ジチタイワークス

大分県

持続可能な介護サービスに向け、EMBPの推進で市町村を支える。

ICT×人×データを融合した高齢者の自立支援サービス

団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に備え、大分県では令和2年から実証的にICTを活用した介護予防を展開。地域ごとに効果的な施策が行えるよう、データの活用を進め、各市町村の取り組みを支援している。

※下記はジチタイワークスVol.37(2025年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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大分県
福祉保健部高齢者福祉課
主査 武石 翔太(たけいし しょうた)さん

リハビリ専門職の手法をシステム化し、自立支援サービスの質を上げる。

“健康寿命日本一”を掲げ、平成24年から高齢者の自立支援に力を入れてきた同県。県内の全市町村が「短期集中予防サービス(以下、C型)」の提供体制を整備するなど、サービスの充実に取り組んできた。「しかし、C型対象者の見極めには高い技術が必要です。ケアマネジャー個人の知識や経験によって、判断やケアプランの質に差が出てしまうことが課題でした」と武石さんは振り返る。

そこで出会ったのが、ケアマネジメントの質と業務効率の向上を図るICTを開発していた「オムロン」だ。“健康寿命の延伸”を共通の目標として、令和2年7月に事業連携協定を締結。県内の市町村を実証フィールドに、ともにシステム開発を進めたという。「リハビリ専門職の思考過程をシステムに落とし込みました。質問の漏れや判断のブレを解消できるため、特に経験の浅いケアマネジャーからは“システムの補助があることで安心できる”と喜ばれています」。連携事業を経て令和6年9月、同社は「ハレクルWith」としてサービスを開始。県内の5市でも有償で導入されることになった。

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あれもこれもはできない時代だから、的を絞り、根拠のある政策を見出す。

一方で、連携事業の目的はシステムの開発・導入だけではなかったと武石さんは話す。「今後、高齢化と生産年齢人口の減少はさらに進み、介護サービスの維持は危機的状況を迎えます。“あれもこれもはできない”状況の中で、各市町村が効率的で効果的な施策を見出すにはどうすればよいか。答えの一つが、データから施策を導き出す、いわゆる“EBPM”です。その環境づくりのため、データの収集・蓄積を進める必要がありました」。

同サービスはシステムの提供に加え、現場での伴走支援や専門職によるサポート、データ分析など、介護予防ケアマネジメントを総合的に支援するもの。各市のデータ分析に本格着手した同社は、令和6年12月に最初の分析結果報告会を開催。市や地域包括支援センター職員などの関係者が参加し、県職員も同席した。そこで見えてきたのは、“市が描くサービス利用者像”と“実際の利用者”とのギャップだったという。

「C型の利用者が少ないことは分かっていましたが、データ分析によって、想定している対象者の中でも軽度の人しか利用できていないことが判明しました。この事実から“入院していた人は、病院側から訪問介護を勧められることが多いのではないか”との議論に。退院後の適切なC型利用で、回復が見込める対象者は多くいます。医療側に自立支援の考え方を知ってもらう、“医介連携”の強化が課題として見えてきました」。

多忙な市町村を支えながら、データ活用の文化を育てたい。

報告会での議論は、医介連携に向けた具体策へと進展。“医介合同の研修を開催してはどうか”“リハビリ専門職を活用できないか”“取り組みに行政的な支援は必要か”など、活発に意見が交わされたという。「また、“市や包括職員、関係者全員の意識は統一できているか”という意見も出ました。こうした課題に、何となく気づいていた人もいたでしょう。データによって、感覚的だったことが確証に変わり、全員が腹落ちして課題に向き合うことができたと感じます」。

関係者の多い介護の現場で、同じ目標をもちつづけることは容易ではないだろう。しかし、データから課題を客観視すれば、異動の多い環境でも、事業の軸を見失わずに推進することができそうだ。「住民に一番近い存在である市町村ですが、職員数は限られ、担当業務も多く、データ分析まで手が届かないのが実情です。県としても、同社とともに支援を続け、データ活用を“文化”として育てていきたいと考えています」。

各市町村の総合事業の再設計も見据え、それぞれの地域で見えてきた課題をもとに効果的な実行支援を行っていきたいと武石さん。2040年問題に立ち向かう同県に、今後も注目したい。

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