
生成AI機能を搭載したAI音声文字起こしツール
議事録作成は職員の負担が大きく、多くの自治体でツール導入が進んでいる。しかし、その一方で使い勝手に不満を抱くケースもあるそうだ。四日市市では、ツールの見直しにより作業時間を短縮し、負担軽減を図った。
※下記はジチタイワークスVol.40(2025年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社時空テクノロジーズ
四日市市
総務部 デジタル戦略課 行政DX推進室
主事 森本 章裕(もりもと あきひろ)さん
導入していたツールに課題を感じ、利便性の高い代替品を模索していた。
議事録作成は、自治体にとって欠かせない業務の一つだ。しかし、その作業負担は大きい。文字起こしには会議の倍以上の時間を要することもあり、職員の業務を圧迫してしまう。こうした状況を改善するため、ツール導入を選択する自治体は増えているものの、中には十分に利便性が発揮されないケースもあるという。
同市では負担軽減を目的に、以前から文字起こしツールを導入していた。「当時のツールは、録音した音声をアップロードする手間がある上、文字変換の精度にも課題を感じていたのです。結局は、職員がほぼ1日を費やして、手作業でつくり直すこともありました。現場からは“期待通りの成果が出なかった”という声が上がっていました」と森本さんは振り返る。加えて、保守費用が高騰しており、財政面でも課題があったことから、代替サービスの導入を検討しはじめたという。
そんな折、ジチタイワークスの記事をきっかけに、「時空テクノロジーズ」が提供するAI音声文字起こしツール「ログミーツ」を知った。また、同時期に開催された展示会で、実物を手に取る機会があり、その際に“これは使いやすい”と期待を抱いたそうだ。そこで、現場での実用性を検証するために、サービスのトライアルを実施。「当初、一部の職員からは“以前のツールと同じだろう”という声もありました。しかし、いざ試してみると使い勝手のよさを実感したようで、トライアル期間中のアンケートでは評価が高かったです。令和7年度からの導入を予定していましたが、便利だからこそ早くからツールに慣れるべきだと考え、令和6年度の途中から前倒しで本導入を決定しました」。
リアルタイムの文字起こしで利便性が向上し、活用が拡大。
同ツールは、マイクが内蔵された専用モバイル端末のボタンを押すだけで、録音と文字起こしが開始されるもの。音声とテキストはクラウド上に即時アップロードされ、WEBブラウザ上の専用編集画面から、聞き直しや修正が行える。さらに、編集画面には生成AI機能が搭載されており、議事録の要約や箇条書きでの表示といった文章加工がワンクリックで容易にできる。また、携帯電話回線を利用するため、外出先やLAN環境のない場所でも使用でき、活用の幅が広いという。
同市では専用端末を15台導入し、議会や監査部門など使用頻度の高い部署をはじめ、出先機関を含めた全庁で利用している。「クラウドサービスなので、導入時にはセキュリティ面での懸念を指摘されましたが、同社がセキュリティ認証を取得していることを説明しました。また、利用に抵抗のある部署に対しては、便利だという職員の声を共有。“自分も使ってみよう”と思ってもらえるように工夫しました」。そのほか、変換精度を高めるために会議室でのマイク配置をサポート。ツールの活用を後押ししたそうだ。
こうした森本さんの地道な取り組みや、利用した職員の口コミの効果もあり、同市では活用方法が広がっている。「オンラインにも対応しているため、省庁の制度説明やWEBセミナーの動画を要約し、庁内の情報共有に役立てています。また、専用端末以外で録音した音源もアップロードできるようになったため、過去の会議の文字起こしにも活用しています」。
生成AI機能も積極的に活用し業務の効率化を図っていく。
導入後、議事録作成の時間は従来の半分にまで削減。時間外業務も減り、目に見える形で業務の効率化が進んだという。「リアルタイムで文字起こしされるので、会議中に議事録の修正ができ、会議の終了時にはほぼ完成しています。従来と比較して、大幅に負担を軽減できていると実感しています」。
加えて、生成AI機能も活用し、さらなる効率化にもつなげているそうだ。「画面内にテンプレートのプロンプト※ボタンが用意されているので、使いやすいですね。職員には“要約”や“ToDo抽出”が好評で、打ち合わせ後にToDoリストを作成しています。ボタン以外にプロンプト文の入力も自由にできるので、“この情報だけ抽出して”と指示を出すこともあります。その汎用性の高さが、業務効率化につながっていると感じます」。
同市では「情報化実行計画」に沿って、AIを使った業務の効率化と、それに伴う市民満足度の向上を目指している。森本さんは「このツールの活用を通して、効率化の提案や教え合いが生まれています。このように職員同士の共助が進むことで、庁内の業務改善の波を大きくしていけるのではないかと考えています」と今後の期待を語ってくれた。
