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公開日:2025-01-27

【公務員として生きる!異動の心得】穏やかに受け入れるための心のもち方

環境・エネルギー
読了まで:7分
【公務員として生きる!異動の心得】穏やかに受け入れるための心のもち方

ジチタイワークス「公務員ライフを楽しむためのバラエティ増刊号」とは?
社会の難題に立ち向かう公務員の皆さんに、ちょっとした安らぎの時間を提供したい。
そこで今回は、編集室に「公務員のためのバラエティ班」を臨時創設!
疲れたココロとアタマを休めながらも、公務員ライフを少し楽しく、豊かに感じられる……
そんな多彩なコンテンツをお届けします。


※下記はジチタイワークス バラエティ増刊号(2025年1月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

公務員でいる限り、異動は避けては通れない道。毎年春になると、喜びや悲しみの声が聞こえてくる。少しでも穏やかに受け入れるための心のもち方とは?コンサルティング経験が豊富な安達さんに話を聞いた。

ティネクト株式会社
代表取締役
安達 裕哉(あだち ゆうや)さん

2001年デロイトトーマツコンサルティング入社、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任した後に独立。2013年にティネクト株式会社を設立し、ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。2023年に生成AI関連のワークワンダース株式会社を設立。

 

「頭のいい人が話す前に考えていること」
安達 裕哉/ダイヤモンド社
長年のコンサルティング経験で得た知見を凝縮。71万部(2024年11月時点)を売り上げ、2024年上半期ベストセラー1位に。
※ビジネス書単行本/日販・トーハン調べ

仕事の重要度を下げると、悩みは小さくなっていく。

異動のたびに「また希望が通らなかった」と気がめいる人も多いだろう。「あそこには行きたくない」と思っていた部署への配属が決まるケースもあるはずだ。想定外や意に沿わない異動と直面したとき、どうすれば気持ちの整理をつけられるのだろうか。

安達さんはずばり「仕事の重要度を下げること」だという。「仕事の悩みを職場の中だけで解決しようとすると、どうしても視野が狭くなります。その狭い世界の中で答えを探そうとするので、気持ちが行き詰まり落ち込んでしまう。そうではなく、自分の活動を増やし、仕事の重要度を相対的に下げることが大事なんです」。

例えば、好きなゲームに没頭したり、運動をしたり、活動は何でもいいのだとか。ポイントは「視野を広げ、ネットワークを増やすこと」にある。「増やせば増やすほど、物事を相対的に見られるようになります。仕事で悩んでいたけど、意外と大したことなかったな、まあいいか、という感覚がもてるので、悩みが小さくなっていきます。故に、自分のネットワークがたくさんある方がいいのです」。

職場における人間関係は2割ぐらいの感覚でいい。

では、「仕事の重要度を下げる」とは、どれくらいまで下げるイメージだろうか。尋ねると「自分がもっている人間関係の全体を100としましょう。個人的な考えですが、その中で仕事は、20ぐらいでいいと思っています」という回答が返ってきた。きっと「仕事は全力で打ち込むべきもの」と考える公務員は多いはず。下げることの有用性は想像できても、さすがに20は低すぎると感じる人もいるのではないだろうか。

「仕事の手を抜けというわけではなく、相対的な重要度の話です。100の内訳を開示すると、まずは自分や家族のことだけで、少なくとも50は占めますよね。だって、自分の人生ですから。残り50をどう配分するかとなると、友達に15、それから趣味に15。合わせると30になりますから、あとは20しかない。こうして引いていくと、仕事には2割くらいしか残らない、という計算です。

いつかは終わると思えば、悩みとも付き合える。

仕事の重要度を2割まで下げれば、確かに異動で大きく落ち込むことはなくなりそうだ。とはいえ、いざ異動先で仕事を始めたら業務内容が難しかったり、上司や同僚との人間関係がうまくいかなかったり、悩むこともあるはず。そんなとき、どう乗り越えていけばいいのだろうか。

