変な対応も強みだ。
充電保管庫の導入実績(学校への導入総数)
全国10の自治体へ
すでに計15,000台を導入!
1人1台のタブレットPC利用における課題とその対策例
端末の自宅利用で起こる“充電忘れ”が大きな課題に。
支給された端末は、今や学校だけでなく、自宅での利用(宿題やオンライン授業)が当たり前になっている。「そこで浮かび上がってきたのが、充電忘れの問題です」と市倉さん。自宅での充電を指導している学校も多いが、それでも一定数の充電忘れが発生しているそうだ。
「端末の利用を前提とした授業は今後ますます増えていくでしょう。とはいえ、各自の席に充電用コンセントがあるような学校や教室はそう多くはありません」。さらに近年、教室の外で端末を使う機会も増えている。上保さんは「今後は臨海学校などの校外学習に持って行くケースも想定されます。だからこそ予備用のバッテリーが必要なのです」。
もはや“必需品”となりつつある端末用のモバイルバッテリー。
そこで同社が、その対策として開発したのが、「GIGAスクール向けタブレットPC用モバイルバッテリー」だ。こだわったのは“子どもが使いやすい”仕様だという。例えばウルトラスリム型なら、厚さはわずか16mm。「厚みのあるバッテリーですと、端末の横に並べることになります。学校の机はそれほど大きくないので、手が当たれば落下してしまいます」。その点、この製品の場合、タブレットの下に敷きながら使用ができる。また、「今後、低学年向けとして、現在の半分の重量のものもリリース予定です。移動教室で使うことも想定した軽さになっています」と、教育現場ならではの課題である“重さ”に対しても細やかに配慮している。
このような薄型化や軽量化が実現するのは、同社の技術の蓄積あってこそだ。「当社が誇る専門の技術者が長年培ったノウハウを活かし、機能と使い勝手を両立させました」と市倉さんは胸を張る。
GIGAスクール向け
タブレットPC用モバイルバッテリー(ウルトラスリム型)
さらに軽量な“低学年用”もリリース予定!
サイズ:幅220mm×厚さ16mm×奥行340mm
※詳細はお問い合わせください。
技術で実現した使いやすい薄さ
独自のノウハウによって16mmという薄さを実現。これにより、端末の下に置いての充電が可能となる。
子どもが迷わないシンプルな機能
充電口や出力ポートなどをシンプルに配置。また、2色での展開を予定。学年やクラス別での管理が容易に。
保管庫での充電や保管も可能
端末(タブレットPC)と同等の薄さのため、既存の充電保管庫に入れての充電・保管もできる。
家庭への配布も1つの解決策
官民問わず、個人でモバイルバッテリーを所有する人は多い。それらを考慮すると、教育の現場においても、各1台配布することが、課題解決へつながる可能性が高い。
お試し使用を行った教育現場の声
渋谷区立笹塚中学校 校長 駒崎 彰一(こまざき しょういち)さん
端末を“未充電”のまま持参する生徒はかなり多いのです。そのため、10mの延長コードで充電しながら授業を受ける形になりますが、教職員や生徒がコードに足を掛かけて転倒しそうになったり、コンセントの近くにある席にわざわざ移動したりするなどの事例が発生しています。これらを危惧し、課外学習に行く際などは、使用する端末の数を制限したほどです。この薄くて軽いモバイルバッテリーが導入できれば、これらの課題を解消できそうです。ぜひ、導入させていただきたいなと思いました。
教育現場の課題に対応した様々な危機管理ソリューション。
このほか同社では、様々な技術を活かし、教育現場の危機管理に役立つ製品を提供している。
例えば、手をかざすだけで自動的に手指の消毒ができる「オートミスト」。「一般的には消毒を手動で行うポンプ式が主流ですが、それだと二次感染のおそれが指摘されています。その点、この製品は自動ですし、しかも短時間で消毒できるので、子どもたちの密集を防ぐ効果もあります」。
また、人の体表温を瞬時に測る「サーマル体表温測定システム」もその1つ。「学校などの入口近くに設置することで、より正確な“水際対策”が可能になります。30人を一気に検温できるので、時間もあまりとられません」。
いずれも、教育現場でも課題となる“クラスター対策”に有効なソリューションといえるだろう。
オートミスト
手を少しかざすだけで全自動で手指の消毒が可能
ポンプなどに触れることなく、手指の消毒が可能となる“非接触型”ウイルス感染防止ソリューション。短時間で消毒が完了するため、教育現場の効率化に大きく貢献。また、定量で噴射されるので使いすぎの防止効果も。壊れにくいとされる吸い上げ式なのも特徴だ。
[実績:様々な機関へ全国計1,000台を導入済み]
サーマル体表温測定システム
見た目では全く分からない発熱者を自動で発見!
たった1秒、サーマル(熱検知)カメラの前に立つだけで、発熱者を検知する“高速検知”が特徴のソリューション。最大30人の検温が可能なため、朝の登校者が集中する時間帯も活用が可能。教職員の業務負担も軽減される。マスクを装着した状態で正確に測れることもポイント。
[実績:様々な機関へ全国計50台を導入済み]
災害発生など緊急時に活躍する大容量蓄電池もラインナップ。
さらにコロナ対策とあわせて怠れないのが緊急時への備えだ。特に、停電による電力供給の停止は、スマホやタブレットなどが“生活必需品化”している昨今、以前よりも死活問題になりやすい。ICT化が進む教育現場においても、その影響は大きいといえるだろう。そこで同社では、大人数への充電を想定した様々な容量の蓄電池も販売している。蓄電池は、一般的な発電機と比べ、利便性が高いとされている。充電ケーブルを挿すだけで、誰もがすぐに使えるので、緊急時の備えや、学校施設が災害時の避難所として使われる場合などにも重宝しそうだ。
コロナ禍や災害の激甚化によって、教育現場が解決しなければならない課題は山積みとなっている。「弊社の製品が、それらの課題を解決する手助けとなり、子どもたちのためになればと心から願っています」と、上保さんは力を込める。
大容量蓄電池
モバイルバッテリーと同じ感覚で扱える蓄電池
容量6,000Whのリチウムイオンバッテリーを内蔵した大容量蓄電池。スマホ(10W)なら600台分のフル充電が可能。大容量でありながら、簡単に持ち運びできるのも特徴の1つ。
短期納品・カスタマイズ、一度ご相談ください。
教育現場でお困りの点をヒアリングして、課題解決につながる製品を提案いたします。短期での納品やカスタマイズなど、まずはお気軽にご相談ください!
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