
データを活用した関係人口の創出支援
人口減少と地域経済の縮小が進む中、地域創生のカギとして注目されているのが“関係人口”だ。そこで「楽天グループ」では、データ活用の知見を活かし、自治体の関係人口創出を支援している。担当者に話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.37(2025年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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楽天グループ
地域創生事業
左:中川 卓哉(なかがわ たくや)さん
右:高橋 尚子(たかはし なおこ)さん
関係人口を創出するには、購買データ分析が近道になる。
近年、“関係人口”への注目度が高まっている。内閣官房の調査※1によると、地方版総合戦略にこの言葉を盛り込んだ自治体は1,291団体あり、国もその創出・拡大を後押ししている。また、同社の調査では、地域に対する“親しみや好意”が、ふるさと納税・観光・地域産品の購入などの消費行動につながることが裏付けられたそうだ。
地域経済に寄与する存在として、関係人口は重要である一方で、これらの取り組みにはハードルがあると中川さんは語る。「地域のファンを増やすことは、地域の“稼ぐ力”の向上につながります。しかし、どんな人が地域に関心をもっているのか実態を把握するのは困難でしょう。そのため、PR施策に苦慮しているという話をよく耳にします。移住を伴わずとも、遠方から応援してくれる層を獲得するには、その地域との接点となる、ふるさと納税・観光・物産の分野がカギになると考えます。ならば、楽天のマーケティングデータが活用できるのではと思ったのです」。
そうして生まれたのが、自治体専用のデータ分析ツール「RakuDash(ラクダッシュ)」だ。同社は、「楽天ふるさと納税」「楽天トラベル」「楽天市場」などのサービスを展開しており、会員数は1億以上※2にのぼる。その膨大な購買データを、マーケティングデータ※3に加工し、ふるさと納税・観光・物産の分野における地域へのお金の流れを可視化。ツール上で、寄附額・宿泊客単価・地域産品の購入額などが月次や年次の推移で包括的に確認できる。併せて、利用者の属性や趣味嗜好、消費行動のパターンなども把握できることで、ターゲット層を絞ったPR施策の立案に役立つという。
※1 内閣官房「令和6年度 関係人口の創出・拡大に向けた取組状況調査」
※2 会員登録完了後1回以上ログインをしたことのある会員(退会者除く)
※3 個人や取引先含む第三者が特定されない形で、楽天グループ各社のサービス利用履歴などを統計的に加工したデータ
複数分野のデータを分析しEBPM※4の実践で効果を生む。
同ツールを活用することで、自治体で推進が求められている“エビデンスにもとづく”施策立案ができるそうだ。「データを活用すると、地域の現在地を知ることができます。そうすることで、実は人口の10倍もの関係人口がいたと判明することもあるのです。どの分野が強みで、どんな人が地域にお金を使ってくれているのかを把握できれば、地域の課題や効果的な施策を考えられる。そして施策実施後に効果検証ができ、PDCAをまわしながら事業を行うことが可能になります」。
また、寄附だけ、観光だけを行う人よりも、両方を行う人の方が、その地域への平均消費額は多いという。同ツールでは、各分野のデータを1つの画面で同時に確認できる。そのため、分野横断の施策を考案できることが強みの一つだ。「例えば、ふるさと納税が多く集まる地域では、その強みを活かし、寄附者に地域産品の魅力を訴求する施策を検討できます。分野を横断し、地域のファンになってもらう行動の連鎖を生むことが重要で、そのヒントになる情報が、当社のデータの中には数多くあります」と高橋さんは語る。
※4 EBPM=Evidence-Based Policy Making(証拠にもとづく政策立案)
伴走するパートナー企業として稼ぐ力の向上をともに目指す。
ただ、ツールがあっても、可視化されたデータをどう活用していくのかを職員が考えるのは簡単ではない。そうした課題に対し、同社ではニーズに応じて、研修サービスも提供している。「RakuDemy(ラクデミー)」というワークショップ形式の研修では、データ分析の基礎や、データ活用のノウハウを伝えているそうだ。
こうしてデータにもとづき、分野横断の施策を実行することで、効果的に関係人口の創出につなげる。そしてそれが、持続可能なまちづくりの大切な足がかりとなる。このサイクルをサポートしていきたいと力強く語ってくれた中川さん。「今後、自治体が稼ぐ力を意識して動くか否かが、地域活性化において重要だと考えます。そのカギになるのが関係人口であり、データ活用は有効な手立てになるはずです。私たちも、自治体が自力で財源を増やし、地域が豊かになっていくための伴走者でありたいと考えています」。
地域の強みと個性を定量的に把握し、目標を設定
どの分野の収入が伸びていて、さらにどの程度伸ばせるのか、周辺地域の参考値などを踏まえて目標に据える。そして、目標と現状のギャップを捉え、課題を特定する。
データを根拠にねらうべきターゲット層を決め、施策を実行
自地域に関心をもっている層の年代、性別、推定年収、ライフステージなどを把握。その層を目がけた効果的なプロモーション施策を実行し、効果検証を行う。
■稼ぐ力の強化を目指した自治体支援事例
山梨県富士吉田市 “クラファン”型の楽天ふるさと納税を活用
地域の取り組みを直接応援できる「クラウドファンディング型」寄附受付で、ジビエ加工場の建設や道の駅改修事業をふるさと納税を通じてサポート。
群馬県みなかみ町 分野横断のデータ分析でターゲット層を特定
“ふるさと納税の寄附者”と“観光での来訪者”のデータ分析にて共通点を発見。その層をターゲットに設定してプロモーションを実施すると、宿泊単価の向上が見られた。
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