
ごみ袋制度に関する相談デスク
ごみの減量を目指し、指定袋を導入している自治体は多いだろう。これまで約100の自治体を訪問し、制度運用に関する情報を届けてきたごみ袋メーカーの「日本サニパック」に、現場の実情と注目すべき選択肢について聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.40(2025年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]日本サニパック株式会社
日本サニパック
営業本部 ごみ袋相談デスク
小塩 勝男(こしお かつお)さん
担当者の声
ごみ袋に関する様々な情報を提供しています。気軽にご相談ください。
指定袋の導入が増えている一方、手数料の有料化には様々な課題が。
―ごみ袋制度の変遷を教えてください。
かつては黒色のごみ袋が主流でした。しかし、平成初期から分別リサイクルが進む中で、中身が見える透明や半透明の袋が普及。同時期に、ごみの減量を目的に指定袋を導入する自治体も増えてきました。指定袋は、ごみ処理手数料を徴収するか否かで2つの方式に分かれます。徴収しない場合は、自治体が複数の袋メーカーを認定して製造を委ねる「認定制」。徴収する場合は、単独の袋メーカーを指定する「入札制」が基本です。後者は袋代に手数料を上乗せして販売してもらうため、公金収入を確実に管理する必要があるからです。昨今は手数料を住民に負担してもらう自治体が多いため、入札制が主流ですが、現場には課題もあるようです。
―どのような課題ですか。
入札制では、多くの場合1社のみを選定します。そのため、特定の業者で供給トラブルが起きると、欠品リスクが生じます。また、競争が十分に働かず、価格が高止まりする恐れもあります。さらに、入札手続きや在庫管理などの事務的な負担も課題です。しかし全国の自治体を訪れる中で、この課題を解消する方法があることを知りました。それが、認定制でも手数料の徴収を可能にする「販売店申告方式」です。
自治体の業務負担を減らしつつ住民や企業にもうれしい方法。
―販売店申告方式とは何ですか。
小売店が販売時に袋代とは別に手数料を徴収し、自治体に納付する仕組みです。小売店は、1カ月分の手数料をまとめて納付します。認定制ではありますが、自治体がメーカー・問屋・小売店それぞれに許可を与え、日々の出荷や販売データを確実に把握することで、手数料徴収の不正を防止するものです。この方式は、長野県長野市(ながのし)と秋田県秋田市(あきたし)で10年以上運用されています。
―どのようなメリットが期待できますか。
認定制では、自治体の定めた規格に合う袋を複数社が製造します。そのため特定の業者による供給トラブルが発生した場合でも、ほかの業者がカバーすることで、欠品リスクを回避できます。また、袋代と手数料が分離されるため手数料の収入が安定するほか、入札や配送管理が不要となり職員の業務負担は軽減されるでしょう。住民にとっては複数社が参入するため、自由に商品を選ぶことができます。企業も無理のない形で製造や流通を効率化できます。このように、販売店申告方式は三者にとってメリットがある方式だと考えています。
専門家ならではの知見を提供してごみ袋の制度設計を支援する。
―どのように自治体をサポートしていますか。
社内に「ごみ袋相談デスク」を設置し、販売店申告方式などの情報提供に加え、相談対応を行っています。具体的には、ごみ袋の仕様を変更することでコストにどのような影響があるのか、指定袋をゼロカーボン化するにはどのような方法があるのか、といった相談です。これまで全国の自治体から寄せられた相談や事例を通して、様々な観点からニーズに合わせた情報提供を行っています。
―ごみ袋制度は今後どうなるでしょうか。
手数料の徴収が全てではなく、指定袋に変更しなくてもごみの削減に成功した自治体もあります。そのため、実情に合わせた制度設計が必要になってくるのではないでしょうか。今後も、中立的な立場から制度設計の一助となるよう、全国の自治体を訪ねつづけたいと考えています。また、制度設計や袋の仕様に関する疑問があれば、自治体と一緒に解決のヒントを探っていきたいです。
環境に配慮したごみ袋「nocoo(ノクー)」とは?
同社が自治体向けに提案している、天然ライムストーン※を配合したごみ袋。ポリエチレン100%と比べ、プラスチック使用量は約20%、燃焼時のCO2排出量も約20%減らせる。
※石灰石
導入事例
兵庫県西宮市(にしのみやし)など全国の自治体で上記ごみ袋が導入されている。詳しい取り組み内容については、ジチタイワークスWEBへ。