※AIに文章作成など特定の作業をさせるための指示や質問
城陽市
企画管理部 デジタル推進課
係長 所川 弘希(しょかわ ひろき)さん
トライアル期間で効果を試し、ツール活用を庁内に浸透させる。
令和4年度に「DX推進計画」を策定し、デジタルを活用した業務効率化を進めていた城陽市。従来、議事録作成の業務負担を課題に感じ、ツールを導入していたが、現場は不便を感じていたのだという。「録音データをアップロードするなど、操作に手間がかかってスムーズに使えなかったのです。そこで、リアルタイムで文字起こしができるツールを探していたところ、ジチタイワークスの記事を見つけて、トライアルを開始しました」と所川さん。実際に試してみると、職員からは肯定的な声が多数寄せられたという。そして、月1万円からの利用プランでスモールスタートできる点が決め手となり、令和7年度に本導入へ至った。
導入後は、1対1の相談対応をはじめ20人規模の会議、議会まで幅広い場面で活用。特に、最近では生成AI機能が重宝されているという。「リアルタイムで文字起こしが行われるので、会議時間にプラス数分程度で、要約した議事録が完成します。そのため、効率化につながっています。また、ToDo抽出を使って、会議内容ともち帰りになった事柄の情報整理などにも活用しています」。
同市の試算では、125時間分の作業が50時間で済むようになり、約6割の業務削減効果があったそうだ。「職員に対しては、生成AI機能を含め、ツールを積極的に活用するように促していました。十分にトライアルで試せたこともあり、庁内の浸透も図れたのではないかと思っています」。
長生村
総務課 自治体DX推進室
副主幹 小髙 幸久(おだか よしひさ)さん
従来1日かかっていた作業が、数時間で済むようになった。
長生村では、ICレコーダーで録音した会議内容を手作業で文字起こししていた。この作業が非常に手間だったと語る小髙さん。「時間がかかるのはもちろん、イヤホンを着けて作業することで、電話対応や窓口対応がおろそかになることもありました」。そうした中、同ツールを知る機会があり、トライアルを実施。その使い勝手のよさから、令和6年の補正予算で導入を決定した。「実際に試してみて、変換精度の高さに納得したことに加え、比較的安価で利用しやすい点が決め手になりました。また、同社のサポート体制も安心できたポイントの一つです」。
現在は、月1回の幹部職員会議をはじめ、住民が参加する会議でも利用している。従来、ほぼ1日を費やしていた作業も1~2時間で済むようになり、効率化の成果を感じているそうだ。また、議事録を“箇条書きでまとめる”生成AI機能も活用し、職員間での情報共有に役立てている。「画面のボタン一つで要約できるので、操作に迷うことはなかったです。要約の精度もよく、ほとんどそのまま使えるレベルです」。同村では、若手職員から使いはじめることで庁内への浸透を図ったのだという。そこから興味を波及させ、今では幅広い職員が活用する状況だ。「当初は抵抗がある職員もいましたが、実際に使ってみると便利だという声が多かったですね。こうした職員の業務改善を進めつつ、今後は住民向けのDXへ取りかかる方針です」。
加東市
まちづくり政策部 デジタル推進課
係長 林 陽子(はやし ようこ)さん
説明なしでも使える手軽さが庁内の普及を後押しした。
従来、議事録作成は外部委託を行っていた加東市。しかし、納品に2週間ほどかかる点がネックとなり、職員が自ら作成することもあったという。そこで、文字起こしツールを導入したものの、操作が難しく職員の間で浸透しない結果に。そうした状況を改善したいと思った林さんは、手軽に使えるツールを探していた。そんなとき、同ツールを紹介され、トライアルを実施。「試してみると当課が説明しなくても、職員がどんどん使ってくれる状況になり、これはいいと思いました。従来の課題が解消されたので、導入もスムーズに進みました」。
ボタン一つで操作できる点が好評で、業者との協議の記録、報告書作成など議事録作成以外にも広く活用されているそうだ。「議員と住民の意見交換の場でも、住民の声を残す手段として使われています。音声が端末に残らないのでセキュリティ面でも安心です。ここまで様々な活用場面があるとは予想以上でした」。
最近では、長文の議事録は生成AI機能を活用。要約文の長短が選べるため、用途に応じて使い分け、情報整理を行っているそうだ。「使いこなしている職員は自由にプロンプト文を入力して、利便性の高い活用方法を模索しているようです。そういったアンテナの高い職員から使いはじめてもらって、徐々に庁内で使える人を増やしていきたいです」。今後は、生成AIの勉強会を予定しており、さらなる活用を広げていく展望があるのだという。
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