ジチタイワークス

岩手県盛岡市八幡平市滝沢市雫石町葛巻町岩手町紫波町矢巾町

自治体ごとに行ってきた入札参加資格申請受付業務を電子化・一本化し、自治体・事業者双方の負担を軽減。

8市町が個別に行ってきた業務の重複を解消し、ムダをなくす。

公共事業への参入を希望する事業者が、自治体に提出する「入札参加資格申請」。多くの事業者は、契約獲得のチャンスを拡げるため、複数の近隣自治体へ申請を行っており、結果的に、同内容の書類を自治体の数だけ作成・提出せねばならない。一方、自治体側は、申請1件ごとに記載事項を確認、不備や不足があれば事業者に連絡を取って記載内容の修正や不足資料の再受付を行う。つまり、同一事業者の審査と認定・登録のために、複数自治体が繁雑な事務業務を重複して行うというムダが繰り返されてきたわけだ。

※下記はジチタイワークス特別号May2020(2020年5月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供](株)日立システムズ

今回、取材した盛岡市の場合も、平成29年に実施した調査の結果、登録事業者の8割以上が、盛岡広域連携都市圏(盛岡市、八幡平市、滝沢市、雫石町、岩手町、葛巻町、紫波町、矢巾町)内で重複登録されていることが判明した。「そこで、業務の重複によるムダをなくし、効率化を図るため盛岡市が中心になって近隣7市町に声をかけ、申請受付システムの共同利用に取り組もうということになりました。また、8市町で共同利用すれば、システムの導入・運用コストを削減できるのもメリットでした」と、盛岡市財政部契約検査課の長澤 晋さん。


盛岡市財政部 契約検査課
右:課長 長澤 晋(ながさわ すすむ)さん
左:係長 藤澤 勇(ふじさわ いさむ)さん

広域連携中枢都市である盛岡市が共通課題の改善に向け動き始めた。

「当市は、平成27年10月に広域連携の中枢都市宣言を出しており、同年3月に連携中枢都市圏ビジョンを策定しました。その後、平成29年10月頃から8市町の担当者による会合を重ね、連携中枢都市圏ビジョンに資格申請の共通化を追加することについて了解が得られたことで、取り組みが本格的に動き出しました」と同課の藤澤 勇さんは語る。

資格申請の共通化を進めるにあたり、複数のベンダーにRF(I※1)を依頼するとともに、広域8市町で議論を重ねて納入業者を募った結果、導入を決めたのは日立システムズの入札参加資格申請受付システム「CYDEEN(サイディーン)」(以下、CYDEEN)とBPO(※2)サービスだった。「決め手としては、システムの構築だけでなく、その運用サポートと申請書類の電子化業務、さらに強固なセキュリティなどの内容が、本業務の課題を解決できる仕組みとして優れていると判断されたことにあります」と藤澤さん。システム構築を進めるにあたって一番の障壁になったのは、自治体ごとに異なる申請書類様式の統一だったという。この問題に対しては、各市町の妥協できる点、削除不可な点などを何度もすり合わせながら、平成30年度に様式の統一が図られた。

令和2年2月、盛岡広域市町として申請受付の電子化を開始。「これまで受付期間中は、窓口に3~6人の職員が常駐し、窓口を閉めた後も書類の確認を行っていました。しかしシステム導入後は、初回であったため電話での問い合わせは多かったものの、窓口対応が原則不要となり、手間も時間も削減できました。盛岡市の窓口業務だけでも約870時間の時間短縮を実現しています」と藤澤さん。

BPO導入による効率化を図りながらシステムを“熟成”させる段階に。

申請受付業務の電子化に加え、大きな利点の一つとなったのが、BPOサービス。申請書類の記載内容のチェックと、書類に不備があった際の事業者への返送など、人手が必要な諸作業を、日立システムズが設置している自治体バックオフィス(以下、BPOセンター)で請け負うものだ。「これまでは提出された申請書(紙)を職員が手入力で登録していました。事業認定が6月1日ですから、5月中旬までに終わらせなければならない。ところが4月は契約事務の繁忙期であるため、5月の連休明けは残業続きでした」。それらの作業もBPOセンターに委託することで、時間を削減できる見込みだという。
取材時現在(令和2年3月)、盛岡広域市町では、8市町全体がシステムによる申請受付業務を本格稼働する令和3年度に向け、システム移行に関する問題点の取りまとめや、事業者向け申請受付システムFAQへの説明追記など、利便性をさらに向上させる作業に取り組んでいる。共同利用が軌道に乗れば、広域市町全体で数千時間の業務効率化が可能になる見込みだ。


盛岡市財政部 契約検査課のみなさん

Solution■課題解決のヒント&アイデア

01.「共に創り上げる仲間」という姿勢が重要。

システムの共同利用に向けては、8市町の担当者が月2~3回のペースで会合を実施。日立システムズの担当者も毎回参加し、忌憚のない意見交換を行った。「それぞれの担当者が、今回の共通化を申請受付部分と共通事項審査に限定し、“格付け・認定など市町の裁量を反映したいものは市町ごとに実施すること”、提出書類の統合・廃止などの精査を行いつつも“最終的に1市町でも必要とする書類は共通書類に位置付けること”などの工夫を行うことで合意にたどり着くことができました。また、発注者・受注者という意識ではなく、“共に創り上げる仲間”という姿勢で取り組めたからこそ、約1年間で構築できたのだと思います」と藤澤さん。

02.事業者側の不慣れによる問題発生を避けるためまずは柔軟な受付体制でスタート。

申請受付のシステム化は、盛岡広域市町では事業者側・自治体側とも初めてのことなので、令和2年度分は盛岡市広域市町に本社を有する事業者のみ「一部または全部がアナログ」の申請書類を許容。①電子申請で必要な記載項目を全てBPOセンターに送信するパターン②申請書は電子申請だが、証明書などをスキャニングしてアップロードできない事業者の分はBPOセンターで代行するパターン③手書き書類や証明書などを郵送してもらい、全てBPOセンターで電子化するパターンの3通りで受付を実施した。

03.電子化&BPOで負担を軽減。8市町合計で数千時間の業務時間を削減できる見込み!

導入前は、盛岡市の申請受付窓口だけでも870時間ほど(担当職員合計)を費やしていた。さらに、申請書類チェックと不備分の問い合わせや返送などで、1,000時間以上が必要だったという。申請受付システムの導入とBPOセンターへの業務委託という2段構えの体制により、それらが省力化され、8市町合計で数千時間の時間短縮が可能になる見込み。BPOサービスにより大幅な時短が実現すれば、その分の勤務時間を庁内での研修会や各課からの相談に充てられるようになる。また、書類の完全電子化が実現すれば、審査も効率的に実施できるため、作業の簡易化が期待できる。

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