ジチタイワークス

東京都江戸川区

特注セーフティボートで水害から住民を守る!江戸川区の挑戦。

今年発生した「令和2年7月豪雨」は、全国に深い爪痕を残した。直近5年を振り返っても、台風や豪雨などで毎年犠牲者が多く出ている。一刻を争う救助活動では自治体職員や住民が自力での救助活動を強いられる場合もあるが、水害の危険度が高い江戸川区ではそんなときのために備えを進めている。

※下記はジチタイワークスVol.11(2020年9月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]浜口ウレタン株式会社

2週間に及ぶ大浸水から被災者を救う方法はあるのか。

海に面し、江戸川、荒川など大河川の最下流域にある江戸川区。大雨が降れば氾濫の危機にさらされ、さらに区の7割がゼロメートル地帯※1となっているため、水が引かない状態が続く“長期湛水”のリスクを抱えている。国の試算では、浸水が2週間に及ぶ可能性があるという結果だ。

同区はハザードマップなどで、安全なエリアに逃げる“広域避難”を呼びかけているが、全住民が避難できるわけではない。この問題に山口さんは「長期湛水では、水から逃れた後に“孤立”のリスクが残っています」と危機感を募らせる。「避難所などに取り残された人々は、インフラが遮断された中で2週間の生活を余儀なくされ、命の危機に直面します。救出の手段が必要ですが、通常のボートでは不安が拭えません」。

災害時、避難所に詰めるのは一般職員で、救助用のボートに詳しいわけではない。また、無事にボートを出しても、浮遊物や濁った水中の障害物でボートが破損する可能性もある。とはいえ、救助中の沈没などは絶対に避けなければならない。

これらのリスクを避け、条件を満たすものを探す中、山口さんが危機管理産業展で出会ったのが「セーフティボート」だった。

※1満ち潮(満潮時)の水面よりも低い土地

空気入れが不要で浮力は抜群、今までにない画期的なボート。

「浜口ウレタン」が開発したセーフティボートは、空気を注入する一般的なボートと異なり、「硬質ウレタン」という材質でできている。これは断熱材などによく使われる素材で、細かく独立した気泡を大量に含んでいるため浮力が大きく、空気漏れの心配がないので、本体に釘や看板が刺さったりしても沈まないとされている※2。

さらに、底面にはノーパンクの車輪が取り付け可能で、陸地に上がった時の移動も楽だ。これは製品開発の際に「セーフティボートが水を脱出した後は“大きくて重い担架”になってしまう」という消防の現場から届いた声を反映させたのだという。

ボートとしての操作性は一般的なものと変わらず「導入前に職員が浜名湖でテストしましたが、操縦面も全く問題ありませんでした」と山口さんは振り返る。

※2 ALU380 近海(但し母船より1海里)搭載艇小型船舶安全規則適合検討及び浸水状態復原性試験報告書にもとづく

江戸川区 危機管理室 室長 山口 正幸(やまぐち まさゆき)さん

車いすにも対応の6人乗りが地域住民の“命綱”になる!

江戸川区が発注したセーフティボートは、特注の6人乗り仕様だ。できるだけ多くの人を乗せたい、しかし水上での取りまわしも考慮しなければならないといった点を考慮し、浜口ウレタンと協議の結果、両者のバランスがいい6人乗りを採用。車いすの人もそのまま乗降可能で、重量も本体のみで55kgまで抑えた。このモデルは、後に同社のラインナップに加えられることになったのだという。

江戸川区は現在、このボートを区の避難所でもある小中学校100校と、区の施設6カ所、合計106カ所に配置している。江東5区で自衛隊や消防が1日に救助できるのは、2万人程度が限界だとする国の報告もあり、救助隊が到着するまでに自力での救助活動を迫られる可能性も高い。こうした点からも、使用前の準備などが不要で、使う人を選ばないボートが備えられているという点は、地域の安心にもつながるだろう。

「大きな水害では浸水も数メートルになり、沈没は命に関わります。そんなときに“沈まない”という特徴は非常に心強い。セーフティボートは水害時の“命綱”だと考えています」と語る山口さん。その言葉に、どんな状況でも住民を救うという江戸川区の強い決意が垣間見えた。

 

大水害時に頼れるセーフティボートが驚異の浮力で命を救う!
セーフティボートの強みとは

硬質ウレタンの特性である強い浮力と、耐衝撃性を活かした災害救助専用ボート。従来のボートにプラスされた“不沈”という機能が住民を水害から守る。

1.傷や劣化に強い秘密は、素材にあり!

船体の主な素材は、独立した気泡の集合体である硬質ウレタン。傷が入っても浮力を失わないので安心して救助活動ができる。接着面の劣化による空気漏れの心配も少ない。

2.用途や保管場所に合わせてタイプが選べる

サイズ・定員の異なる4機種をラインナップ。通常モデルはワンボックスタイプの車に、セーフティボートミニは軽バンに積載可能。タイヤを装着すると、陸上では運搬車に!

3.メンテナンスフリー、組み立て不要ですぐに使える

船体の組み立て作業や空気の注入は一切なし。取り扱い教育も不要で、そのまま誰でも使える仕様になっている。メンテナンスフリーで保管時も余計な手間はかからない。

※使用イメージ


上:車輪をつければ、陸上では運搬車として使用できる。
下:車いすに乗車したまま、大人2人のサポートで乗船可能。

ボート以外にも硬質ウレタンを使用したフローティングプロテクターも有り!

硬質ウレタンを使用した救命胴衣。高い耐衝撃性と、大人が3人つかまっても沈まない驚異の浮力を実現!

導入実績

■江戸川区のほか、宮城県角田市、神奈川県寒川町、鳥取県倉吉市など全国60以上の自治体・団体に納入!
■警察本部、東京消防庁ほか、全国44の消防組織
■民間企業7社ほか

※令和2年納入予定含む

CHECK

デモ機を無償で貸し出します!

セーフティボートは、東日本大震災の後「水から人命を守るにはどうすればいいか」ということを考えた末に誕生しました。興味のある自治体にはデモ艇の無料貸し出しも行っています。ご要望に合わせた特注品も対応可能です。ぜひご相談ください。

お問い合わせ

サービス提供元企業:浜口ウレタン株式会社

TEL:053-485-1331
住所:〒432-8001 静岡県浜松市西区西山町1961

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