自治体では、新型コロナウイルス感染症対策に追われる中、マンパワー不足を再認識したという声も聞かれる。行政サービスの質を下げず、職員の負担も増やさないようにするにはどうすればいいのか。豊中市ではAIチャットボットを解決策として選択、その活路をみいだそうとしている。
※下記はジチタイワークスVol.11(2020年9月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]日本電気株式会社(NEC)
住民を不安から守るためにAIを活用した仕組みを導入。
豊中市では、新型コロナウイルス感染症対策における住民の問い合わせ先として、常設の総合コールセンターに加え、新型コロナウイルス感染症コールセンターを開設した。しかし感染拡大に伴い、住民からの電話が増加。4月に入ってからは1日250~300件の電話を受ける日もあり、時間帯によっては回線がつながりにくくなることもあったという。こうした状況の中、今後さらに感染者が増える可能性や、コールセンターが開いていない土日・夜間などの住民への対応も含めて、同市は新たな仕組みを取り入れる必要性を感じていた。
解決策として浮上したのが、「NEC」が手掛けるAIチャットボット「NEC自動応答」だった。以前からAIチャットボットの導入は検討中であったが、目前の問題を解決するには今すぐ必要だと判断。自治体向けにトライアルが実施中だったこともあり、庁内での合意を迅速に得て、トライアル導入を決定した。
即使える機能・データが役立ち早期にサービスを立ち上げ。
NEC自動応答が持つ特徴の一つに「テキスト含意認識技術」がある。チャットボットの性能は、AIの精度などによってばらつきがあり、的確な回答を返せないケースも目立つ。しかし同社のAI「NEC the WISE」は、文章の表現が異なっていても単語の重要性や品詞などを考慮し同じ意味かを判定する。例えば「突然エンジンが止まった」と「急にエンストした」は、言葉が違っても同じ意味だと理解するといった具合だ。このテキスト含意認識技術は、精度の高さが認められ「アメリカ国立標準技術研究所」の1位評価※1を得ている。
また、FAQ※2データはAIが蓄積し自治体間で共有されるため、使うほどに対応力が高くなる。豊中市でもNECから提供された精度向上済みのFAQデータが役立ち、FAQデータの準備作業が軽減された。さらに、問い合わせ結果の膨大なログをAIが自動分析。質問の傾向や、回答できなかった事例などを提示してくれるので、次の一手が打ちやすくなる。
豊中市では、令和2年4月からNEC自動応答の運用を開始。初日は762件の利用があり、「家族が感染したらどうすればいいか」「豊中市内の感染状況は」といった質問が寄せられた。24時間、休日も稼働し、6月末時点で利用総数は約3,650件。島田さんは、新型コロナ関連の問い合わせ自体が増えているため単純比較は難しいという前提で「チャットボットが一般的な質問に対応したことで、コールセンターの負担軽減につながったようだ。また、夜間など今まで対応できていなかった時間帯の対応など、住民サービスの拡充につながった」と語る。
※1.アメリカ国立標準技術研究所主催評価タスク(NIST TAC-RTE)で2012年に第1位獲得
※2.よくある(あるいは頻出すると想定される)質問とその回答を集めたもの
マイナポータルとの連携で可能性はさらに広がる。
豊中市がトライアル運用を始めた後、大阪府でも同サービスを導入。吉村知事は7月の会見で、「大阪コロナの追跡システム」に関する問い合わせは、ホームページのFAQとNEC自動応答の併用で99.5%まで対応でき、コールセンターの負担軽減と対応の充実化に貢献できたと語っている。ちなみにNEC自動応答は、今後マイナポータルと連携し、個人の状況に応じた最適なサービスをAIがガイドできるようになる予定(特許出願済)。このサービスは「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2019」※3で総務大臣賞を受賞しており、多方面からの期待が感じられる。
島田さんも、今回のトライアルでデジタル技術が対応できる範囲をつかむことができたと振り返りつつ「機械にできることは機械に任せ、職員がより充実した住民サービスを提供していける環境に整えていきたい」と今後を見据えている。
※3.一般社団法人ASP・SaaS・AI・IoT クラウド産業協会が「日本国内で優秀かつ社会に有益なサービス」を表彰する取り組み
Interview
豊中市 創造改革課 主査 島田 裕子(しまだ ゆうこ)さん
国内外で高評価のAIが職員負担を軽減!細やかに対応する次世代チャットボット。
テキスト含意認識技術とは
NEC自動応答の導入メリット
1.豊富な導入事例
NEC自動応答はクラウド型でもオンプレミス型でも対応可能。令和2年7月時点で、LGWAN環境下で約60自治体、感染拡大防止対策特化型のクラウド環境下で約20自治体、延べ約80の自治体で利用実績がある。
2.外部連携API ※による高い拡張性・将来性
LINEやSkype、音声認識、自治体の業務システムなど様々な外部システムと連携可能。今後はマイナポータルと連携した「マイナbot(仮)」も展開し、所得や世帯情報等に応じた手続きの案内など、パーソナライズされた情報を提供できる予定。従来は職員でなければ不可能と思われていた業務もチャットボットで代行可能になる。
※特定のシステムを外部のシステムやアプリケーションと連携して利用できるようにする仕組み
3.FAQデータベースの“共創”
「みんなで育てる」をコンセプトに導入団体間でFAQデータを共有・流用可能。導入時に大量のFAQデータを入力する手間が減ると同時に、多くのデータの蓄積で、AIの回答精度も向上する。令和2年7月時点で蓄積されたFAQは1万件を超え、データは日々増加中。
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期間限定のトライアルサービス受付中!
NEC自動応答は、気軽に始められるトライアルサービスを受付中。今年は国勢調査の実施年で、ネット回答が推奨されていることもあり、問い合わせ増加も想定されます。FAQデータも提供しますので、お早めにご相談ください。
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