ジチタイワークス

郵便局の配達車両を活用した水道検針で、コスト削減と効率化をかなえる。

将来の人手不足を克服する水道検針ソリューション

水道検針は目視が主流だが、郵便局の配達車両に受信機を搭載し、対象地域付近を走行することで検針が可能となるサービスが開発された。異業種協業で人手不足を補うだけでなく、コストダウンも図れるという。

※下記はジチタイワークスVol.34(2024年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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左から
JPコミュニケーションズ
営業企画部
地方創生・ソリューション営業担当 担当部長
平岡 和也(ひらおか かずや)さん

ウォーターデバイス
代表取締役
岩本 晃幸(いわもと てるゆき)さん

互いの強みを活かした異業種協業で、新たな仕組みをつくりニーズに応える。

電気やガスではスマートメーターへの変換が進む一方、水道メーターは後れを取っている。理由は、高額な導入コストにある。こうした背景から、多くの自治体が目視による検針を続けているが、課題は多いという。中でも深刻なのは、人手不足だ。

「ある自治体が、当社の親会社である『日本郵便』に“郵便配達員に水道検針を頼めないか?”と相談したのが始まりです。検針員の高齢化が進み、将来的に後継者を確保できる見込みも立たないため、配達のついでに検針できないかとのことでした。しかし、集配業務だけで手一杯の配達員が、一戸ずつメーターチェックまで行うのは難しい」と「JPコミュニケーションズ」の平岡さん。当初は解決への糸口が見えず頭を抱えたというが、ヒントを求めて情報を集め、関係機関に相談したことで、「ウォーターデバイス」のサービスにたどり着く。それが「ドライブ・バイ水道検針」だ。「走行中の車両から検針ができるシステムがありました。これなら集配業務と並行できると思ったのです」。

平岡さんから協業の提案を受けた岩本さんは、「スマート検針に必要な“人手”を日本郵便が担ってくれれば、コストパフォーマンスもいい。不足を互いの強みで補い合う異業種協業は、今の時代にマッチしたやり方です」と快諾。こうして、3社協業の水道検針ソリューションが生まれた。

無線電波でランニングコストを抑え、漏水検知や料金の自動管理を可能に。

同ソリューションでは、まず各戸に水道スマートメーターを設置。一般的なスマートメーターでは、検針を完全自動化するためデータの取得にモバイル回線を使用。一方、ウォーターデバイスでは無線電波を専用受信機で拾う方式を採用し、あえて完全自動化しないことでランニングコストなどの削減を図っている。

配達員は車両に受信機を搭載して、いつものルートを走行。メーターに近づくと自動でデータを受信する。電波を感知する距離は、30mや100mなど地域の特性によって設定でき、一戸建てならエリア内を走行するだけで瞬時に受信。世帯数の多い高層マンションや集合住宅でも、数分で全戸のデータを取得できるという。「自動でデータ受信が完了するので配達員の作業負担は少なく、当然、検針時間も大きく削減できます」。取得したデータは手元の端末に蓄積され、配達員は郵便局に戻ってからアップロードすれば検針業務は完了だ。データはクラウド上で管理され、自治体の料金システムなどと連携させることで、業務の効率化を図るという。

メーターには、最大181件のデータを記録・保存でき、1時間単位や1日単位など任意で設定可能。「夜間など水道利用がない時間帯に一定の使用を認めれば、漏水の早期発見につながります。また、使用がなければ空き家と判断できますし、状況によっては安否確認の手段になることも」。使用量を見える化することで、自治体と住民の双方にとって、メリットのある活用ができる。

スマート化の効果を測るため、複数の地域で実証実験を開始。

ヒューマンエラーも、多くの自治体が課題とするところだ。「検針値の読み間違いや入力ミスによる誤請求は信用問題になるため、あってはならないこと。修正作業にも時間と手間をとられてしまいます」。また、検針日が台風や雪など悪天候のときや、障害物があってメーターに近づけない場合には、再検針が必要となり、検針員の負担も増す。オートロックのマンションでは管理人不在時に検針ができない、メーターボックスにハチが巣をつくっていた、敷地内で放し飼いの犬に追いかけられたというケースも。「こうした課題も、スマートメーターに変換することで解決できます」。

導入によって、どれほど作業が効率化できるか、メーターの数値と検針値に差異はないかなどを調べるため、すでに複数の自治体で実証実験が行われている。「当社での評価を終えて製品化しているため、検針値の正確性については自信をもっています」と岩本さんは胸を張る。「新しいシステムの導入には不安もあると思いますが、実証実験を通じて安心感につなげたいですね」。

3社協業で導入コストを下げ、地域のインフラを守りたい。

多くの自治体で使用されている目視検針のメーターに比べると、スマートメーターはコストがかかることから自治体にとっては負担となる。そのため、検針が難しい地域だけをスマート化する例もあるという。しかし今後、労働力不足が本格化すれば、取り組まざるを得なくなるだろう。「当社としても、製造過程からメーターのコストダウンを進め、維持費を抑える工夫で、自治体の費用負担が軽減できるよう努力しています」と岩本さん。平岡さんも、「郵便局のリソースを活用しながら包括的に取り組めば、相乗効果でさらに生産性を上げることができます。結果的に、水道管理の業務全体を効率化でき、コストを下げることにもつながるでしょう」と語る。

人口が減少し、財政的にも厳しさが増す中、これまで通りの住民生活を守っていくには、業務の効率化とコスト削減が欠かせない。地域のインフラを支えるため、地域に根ざした郵便局と高い専門性をもつ企業が手を取り合うことは、大きな意義があるだろう。こうした異業種連携から生まれる新たなアイデアに、今後も注目したい。

 

ドライブ・バイ水道検針によって得られる成果

従来の検針方法で困っていること

●目視確認なのでメーターの読み間違いが起きやすい
●検針データを手入力しなければならず手間がかかる
●マンションなどの集合住宅の検針がとても大変


実証実験によってスマート化のメリットを確認!

