静岡県富士市では平成28(2016)年に、廃棄する予定の消防ホースを活用した雨傘ホルダーを実用化。市民から好評を得ています。
※下記はジチタイワークスVol.4(2019年1月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 静岡県富士市
新品のまま捨てられるホースを何とかしたい
小中学校に常備される消防ホース。内部のゴムが劣化するため、10年ごとに交換することが消防法で定められています。平成19(2007)年から29(2017)年までの間に、約450本のホースが廃棄されました。しかも、そのほとんどは未使用。
そのまま捨てるのはもったいないけれど、再利用のための耐圧検査には1000万円もの予算が必要になります。毎年廃棄されていくホースを活用できないか、と考えた市の教育総務課の担当者は、雨傘ホルダーとして利用することを市に提案しました。
市民に人気の雨傘ホルダー、予算削減にも成功
雨傘ホルダーの長さや持ち手の長さ、筒の角度、傘の抜きやすさなど業者との打ち合わせを重ね、ついに完成。丈夫な布地と内側のゴムで、抜群の耐久性を実現しました。さらに、消防ホースを処分するための予算が60万円であるのに対して、雨傘ホルダーの制作費は約45万円で済み、予算削減にも繋がっています。
施設の入り口に置かれた無料の雨傘ホルダー。
1本のホースから20本のホルダーを作ることができ、現在は業者と協働で500本の雨傘ホルダーを製作しました。完成した雨傘ホルダーは市が管理する施設に設置。傘からしたたり落ちる水で滑って転倒する事故を防ぐのに役立っています。ビニールの袋と違い、何度でも使えるのも好評です。
ホースの赤いラインがかわいい雨傘ホルダー
導入後は市民から「うちにも雨傘ホルダーがほしい」との声が上がりました。担当者は「廃棄処分予定のホースは毎年発生する。これからは雨傘ホルダーにこだわらず、さまざまな活用方法を考えていきたい」と話しています