「乗り越えるのではなく、いつかは終わるだろうという発想です。ただ、苦手な相手でも仕事で関わらなければいけないから、困っているんですよね。対策としては、相手を研究すること。そして多少なりとも相手の役に立っておけば、ひどい関係にはならないと思います」。また、人間関係改善の鉄則は、「自分から動くこと」だという。「無理に仲良くする必要はありませんが、相手の話をしっかり聞き、質問をするだけでも、効果はあると思います」。

ネットワークを増やすことで仕事の重要度を下げ、必要以上に落胆しない。苦手なことも「いつかは終わる」と捉えればいい。こんな穏やかな心で、異動に臨んでみてはどうだろうか。

 

そもそも、信頼を得ることを目的にしてしまうとダメなんです。というのも、信頼はあくまで結果として得られるもの。従って、信頼を得るために何かをするという考え方は、前提が間違っています。実際には、行動した結果として、信頼を得られるのが正しい順番です。

では、どうすればいいのかという話ですが、答えは非常にシンプル。「部署の目標を決めて、達成する」、これしかありません。

目標というと、民間企業のように売り上げやシェアといった分かりやすい指標がないと思うかもしれません。でも公務員の皆さんは、住民の役に立つために働いているのですよね。「部署として何をすれば役に立てるのか?」をとことん考え、具体的な目標に落とし込むのが管理職の役割です。まずは部署の目標を明文化してください。そして、その目標を達成できたときに、おのずと信頼が得られると思います。

 

新しい部署で、自分は仕事ができることを手っ取り早く理解してもらいたいけれど、目立ちたくはない……そんなときに最適な「魔法の一言」が、「たたき台をつくりましょうか」。これは非常に効果的です。

なぜなら、何か新しい仕事に取り組む際、上司は「自分がやるしかないかも」という考えが頭に少しあります。そんな状況で「経験不足かもしれませんが、ひとまず私がたたき台をつくってみましょうか?」と申し出たら、忙しい上司は非常に助かるわけです。同僚も面倒な仕事が減り、全員をラクにできます。

初めての部署で不安があるかもしれませんが、まわりに聞くことでコミュニケーションが生まれます。AIを活用することもできますし、たたき台をつくることは、昔よりも圧倒的に簡単になっているはずです。

 

仕事ができる人かどうかを知りたいとき、私がよく使う方法は「小さい非定型の仕事をしてもらう」というものです。「小さい」とは、1週間ほどでできそうな仕事を指し、「非定型」とは、やり方が決まっていないことを意味します。

ここで見たいのは、「自分でタスクを切れるかどうか」です。仕事ができる人であれば、やり方が分からない仕事でも、自分で小さな作業に分割して実行していきます。しかし、力がない人はそうはいきません。いちいちタスクにして渡さなければ動けないのです。ルーティン業務をこなせるからといって、仕事ができるとは限りません。実力を判断する材料が欲しいときには、ぜひ試してみてください。

 

異動先の人たちのやる気が低く、モチベーションが保てないというケースもあるようですね。でも、自分の気分は自分で変えるもの。モチベーションが保てないことを、人のせいにしてはいけないんですよね。だって、そんな人たちに自分の気分を握らせていいのでしょうか。それに、意欲的に仕事に取り組むかどうかは本人の自由。別にどちらでも構わないのです。それなのに自分まで影響されて、やる気をなくしたら、それは「自分のせい」だと思います。

逆に、忙しすぎてみんなが疲弊している部署もあるかもしれません。だとしても、決定権を環境に委ねずに「自分のスタンスは自分で決める」と考えて行動する。そう考えれば、どんな部署でも関係ないと思います。

 

異動先でのあいさつや自己紹介に悩む人もいると聞きます。実は内容はあまり関係なく、「練習したかどうか」が重要です。結婚式であいさつをする際には、練習をしますよね。それと同じだと思ってください。コンサルティング会社で働いていたとき、セミナーなどに登壇する際のあいさつは徹底的に指導されました。というのも、最初の印象は、その後の仕事にも大きく影響するからです。

場当たり的なあいさつだと、適当な発言で思いがけず評価を下げかねません。即興でやるようなものではないんです。逆に練習して、「私はこんな仕事をしてきました。こんなお役に立てるかもしれません」と話せれば、好印象を与えられるはず。たった数分のあいさつで好評価を得られるのだから、練習しない手はありませんよね。

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