社会におけるICT導入は、今や最優先事項の一つだ。デジタル庁の開設によってさらに動きが加速する見込みだが、水道業界の現状はどうなのだろうか。水道事業のICT化最前線でサービスを展開している「ウォーターリンクス」の河瀬さん、「大豊機工」の川瀬さんに聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.12(2020年11月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ウォーターリンクス
水道事業が抱える諸問題を解決するためのベストな選択。
人口減少などに伴う水需要の減少は避けられない。水道料金収入が減っていくのに反し、施設の老朽化や職員の不足・高齢化などが進み、中小事業体を中心に水道事業の健全な経営は難しくなる。こうした課題に対し、国は「水道情報活用システム」構想を打ち出し、解決を目指している。この構想の主な構成要素として、水道事業体専用のクラウド・サービス「水道標準プラットフォーム(以下、水道標準PF)」が据えられ、データの標準仕様化やベンダーロックの解消がうたわれており、自治体も歩調をそろえていかなければならない。河瀬さんは「水道事業の将来を見据えつつ、業務の標準化でコストダウンできるアプリケーション化が必要不可欠だ」と語る。
「従来型の各事業体でのシステム開発は避けた方がいいでしょう。データの標準仕様化を前提としたアプリケーションを採用すれば、水道事業を低コストで持続・発展させることは可能です。それにはシステム調達の抜本的な見直しが必要になります」。この水道事業における課題を解決する画期的なツールとして、今年「Water Links(以下、WL)」が開発された。
左:ウォーターリンクス 営業部 河瀬 博信(かわせ ひろのぶ)さん
右:大豊機工 公共システム部 川瀬 政樹(かわせ まさき)さん
“SaaS”という選択は未来の水道事業への第一歩!
WLは業務支援系アプリケーションのプラットフォームだ。第1段として料金計算アプリケーションがリリースされており、将来的には施設台帳アプリケーションや公営企業会計アプリケーションなどもリリースを予定。それにより、大半の管理業務をプラットフォーム内で完結できることを目指している。その特徴の一つは、SaaS型※1のサービスだという点にある。
自治体側はサーバーなどのシステム環境を用意する必要がない上、サブスクリプション方式(利用料方式)なので、導入・運用コストが大幅に削減でき、かつ迅速導入が可能。システムメンテナンスなどは特に必要なく、アップデートは自動で行われ、税率や年号が変わったときにもシステム改修に手間やコストをかける必要がない。
さらに、WLは国のデータの標準仕様化を前提に開発を進めているため、前述の水道標準PFが普及し始めた際にも改修などを加える必要がなく、スムーズに移行できる。この“データの標準化・クラウド化”で水道事業者間での共同利用も容易になり、さらにビッグデータ利活用、IoT機器、他社アプリケーションとのAPI連携など、可能性は広がる。
※1.SaaS(Software as a Service)ソフトウェアを利用者が導入することなく、必要な機能をネットワーク経由で利用できるサービス形態
「Water Links」の特徴
1.SaaS型で低コスト
SaaS型のサブスクリプション方式で提供する業務支援系アプリケーションなので、ハード・ソフトの購入費用がかからず、メンテナンスなどのコストも安い。スピード導入と、常に最新の状態で使用できる環境が得られる。
2.多機能型のプラットフォーム
料金計算アプリケーションだけでなく、様々な水道関連業務を一つの画面で管理可能。利用者ニーズに合わせてトップページを生成する「マルチテナント機能」も備える。タブレットやスマートフォンでも操作でき、庁内・現場を問わず活用範囲が広い。
3.標準化されたデータ体系
国のデータの標準仕様化や水道標準PFに準拠。セキュリティを担保しつつ外部データとのスムーズな連携を可能にしているため、事業者間の共同利用といったシーンでも活躍する。
現場業務も改善しつつ持続発展型の水道事業を構築する。
業務の改善や効率化につながるこのWL。料金計算アプリケーションはウォーターリンクスと大豊機工との共同開発でつくられている。同社が手がける無線検針システム「ReMARS(以下、リマーズ)」を併用すれば、さらに事業全体に変革を起こすことが可能だ。「リマーズはWLと連動可能なスマート検針サービスで、全自動検針のAMI※2ではなく、あえて人を介するAMR※3を採用しており、既存の水道環境でも運用できます」と川瀬さん。検針員は徒歩か車で移動しつつ、メーターから無線送信される検針データを端末で一括受信するだけでいい。
また、回収したデータは事業所でアップロードされた時点で利用者情報と結びつけられるので、検針中に個人情報を持ち歩くリスクからも解放される。さらに、回収データには、時間帯別の利用状況、漏水・逆流などの異常発生通知なども含まれ、メーターの不当な操作はアラームで検知できる。WLと連動して水道標準PFにも対応可能だ。
現状の課題解決に加え、将来の水道管理に向けて大きな一歩を踏み出せるこれらのシステム。水道事業の新たな道として検討する価値は十分にありそうだ。
※2.AMI(Advanced Metering Infrastructure)双方向のネットワーク通信機能を有したメーター
※3.AMR(Automated Meter Reading)一方向の通信による遠隔検針機能を有したメーター
▼無線検針システム「ReMARS(リマーズ)」の特徴
❶米国Itron社製
世界シェアトップクラスの米国Itron社製のスマート水道メーターを採用。
❷AMR方式
徒歩や車で移動しながら無線で検針が完了。検針端末には個人情報が入っていないので安心。
❸temetra
世界中の水道事業体で利用実績のある管理システム「temetra」で検針データと個人情報を紐づけ。
❹WLと連携
水道標準PFに対応したWLとも連携が可能。
導入のメリット
自治体は…財政負担減と業務効率化を同時に実現!
●国のデータの標準仕様化や水道標準PFに準拠するアプリケーションを導入することで、システムの共同利用、さらには将来の水道事業の経営統合を推進しやすくなる。
●システム内で今やるべきことが可視化され、業務時間の短縮や迅速な情報共有が可能になり、組織内業務を効率化できる。
住民は…負担増加が抑制され利便性も向上!
●供給側のシステム運用費用が低減されることで、水道料金の上昇が抑制される。
●お知らせ票や水道手続きのオンライン化が可能になり、利便性が向上する。
次回「ReMARS」をより詳しくお届け!
次回、本誌またはジチタイワークスinfoにて、リマーズがなぜあえてAMR方式を採用しているかをより詳しくお届けします。購読希望の方はアンケートにてお知らせください。
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