検針業務にかかる時間が大幅に短縮
無線検針による検針値の信頼性を確認
検針員の負担軽減および人的ミスを防止

 

日本郵便の声

日本郵便 地方創生推進部 担当部長
小川 晃弘(おがわ あきひろ)さん

全国に2万局以上ある郵便局の総力を結集し自治体の困り事に寄り添って解決をお手伝い

日本郵便は、地域とともに歩むことを使命とする企業です。私たちの新しいチャレンジで地域の課題解決につなげられるよう、自治体からの声に日々アンテナを張って活動しています。今回の事業にたどり着いたのも、自治体から受けた相談がきっかけです。“配達ネットワーク”と“水道検針”のマッチングというアイデアに、ウォーターデバイスの技術が加わることで、新しい提案ができるようになりました。私たちとしても、郵便局のリソースを有効活用して地域貢献ができることに喜びを感じます。

郵便局は、全国に2万局以上あります。単純計算で1自治体に10局以上です。人口減少に伴って、行政サービスの拠点を縮小する自治体もある中、郵便局の人的資源を活用する動きは、様々な自治体に広がっています。例えば、マイナンバー関連事務や公的証明書の発行、市役所と住民をデジタルでつなぐ支援活動など、地域の状況に応じたサービスを提供。過疎化が進む地域でも、住民の利便性が損なわれないよう努めています。

また地域のニーズを吸い上げるため、全国の各自治体に1人ずつ地方公共団体担当局長を置き、顔が見える関係の中で困り事や相談に応える体制をつくっています。自治体との連携を通じて、郵便局への信頼感や魅力の向上につなげていきたい考えです。

最近では、地域が直面する少子高齢化、過疎化、人手不足などの課題をデジタルの力で解決するため、郵便局でも取り組みを進めています。一方で、デジタル化を進めるためには、その手前で人の手が必要になることもあります。郵便局の強みは、“店舗と人”。デジタルとアナログの両輪があるからこそできるサポートで、地域の役に立ちたいと考えています。困り事があれば、お近くの郵便局に気軽にご相談ください。

 

■実証内容

寒冷地では人手不足に加え、積雪で検針が困難になることから、配達ネットワークをもつ日本郵便に業務委託。積雪のない時期と、最も多い時期に検針を行い、寒冷地においても検針可能か、効率化できるか、データは正確かなどを検証する。


 

総務省よりコメント

総務省 情報流通行政局
郵政行政部 企画課 課長補佐
山本 和弘(やまもと かずひろ)さん

有用性が確認できれば横展開にも期待

県庁所在地の中で最も年間降雪量が多い青森市なら、寒冷地特有の課題に対する検証ができると判断し、実証実験を行うことにしました。総務省では「郵便局データ活用推進ロードマップ」において、“日本郵便がもつ配達ネットワークを活用したデータ活用について、公的要請に応える取り組みについては、優先的に取り組むべき”としています。

今回の実証を通して、具体的な運用体制や費用負担についても検討していく予定です。有用性や課題などが確認されることで、ほかの自治体や日本郵便などの関係者が協議を行い、その地域のニーズなどを踏まえた実装・横展開によって、地域課題の解決につながることを期待しています。

 

自治体からのよくある質問

スマートメーターを提供・販売しているウォーターデバイスには、全国から様々な質問が寄せられている。多くの自治体で気になるであろうポイントに回答してもらった。検討の材料として活用してほしい。

A. 世界で1,280万台の販売実績をもつ海外メーカー「アイトロン」のスマートメーターを採用していますが、発信情報にズレがあったという報告はありません。当社では、このメーターを国内規格に適合させています。
 

A. 電波を拾える距離まで近づく必要はありますが、受信できる距離も地域特性に合わせ、比較的自由に設定できます。また、無線通信式であればランニングコストをぐっと抑えて運用できます。
 

A. 全国10以上の自治体でスマートメーターやドライブ・バイ水道検針の実証実験を行っています。(例/山形県最上町、福島県会津若松市、岐阜県土岐市、岡山県鏡野町、山口県宇部市、福岡県新宮町 ほか)
 

A. 検針値の正確性や人的コストなど水道管理で課題があれば、実証実験で効果を試せます。該当地区の日本郵便と調整後、数カ月で実施できますので、気軽にお問い合わせください。
 

お問い合わせ

サービス提供元企業:JPコミュニケーションズ株式会社

営業企画部 地方創生担当

東京都千代田区内神田1-2-4
京阪大手町ビル3F

TEL:03-6837-7304
Email:jpcom-chihousousei@jp-comm.jp

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