
技術と協業が強みの総合インフラサービス
詰まりや水漏れなど、下水道管の老朽化によるトラブルは少なくない。問い合わせや緊急対応が職員の業務を圧迫していたという熊本市では、安定的な維持管理のために、下水道分野で官民連携事業を開始した。
※下記はジチタイワークスVol.40(2025年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]インフロニア・ホールディングス株式会社
熊本市
上下水道局 維持管理部
下水道維持課
左:技術主幹
太田 周作(おおた しゅうさく)さん
右:主任技師
川上 晃平(かわかみ こうへい)さん
加速する下水道管の老朽化と人手不足が業務を圧迫していた。
市民生活を支える上下水道インフラ。現在、高度経済成長期に整備された下水道管の多くが、法定耐用年数を経過して老朽化している。これにより引き起こされている漏水や浸水、陥没などは全国共通の課題だろう。大規模な事故を防ぐためにも、適切な維持管理の重要度は増す一方だ。
水道水を地下水で賄うなど“地下水都市”として知られる同市も、下水道における業務の煩雑さに頭を悩ませていた。川上さんは「下水道の維持管理業務は、清掃・調査・補修・害虫駆除など多岐にわたります。これまでは、何かあるたびにそれぞれの業者へ発注していました。一つの案件に複数の業者が関わることもあり、日程などの調整に苦労する場面が多かったのです」と話す。
また、同日に複数の対応が重なることもあったそうだ。市民から問い合わせがあると、課内の担当職員4人が内容に応じて、区ごとに割り当てられた業者と連携する。突発的で緊急度も高い案件を限られた人員で進めるため、職員の負担は大きかった。下水道管の老朽化は加速度的に進行している。人手不足だけではなく、安定した運用体制の確保と、維持管理体制の見直しが急務であると考えていたという。
連携による持続可能な運営で予防保全型への転換を目指す。
下水道管の老朽化は事故リスクを高めるだけでなく、事故が起こった場合、復旧に高額な費用と長い時間を要する。そこで同市は、従来の事後対応型から、事故やトラブルを未然に防ぐ予防保全型への転換を目指すことに。これまでの業務のあり方や課題を整理した上で、官民連携の検討を進め、令和6年度に包括的民間委託事業を開始した。
その中核を担ったのが「インフロニア・ホールディングス」の傘下である「前田建設」だ。地元企業を含む4社※1と「熊本下水道パートナーズ」を結成し、下水道の新たな維持管理体制の構築を進めている。「市民対応から業者の調整、作業まで一気通貫で行ってくれています。当事業は中央区限定の取り組みですが、複数社が知恵と技術を補完し合うことで、業務委託にとどまらないインフラ運営の実現が近づいていると思います」と太田さんは話してくれた。
事業開始にあたっては、事前に個別作業の単価を合意し業務実績に応じて費用を精算する、総価契約単価合意方式を採用した。同社によると、全国的に見ても先進的な取り組みで、民間にもメリットがある柔軟な契約手法だという。これにより、実態に即した予算執行とスムーズな仕様変更が可能となった。
※1 管清工業、第一環境、協和清掃企業、共栄環境開発の4社
職員の業務負担が軽減しより綿密な計画策定が可能に。
委託前は市民対応から業者との調整まで、職員が1件につき丸々1日以上を費やすこともあったそうだ。委託後の令和6年度を振り返ると、年間約270件の問い合わせは、電話受付からおよそ1時間以内に応急対応が完了していた。「電話窓口が24時間体制になったこともあり、市民からは“早急に見てくれて安心しました” “担当者の応対が非常によかったです”などの声が寄せられています。また、職員の負担が軽減したことで、成果物の確認などの業務にしっかり向き合えるようになりました」と川上さん。
さらに太田さんは「職員が保全戦略の検討に集中できるようになりました」と明かす。「同社は日々の業務から得た様々なデータを蓄積しています。下水道管の耐用経過年数に対する評価や、将来的な陥没リスク分析などをもとにした提案のおかげで、より具体的な計画策定が可能になりました」。
今後、同市は国が推進するウォーターPPP※2も視野に入れているという。長期的な官民連携で課題解決に取り組む“共同運営”で、地域に根差した持続可能なインフラマネジメントを続けていきたいと意気込んだ。
※2 ウォーターPPP=ウォーターPublic Private Partnership(上下水道施設の整備・運営を長期間にわたり官民連携で行うこと)
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